厚生労働省は、ハンセン病元患者や家族に対する偏見や差別の意識調査を初めて実施し、5日までに結果を公表した。自身が偏見や差別意識を持っているとする回答が35%に上り、調査報告書は「ハンセン病問題に関する知識は社会に十分浸透しておらず、偏見差別は現存し、深刻な状況だ」と結論付けた。
 調査は昨年12月、インターネット上で実施し、2万916人の回答を分析した。
 ハンセン病について「知っている」「名前を聞いたことがある」とする回答が約9割に上り、全く知らなかったのは9.8%にとどまった。一方で、元患者や家族への偏見や差別が「現在、世の中にあると思う」と回答した人は39.6%、自身が偏見や差別意識を持っているとする回答も35.4%に上った。
 元患者と家族に対して抵抗を感じることを尋ねた項目では、▽手をつなぐなどの身体に触れる▽ホテルなどで同じ浴場を利用する▽元患者の家族とあなたの家族が結婚する―の3項目は「とても抵抗を感じる」「やや抵抗を感じる」と回答した人が約20%いた。
 元患者や家族が受けた被害についての認知不足も明らかになった。「知らない」「あまり知らない」と答えた人が6割を超えた項目では、「強制隔離政策を違憲とする熊本地裁判決」(70.4%)、「患者家族に対する偏見や差別の被害を認める熊本地裁判決」(70.1%)、「戦前・戦後に全てのハンセン病患者を強制隔離する官民一体の運動が行われたこと」(67.6%)―などがあった。
 調査結果を踏まえ、厚労省は必要な対策を検討する。 (C)時事通信社