医療機関、サイバー対策強化 県医師会、県警と連携組織設立

2023/7/11 10:22
サイバーセキュリティーの対策を強化するため設立した連携組織の初会合=山形市・県医師会館

 全国で病院など医療機関を標的にしたサイバー攻撃が相次ぐ中、県医師会は県警と連携してセキュリティー対策に乗り出す。医療機関は秘匿性の高い個人情報を取り扱うが、同会の調査では回答した医療機関のうち6割以上が不正アクセスや情報漏えいなどへの対策を講じていなかった。同会は県警との連携組織を立ち上げ、サイバー空間での犯罪やテロなどへの備えを強化する。10日に初会合を開いた。

 調査は今年2~3月、県内の全67病院、同会所属の診療所630カ所を対象に初めて行い、回答率は36.8%(257カ所)。不正アクセスなどを経験した医療機関は26カ所で約1割。成り済ましメールの受信は18件、端末などへのウイルス感染は6件確認された。

 一方、ウイルス感染やホームページの改ざん、乗っ取りの被害を受けた場合の対策、情報漏えいの防止策は診療所を中心として6割以上で講じられていなかった。「何をすべきか分からない」との回答が目立った。

 全国では病院などを標的とした身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」などによるサイバー攻撃の被害を受け、診療などに影響が及んだケースが確認されている。本県の医療機関も、国際的なハッカー集団から狙われる危険性はないとは言えず、対策が急がれる。

 連携組織は県医師会に新設した「サイバーセキュリティ対策委員会」で、同会役員や中核病院の院長などで構成し、県警サイバー犯罪対策課の担当者が加わる。サイバー攻撃への初動対応や情報管理のルール策定などをテーマに想定し、病院や診療所の医療情報に関わる医師や看護師、事務員らを対象に対応力を強化する研修を年数回行う方針。同課は「サイバー攻撃を受けた際の対処法などを県医師会と情報共有し、被害の未然防止と拡大を抑止したい」としている。

 10日に開かれた委員会の初会合は山形市の県医師会館でビデオ会議を使った。委員長の中目千之(なかのめちゆき)会長は「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む一方、サイバー攻撃も増えている。県警と連携を密にし、安心して医療を提供できる体制を整えたい」と述べた。

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