真相は?岸田首相「確認できていない」 安倍派「還流」めぐる幹部会合 出席者の証言が食い違っている

2024年3月7日 06時00分
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、衆院政治倫理審査会での安倍派幹部の証言の食い違いが、真相解明の焦点となっている。一度廃止が決まったパーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)を継続したことについて、塩谷立元文部科学相と西村康稔前経済産業相の認識が一致しない。6日の参院予算委員会でも野党の追及が続いたが、岸田文雄首相は「党として実態把握に努めているが、現在確認できていない」と明確に答えないままだった。(三輪喜人)

◆塩谷氏「還流継続になった」 西村氏「結論出ず」

 1日の衆院政倫審での答弁によると、2022年4月の安倍派幹部の会合で、会長だった安倍晋三元首相が還流廃止を指示。会合には、当時会長代理だった塩谷氏と下村博文氏、事務総長の西村氏、参院自民幹事長の世耕弘成氏、松本淳一郎事務局長=政治資金規正法違反罪で在宅起訴=の5人も参加した。
 その場で安倍氏は「現金還付は非常に不透明で疑義が生じかねない」と説明。その後、幹部が手分けをして所属議員に電話し、還流廃止を伝えた。
 しかし、所属議員から還流の継続を求める声が多数上がり、安倍氏死去後の8月上旬、5人が再び集まり、還流を巡って協議した。塩谷、西村両氏とも8月に会合が行われたとの証言は合致する。
 食い違うのは会合の結論だ。塩谷氏は衆院政倫審で、還流復活を協議したのは8月の会合1回だけで「(還流廃止で)困っている人がたくさんいるから、仕方ないぐらいの話し合いで継続になった」と説明した。
 一方、西村氏は「その時は結論は出ず、8月10日に経産相となって事務総長を離れた」と主張。後任の高木毅氏も「検討の場に出席したことはない」と関与を否定し、再開は11月に「事務局から聞いた」と述べる。いつ、どの場で、誰が還流再開を決めたのか、責任の所在は不明なままだ。

◆首相は昨年「国民の信頼回復に火の玉となって取り組む」と…

参院予算委で資料を眺める岸田首相(千葉一成撮影)

 立憲民主党の小西洋之氏は6日の参院予算委に先立ち、8月会合を巡る認識の食い違いを、首相が塩谷氏らに直接確認するよう求めた。首相は予算委で本人に尋ねたかは曖昧にしたまま「確認できていない」と繰り返した。
 安倍派の還流の経緯を知り得る立場にいたとして森喜朗元首相への聞き取りも求められたが、首相は「森氏には直接聞いていない」と回答。正面から答えない首相に対し、小西氏は「火の玉の決意というのは、線香花火程度の決意ではないか」と皮肉った。

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