海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

大浦湾に石材投入/普天間基地を固定化するために長期化される工事

2024-01-10 22:24:43 | 米軍・自衛隊・基地問題

 10日(水)は強風のためカヌーによる抗議行動ができなかったので、抗議船・翔也丸1隻を出し、汀間沖のフロート付近で海上行動を行った。

 午前8時50分頃、翔也丸に乗って汀間漁港を出港すると、海上ヤード建設予定海域に近い汀間沖のフロート付近を目指した。

 本部港塩川地区で石材を積み込んだランプウェイ台船・第八十八ひなた号が、すでに大浦湾に入って停泊していた。ショベルカーが2台乗っていて、キャタピラーの下には石材が確認できた。

 午前9時15分頃、第八十八ひなた号がタグボート・ひなた丸に曳航されて移動を始めた。同船はこれまでK9護岸での土砂陸揚げに使用されてきたランプウェイ台船で、3000トンを積載できる。

 午前9時30分頃、第八十八ひなた号が海上ヤード建設海域に着いて停船すると、船腹に汚濁防止膜で囲った四角い枠が設置された。

 この枠の中にショベルカーで石材を下ろす工法のようだ。ガット船に石材を積んでバケットで基礎捨て石を投入するのかと思っていたが、水深が浅くて無理だったのだろうか。

 ランプウェイ台船やバージ船に石材を積み、本部港塩川地区から移動するには、ガット船に比べて海象条件が厳しくなるはずだ。今後もこのやり方を続けるのだろうか。いずれは瀬取り方式に変えるのだろうか。

 台船の上では作業員たちが石材投入の準備作業を行っていた。カヌーに乗って抗議したかったが、この後さらに風が強くなるので、船上からプラカードを掲げて大浦湾での着工に抗議した。

 メディアの報道によれば、台船上では作業開始の儀式も行われたようだ。

 午後12時過ぎに石材が投下されるとの情報があったので、風が強まり白波が立つ状態だったが、翔也丸で監視・抗議活動を続けた。

 午後12時14分頃、台船上のショベルカーが動き出した。

 そして、12時16分にケーソンを仮置きする海上ヤード建設のため、最初の石材が大浦湾に投入された。

 昨日、今日と全国から大勢の報道関係者が訪れ、この様子を発信している。日本政府・防衛省が狙っているのは、報道に接して沖縄人が「国のやることは止められない」「止められないなら取れるものを取った方がいい」とあきらめ、無力感に陥って、わずかばかりの飴に群がることだ。

 岸田首相をはじめとする自民党・公明党の政治家は「世界一危険な普天間基地の固定化は許されない。1日も早い返還実現のため、辺野古の工事を進める」と決まり文句をくり返すだけだ。

 しかし、普天間基地返還のための努力は何もしない。辺野古新基地が完成し、米軍に引き渡すまで12年かかるというが、それまで何もしないつもりだろう。仮に12年で工事が終わらなければ、返還はさらに先延ばしされる。

 つまりは、辺野古新基地建設は最低でも12年は普天間基地を固定化するものであり、工事が終わらなければその先もずっと固定化するためにある。

 それによって米軍は何も困らないし、むしろそれを望んでいる。滑走路が短い辺野古新基地は、普天間基地の代替施設になり得ない。辺野古新基地が完成しないので、仕方がないから普天間基地を使い続けているのだ。米軍はそう言って、事故が起これば日本政府に責任を転嫁し、日本政府はまた、沖縄県が協力しなかったから工事が遅れた、と沖縄に責任を転嫁するだろう。

 こういう愚劣な茶番によって被害を被るのは沖縄人だ。1年にも満たない期間に、自衛隊、米軍、海保が搭乗員の全員もしくは大半が死亡する航空機事故を起こしている。政府がいう「南西領土防衛」をになう三つの組織が、このような大事故を起こす中で、沖縄の軍事的負担はさらに増加していく。いつ住民を巻き込む事故が起こってもおかしくない。

 2014年の8月から辺野古の海・大浦湾でカヌーを漕いで工事の様子を見てきたが、今日の節目に改めて感じるのは、この工事は12年ではとても終わらない、ということだ。そして、普天間基地を固定化するためにこそ工事は長期化される、ということだ。

 日本社会はこれから、少子化が進んで労働力不足が深刻化し、残業規制も厳しくなる。建設資材や燃料費も高騰し、工期は延び予算は増え続けるだろう。こんな工事に時間と予算を浪費するのは愚の骨頂である。

 沖縄や日本の若い世代には、こういう一部の政治家とゼネコンを儲けさせるための古い利権構造こそが、自分たちの将来を絶望的にしていることを考えてほしい。

 10日は朝、ガット船5隻(かいおう丸、第18藤進、美鍛丸、國喜18、聖嘉)が大浦湾に入り、前日から残っていた聖嶺とともにデッキバージやランプウェイ台船に土砂を積み替えていた。

 K9・K8護岸ともに土砂の陸揚げが行われていた。

 ガット船は午後に第七太海丸、第八太海丸、第百三十六伊勢丸も入っている。1日に8隻ものガット船がいまだに入り、辺野古側埋め立て工区に土砂を投入していることも異常なことだ。

 午後1時12分頃、瀬嵩の森から大浦湾の様子を見た。報道関係者で狭い場所がいっぱいだったが、明日は何名来るだろうか。

 海上ヤードの建設海域では、第八十八ひなた号からの石材投入が続けられていた。

 この時間帯はK9護岸での土砂陸揚げは行われていなかったが、あとで新たな台船が着岸したと思われる。K8護岸での土砂陸揚げは続いていた。

 ガット船が大浦湾を出ていくところだったが、沖縄島西側の海が3メートル以上の波と強風で荒れているので、ガット船6隻(聖嶺、第十八藤進、かいおう丸、聖嘉、美鍛丸、國喜18)は金武湾に停泊している。

 瀬嵩の森ではケラマツツジがもうすぐ花を開こうとしていた。冬の森に赤いつぼみが鮮やかだった。

 


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