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常口アトム

3月に竣工した自社企画物件「J・Gate近代美術館」。成約者アンケートによる人気設備を完備している

社内体制の刷新と新規事業の創出で、求められる存在へ

 不動産仲介と管理で道内最大手の「常口アトム」。管理戸数は約5万7000戸、年間仲介件数は約3万件、仲介店舗数は道内を中心に直営で50店舗にも上る。すべてが道内一の業容だ。

 陣頭指揮を執るのが、清河智英社長。2021年12月の着任から人事制度の刷新に着手している。

 ベースアップをはじめ、初任給の引き上げや業績偏重の考課体系を一部見直し、人事考課による昇格により給与が上がる仕組みなどを構築した。

「成績や売り上げ重視の組織体系を見直し、あらゆる人材が安定して働ける環境を構築することで、永続的に企業が成長できると考えています」と清河社長。

 組織の盤石化を図る一方で、22年から5カ年の中期経営計画「CS2027」を掲げている。目標は27年9月期に売上高105億円、営業利益8億円、管理戸数6万戸、女性管理職の比率20%の達成だ。

 清河社長は「コロナで希薄になったオーナー様との信頼関係の強化と入居者様の満足度向上、そして多様な人材が働ける環境整備を目的とした施策を打ち出しています」と〝顧客と社員主義〟を徹底する。

 その1つが自社企画物件の展開だ。3月から札幌市中央区の賃貸マンション「J・Gate近代美術館」の竣工を皮切りに、4月末には清田区でモデルハウスも公開する。ファミリー層に人気のテラスハウスタイプの物件で、企画力の高さをオーナーに訴求する。

 さらに、築古で収益力が低下した物件の再生事業も開始した。3月に北大エリアで築38年の木造2階建てアパートをフルリフォームし「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を活用することで利回りを確保した。

「同事業の北海道第1号認定を受けました。建築コストが右肩上がりの中、オーナー様の新たな選択肢として提案していきたい」と清河社長は語る。

 女性の活躍推進では、4月から子育て社員の時短勤務の適用を小学校入学前から中学校入学前まで拡大。長く安定して働ける環境づくりも進めている。

 清河社長は「人口減少や空き家問題など、業界を取り巻く課題はさまざまですが、いつの時代も挑戦を続け、お客様や地域から求められ続ける存在でありたい」と意気込む。

清河智英社長
賃貸契約を結ぶ店舗の一部を他社に転貸借している新形態の「苫小牧支店」