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今週の米国債入札、利回りピーク到達か試金石に-2年債など最大規模

  • 表面利率5%の可能性視野に2年債入札に堅調な需要見込まれる
  • 26日発表の3月のPCE価格指数も政策金利の見通し形成左右へ

米国債相場にとって今月は年初来で最悪の月となる方向にある。今年の最高水準に達した利回りがピークに達したかどうか、多額に上る一連の国債入札が大きな試金石となる。投資家は中東情勢の緊張に伴うボラティリティーのさらなる高まりのリスク以外にも備えている。

  今週は総額1830億ドル(約28兆2900億円)に上る米2年債、5年債、7年債の入札が行われ、このうち2年債と5年債は過去最大規模となる。その後26日には3月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表され、米金融当局の政策金利の道筋を巡る見通し形成を左右する。

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  米経済の底堅さを示す兆候を背景に、トレーダーが米利下げ時期の予想を今年遅い時期に修正して利回りが今月に入り急上昇したのを受け、投資家の購入意欲を示す強い兆しがある。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が16日、金融当局として利下げを急がないことを示唆したのを受けて米国債が売られ、2年債利回りは一時5%を上回った。

US Two-Year Leads Market Return to 5% Yields
 
 

  米短期債に投資しようと考える債券マネジャーにとって、5%は今や特別な意味を持つ数字と映っている。ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏はパウエル議長の発言について、米国債相場底打ちの可能性の感覚を強化するメッセージだと受け止めている。

  マッキンタイア氏は「金融当局が従来の方針を堅持し、『インフレを退治する』と言っているということは、利回りピークの存在を意味する」とする一方、「当局の巻き戻しが早過ぎて利下げするなら、利回りは急上昇するだろう」と話した。

「ほぼ到達」

  米2年債利回りは先週、約4.99%で終了した。このため、23日の2年債入札では少なくとも5%の表面利率となる可能性がある。その場合、同年限としては昨年以来であり、それ以前では10年余り投資家が目にしなかった水準だ。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポートフォリオマネジャー、マイケル・カジル氏は「2年債入札で表面利率が5%となる可能性があり、ほぼそこに到達している」と語る。

  「市場は米利下げ見通しを大幅に切り詰め、現時点では合理的な価格設定となっており、ちょうど妥当なレンジの結果に向かうタイミングだ」とカジル氏は述べた。ピムコでは2年債や5年債、7年債などを選好し、金利へのエクスポージャーを積み増していると説明した。

  もちろん、米国債利回り全般が昨年10月のピークに向けて上昇し続けるリスクはある。当時は一部年限の利回りが5%を突破した。

米10年債利回りは5%にも、大量の損切り売り発生の恐れ-バンガード

  そこで重要となるのは米金融当局がインフレ指標として重視するPCE価格指数だ。3月の総合価格指数は前年同月比2.6%上昇と、前月の2.5%上昇から小幅加速が予想され、2%の当局物価目標に向けた進展の失速が示唆される可能性がある。3月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなったことで、トレーダーは警戒している。

  それでも、米国債への需要を示唆する多くの証拠が浮上している。17日に行われた20年債入札には旺盛な需要があった。また、JPモルガン・チェースによる最新の顧客調査では、投資家の米国債ネットロングは数週間ぶりの高水準となっている。

  投資家はこのほか、2年債表面利率が昨年5%に回帰したことが購入の好機となった点にも留意している。利回りはその後、今年1月の時点で4.15%を割り込んだ。3月にも利下げがあるとの市場の観測が響いた。

Fixed Rate on US Two-Year Debt Last Topped 5% in 2006
 
 

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は10-12月(第4四半期)まで利下げを待つとトレーダーは見込んでいるものの、年内に少なくとも多少の金融緩和の可能性があることは、新たに指標となる2年債と5年債の相場上昇の余地を示唆する。

  JPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は、CPIが予想を上回るとともに、米財務省短期証券(TB)利回りより低めであっても、金融当局の基本シナリオが利下げであり続けることで、2年債表面利率が5%前後であるのは「魅力的だ」と述べた。

  債券投資家はマネーマーケットファンド(MMF)の潜在的需要も想定する。現行5.25-5.5%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジに近いTB利回りに2年債利回りが近づくことで、個人投資家は26年までこうした水準を確定することに魅力を感じ始める可能性がある。

  ブランディワインのマッキンタイア氏は「現金から債券の一部に移行するプロセスは恐らく段階的に進行し、期間が短めのものから始まるだろう」と分析した。

Yield Divergence Narrows | US two-year yield around 5% approaches bill yields
 
 

原題:Bond Traders Look to Record Auction for Sign 5% Yield Is Peak(抜粋)

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