不快すぎてオンエアが永久に封印されたX-FILEの「HOME」は、チャップリンの自伝からインスパイアされていた

1996年にX-Fileは悪名高き「ホーム」というエピソードを放送した。このエピソードは、ペンシルヴァニアの小さな町の郊外で発見された身元不明の赤ん坊の死体を、スカリーとモルダーが調査するところから始まる。調査は、ピーコック一家という、世間から隔絶した農場に暮らす三人の異形の兄弟たちのもとにたどり着く。そして、モルダーとスカリーは、すでに死んだと思われていた母親が四肢切断されて存在していることと、三人の兄弟と、死んだ赤ん坊の恐ろしい秘密を発見する。

今日では、このエピソードはX-Fileのもっとも不快なエピソードとして知られており、悪趣味すぎるという抗議を受けて、 FOXは二度と放送しないことを決定。ファンの間では人気の高い回でもある。しかし、このエピソードについて語りあう人びとも、これがチャーリー・チャップリンの自伝から部分的にインスパイアされていることを知らないだろう。

貧困のうちにロンドンで育ったチャップリンは、舞台化されたシャーロック・ホームズの端役でブレイクした。十代のチャップリンは移動劇団とともに英国の地方を巡業し、町ごとに一番安い宿屋を探した。「チャップリン自伝」の中で、エブー・ヴェイルという「薄ら寒く醜い」町で炭鉱夫の宿に投宿したときのとりわけ奇妙な体験について書いている。

ある晩、夕食のあとで、主人はチャップリンを台所に招き入れ、彼に見せたいものがあると言った。食器棚から(明らかにそこは寝床だった)足の無い男が這い出してきて、主人にせき立てられ、一連の奇妙な曲芸やダンスを披露し始めた。

チャップリンはこう書いている。

足の無い体が半分の男は、肥満し、金髪で、平たい頭をしており、顔は病的に白かった。つぶれた鼻と大きな口、力強い筋肉質の肩と腕の持ち主で、食器棚の下から這い出してきた。 

「ヘイ、ギルバート、跳べ!」父親が言うと、哀れな男は体をゆっくりと沈め、突然腕の力で、私の頭の高さまでジャンプした。

「彼はサーカス向きだと思いませんか?カエル人間とか!」

わたしは恐ろしさのあまりほとんど何も答えられなかった。それでも、いくつかのサーカスの名前を挙げると、父親はそれをメモしていた。

この出来事はチャップリンにショックをもたらし、その語られた内容は、X-Filesの脚本家グレン・モーガンに強い影響を与えている。「ホーム」の脚本をジェイムズ・ウォンと共同執筆しているとき、チャップリンのこの話が思い浮かんできたのだとモーガンは言う。モーガンはこの逸話について少々記憶違いをしていて、完全に四肢の無い男を家族が持ち上げながら、歌い踊り始めた、というように。その全体的なイメージはモーガンの心に長く残って「わたしは13年前にこの本を読んで以来、これは何かに使わなきゃと思っていました」。

で、彼はピーコック家の手足のない母親のモデルに、食器棚の下から出てきた男を使ったというわけである。

*「ホーム」というエピソードのあらすじはこれhttp://blog.livedoor.jp/bad_story/archives/192510.html

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