福島第1原発の汚染水処理施設でまた廃液漏れ 周辺環境の240倍の放射線 地面に染みこんだ可能性も

2024年2月8日 06時00分
 東京電力は7日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水の除染設備を洗浄中、建屋外に洗浄廃液が漏れ出たと発表した。漏えい現場で、周辺環境の約240倍に当たる7万2000cpm(1分間当たりに計測された放射線の数)が測定された。廃液が地面に染みこんだ可能性があるという。

◆作業員の被ばく、発電所構外への漏えいはなし

 東電によると、7日午前9時ごろ、汚染水に含まれる放射性セシウムやストロンチウムを低減する除染設備で、点検のために設備を洗浄していたところ、建屋外の排気口から洗浄廃液が漏れ出ているのを作業員が見つけた。約10分後に洗浄水の送水を止め、漏えいは止まった。作業員の被ばくはなかったという。
 東電は漏えい量を約5.5トンと試算。排気口につながる配管の弁が開いていたとみられ、原因を調べている。

除染設備がある建屋外に漏れ出た洗浄廃液の水たまり=福島第1原発で(東京電力提供)

 排気口下の地面には水たまりが確認され、地中に染みこんだ可能性があるため、土壌を回収する。東電は発電所構外への漏えいはないとしている。
 汚染水は除染設備で処理した後、多核種除去設備(ALPS)でもう一度処理してトリチウムを除く大半の放射性物質を除去し、保管タンクに貯蔵されている。ALPSでは昨年10月、配管の洗浄中に廃液が飛散し、作業員2人が一時入院する被ばく事故が起きた。(小野沢健太)

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