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洗濯時にマイクロプラスチック放出を防ぐ、7つの方法。アースマンスにチェック!

最新の研究によると、海に流れ出てしまったマイクロプラスチックのうち、なんと3割が私たちの洗濯物から流出し、遠く離れた北極海を汚染し、破壊しているという。これを防ぐために今すぐできる簡単な方法を7つ紹介する。
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Photo by Arthur Elgort/Conde Nast via Getty ImagesArthur Elgort

海を汚染し海洋生物に甚大な影響を及ぼす51兆個の小さなプラスチック片──マイクロプラスチックは、世界的に大きな問題だ。これらはどこから発生しているのか? その答えの一つが、合成繊維で作られた服の洗濯だ。専門家によると、1回の洗濯で70万から120万のマイクロファイバーが放出されている可能性があり、海洋に流れ着いたマイクロプラスチック全体の35%を占めるという。さらに2021年1月に発表された研究では、遠く離れた北極海の水域をも汚染していることが分かった。イギリス、プリマス大学の海洋科学者であるイモージェン・ナッパー博士はこう語る。

「私たちは海を大きなプラスチックのスープに変えつつある。マイクロプラスチックは海洋生物によって摂取され、一度体内に取り込まれると、行動や生物学的プロセスという点でその動物自体に悪影響をおよぼす可能性があることが、研究を通してわかっています」

マイクロプラスチックの影響があるのは海や海洋生物だけではない。フルーツや野菜等の農作物の栽培に使う水や土を介して私たちの食物連鎖に入り、普段呼吸する空気をも汚染しはじめているのだ。

この深刻な問題に落胆している暇はない。これ以上の流出を防ぐために、今日から始められる7つのステップを実践しよう。

1. 合成繊維の服を買うのをやめよう

Photo: Siri Stafford

クローゼットの中身の約60%は、ポリエステル、ナイロン、アクリルのような合成繊維であると言われている。ポリエステルと綿の混紡もこのリストに入るが、「アクリル製の繊維は、ポリエステルと綿の混紡よりも7倍多くマイクロプラスチックを放出するという研究結果がある」とナッパー博士は述べる。アクリルなどの合成繊維生地で作られた服を購入しないことが、最も簡単に変えられるソリューションの一つなのだ。

2. Cora Ballやフィルターを入手する

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新しく服を買う際、例えば機能性の高いスポーツウェアや下着等、合成素材を避けることが難しい衣類もある(環境に優しい選択肢として、再生プラスチック素材のものがあることは覚えておこう)。そうした服を洗う時は、衣服から放出されるマイクロプラスチックを集めるプロダクトを活用しよう。

例えば、洗濯時に一緒に入れるだけの「Cora Ball」は、目に見えないほど小さな繊維や毛玉をキャッチしてくれて、繊維がたまってきたら手で取り除きゴミ箱にポイ。また、洗濯機自体に取り付けられるフィルター「Gulp」等は、マイクロファイバーをキャッチして水路に流出するのを防いでくれる。

3. 洗濯バッグを変える

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日本の洗濯機の多くには「糸くずフィルター」がついている。だったら、大丈夫なのでは?と思う人もいるかもしれないが、実は2023年に発表された日本繊維製品消費科学会の論文によると、縦型洗濯機付属の糸くずフィルターは、長さが3㎜以上の繊維の7割程度を回収できたが、長さが3㎜未満の繊維はほとんど回収できずに排出されていたという。また、ドラム式洗濯機による洗濯で発生する繊維の量は縦型に比べて少なかったが、フィルターの空隙が大きく、ほとんど繊維を回収できなかったそうだ。

となると、やはり一人ひとりの心がけと行動が必要だ。そこで手に入れたいのが、合成繊維の衣類を入れる洗濯バッグの「Guppyfriend」や「SAVE THE OCEAN」。衣類から発生したプラスチック繊維の90%以上がバッグの中に留まり、洗濯後に繊維を回収してゴミ箱に捨てるだけで海への流出を防ぐことができる。

また、柔らかい素材の衣類などを洗うときに使う洗濯ネット自体がプラスチックなことも多いだろう。そこでプリスティン(PRISTINE)の洗濯ネットなど、オーガニックコットン素材のものにチェンジこともおすすめだ。

4. 低温、時短の洗濯方法にする

洗濯の仕方によっても、マイクロプラスチックの流出を減らせる可能性がある。ドイツの家電メーカー「ミーレ社」の洗濯機を使った最新の研究によると、標準設定である40℃で85分間回すのに比べ、低温・時短設定の15℃で30分間回すのでは放出されるマイクロファイバーが30%減ることがわかった。研究者たちは、ヨーロッパのすべての家庭がこれを行うと、年間3800トン以上のマイクロプラスチックの放出を減らせる可能性があると述べ、推奨している。

5. 一度にまとめて洗濯

Photo: Konstantin Yuganov / 123RF

より環境に優しい洗濯を実践するなら、洗濯機の容量いっぱいのまとめ洗いをするのが鉄則。水とエネルギーの両方を節約できるからだ。さらに洗濯物が多いほうが衣服同士の過度な摩擦が減り、一着あたりに使用される水量も少なくなるため、環境に放出されるマイクロプラスチック量を抑えられることもわかってきた。ナッパー博士は、「最小限の水を使用することで、放出される繊維の数を減らせることが研究で明らかになっている」と説明する。

6. デリケート洗いを避ける

上述した内容と同様の理由で、ニットやランジェリーの洗濯時にデリケートコースを選ばないことも、マイクロプラスチックの放出を防ぐコツだ。デリケートコースの設定では、1回の洗濯で通常洗いの約2倍もの水が使用され、平均80万本も多くマイクロファイバーが放出されることが、2019年の調査で明らかになった。

そもそも、一度着ただけで必ずしも洗う必要はなく、汚れや匂いが気になったときに洗えば洗濯の回数は減らせる。その際はお風呂に入ったときについでに手洗いするなど、節水や水の利活用を心がけよう。

7.古着を買う

「新品の洋服は、最初の数回の洗濯でより多くの繊維が剥がれ、それ以降は毎回一定の量が放出される」とナッパー博士。確かに、ある調査によると新品の服は最初の8回の洗濯で最も多くのマイクロファイバーを放出することがわかっている。つまり、すでに所有している衣服を長持ちさせたり古着を買ったりすることは、マイクロプラスチックを減らす意味においてもソーシャルグッドな選択なのだ。

Text: Emily Chan, Mina Oba