IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解に相違

アジア太平洋、軟着陸の見込み高まる インフレ低下で=IMF
 4月30日、国際通貨基金(IMF)は、アジア太平洋地域について、今後2年間で成長率が鈍化する見通しだが、急速なディスインフレと底堅い成長でソフトランディング(軟着陸)を達成できるとの見通しを示した。写真はIMFのロゴ。米ワシントンで2018年9月撮影(2024 ロイター/Yuri Gripas)
[19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、中東とウクライナ情勢を巡る見解の相違から国際通貨金融委員会(IMFC)の共同声明を取りまとめることができず、紛争がもたらす経済的リスクに対する認識を示す議長声明を代わりに発表した。
議長声明は「ウクライナの戦争、パレスチナ自治区ガザの人道危機、紅海の海運の混乱などの戦争や紛争で、世界的なマクロ経済と金融が受ける影響について討議した」とし、「IMFCは地政学や安全保障の問題を解決する場ではないとしながらも、このような状況で世界経済が重大な影響を受けるとの認識を示した」とした。
IMFC議長を務めるサウジアラビアのジャドアーン財務相は記者会見で、世界経済の地政学的分断は総じてマイナスの影響をもたらしているとしながらも、こうした傾向の一環として起きている供給網の多様化で一部の国が恩恵を受けているとの認識を示した。
フィンランドのリイッカ・プッラ財務相は議長声明発表後、記者団に対し、ロシアについて明確に言及されていないとして、北欧諸国は共同声明の採択に全会一致で反対したと指摘。「ウクライナで戦争を起こし、世界中にあらゆる経済的影響を及ぼしているロシアについて、明確かつ直接的に言及していない共同声明を承認することは不可能だった」とした。

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