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福島・南相馬市に新型コロナワクチン工場 米製薬から受託、23年稼働へ

2021/05/28 11:38

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 創薬に必要な技術や情報を提供する「アクセリード」(本社・神奈川県藤沢市)は二十七日、新型コロナウイルスワクチンなどの医薬品生産工場を福島県南相馬市原町区の下太田工業団地に新設すると発表した。国内で接種が進むファイザー製と同型ワクチンの原薬製造工場を二〇二二(令和四)年一月に着工し、二〇二三年四月に稼働を始める予定。ワクチンは米国の製薬会社が開発中で、二〇二五年末までに製剤や物流などの施設を追加で整備し、国内外への供給体制を構築する。

 同社によると、工場は同社が四月に米バイオ製薬会社「アークトゥルス・セラピューティクス・ホールディングス」と設立した合弁会社「アルカリス」(本社・千葉県柏市)が運営する。アークトゥルスが臨床試験中の人工合成による遺伝子物質「メッセンジャーRNA」のワクチンのほか、タンパク質系の希少疾患、がん治療薬などを受託製造し、国内外の製薬会社や研究機関などに供給する。

 工場は工業団地の三区画を合わせた約二・三ヘクタールの敷地に整備する。総工費は非公開。投資ファンドを通じ、日立製作所(本社・東京都千代田区)などから出資を受ける方針。地元からの雇用にも努める。

 南相馬市によると、アクセリードから土地探しの相談を受け、誘致が実現した。JR常磐線や常磐自動車道などの交通利便性、企業立地助成金や県宅地建物取引業協会との民間賃貸住宅の紹介など市独自の支援策が呼び水になったという。

 アクセリード、アルカリスの藤沢朋行社長(54)は二十七日、門馬和夫市長とオンラインの記者発表会に臨み、「南相馬に工場を建設することで復興に貢献し、福島や東北の皆さんの笑顔につなげたい」と誓った。

 門馬市長は医療関連を重点分野に掲げる福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現への期待感を示し、「事業が順調に進むように支援していく」と述べた。