「紙の保険証を」と言われたら国に連絡を…河野デジタル相が呼びかけ 医療団体「許せない」 マイナ保険証巡り

2023年12月22日 13時40分
 河野太郎デジタル相が22日、記者会見で、マイナ保険証が使えない医療機関についての国への報告を求めるかのような発言をし、医療団体の反発を招いている。医療機関側が「紙の保険証」の提示を求める背景には、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証を巡るトラブルが続く現状があるからだ。

◆「マイナ保険証」が役に立たないトラブルが続いているのに

オンライン会見する河野太郎デジタル相

 河野デジタル相は22日の閣議後会見で、マイナ保険証を使えなかった場合、既に開設しているマイナンバー制度に関する電話窓口に連絡するよう求めた。
 河野氏は「医療機関を受診された際に、紙の保険証を持ってきてほしいと言われて、マイナ保険証が利用できなかったとの問い合わせが確認されている」とした上で、「マイナ保険証は一部の例外を除いて全ての医療機関と薬局でカードリーダーを設置し、マイナ保険証を受け付けることが義務化されている。利用できなかった場合には、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)にご連絡をいただきたい。厚生労働省に情報提供し、事実関係を確認することになる」と述べた。
 政府は、現行の健康保険証の新規発行を来年12月2日に停止する方針を示している。マイナ保険証の利用が低迷する中、医療機関側にもマイナ保険証利用を促進させる目的と見られる。厚労省などによると、マイナ保険証の10月の利用率は約4.5%で、6カ月連続で減少した。
 この発言に対し、保険証廃止に反対している全国保険医団体連合会(保団連)の事務局担当者は「マイナ保険証で資格無効となるなどトラブルが頻発しているため、医療機関側は保険証の提示を求めている。それを不当な行為のように国に通報し、監督官庁から是正させると受け取れる発言で、断じて許せない」と話している。

 保団連によるトラブルの実態調査では、医療機関のカードリーダーのエラーなどで保険資格確認ができず、患者に対し「いったん全額請求」した事例が510件以上、確認されている。(嶋村光希子、長久保宏美)

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