嵯峨崎地域新聞

嵯峨崎地域に於ける事件・事故

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止まらぬ「嵯峨崎心中」 4組目の男女、遺体で発見

 昨日午前6時ごろ、嵯峨崎警察署にジョギング中の男性から「鬼蓮公園で人が2人倒れている。いずれも血まみれで動かない」といった旨の通報があった。
警官が現場に駆け付けたところ、同園内のオニバス池の畔にて倒れている男女を発見。間もなく到着した救急により、どちらも死亡が確認された。

 死亡したのは、嵯峨崎市内在住の会社員美濃陽二さん(27)と、同在住の大学生田端かおりさん(21)どちらも死因は刺殺で、胸部から腹部にかけて複数の刺し傷があった。
傷はいずれも胴体に集中しており、凶器とみられるナイフも遺体のすぐそばに落ちていたため、現在も逃走中である連続通り魔「ハリネズミ」との関連性は薄いと断定。
警察は、昨年夏ごろより市内で起こっている連続男女殺害事件の一端としつつ、また「ハリネズミ」の模倣犯、もしくは心中の可能性も視野に入れて捜査中である。

 嵯峨崎市内では昨年夏ごろより、一組の男女が喉から腹部にかけてをめった刺しにされ死亡する事件が相次いでいる。
今回の事件で死亡者は4組8名となるが、被害者がいずれも10代後半から30代にかけての若い男女である点、死因が刺殺である点、近松門左衛門作『曽根崎心中』の一節を記したメモが必ず現場に残されている点から、メディアにより「嵯峨崎心中事件」との呼び名が付いたのも記憶に新しい。

 無念の死を遂げた被害者や彼らの遺族、また殺人鬼の脅威に怯える近隣住民のためにも、一刻も早い解決が望まれる。(ライター=佐喜子葉)

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○記者後記
 ここからは記事の形ではなく、もしもの時のための私記として情報を残す。

 今回の執筆に当たっては、嵯峨崎警察署の刑事T氏に情報提供等の協力を頂いた。
私との旧知の仲ゆえの快諾であったが、本来ならば捜査上の機密に抵触する情報もある上、また何より氏も私自身も疑念や怖気を覚える点も多いため、広く公にならない雑記ないしは備忘録としての形で文章を残す事を許してほしい。

 本記事に記載した「嵯峨崎心中」の共通点は、
①殺されるのは若い一組の男女である点
②死因は喉から腹部にかけての複数の刺し傷である点
③死体発見現場に『曽根崎心中』の一節を記したメモが残されている点
であるが、実を言うとこれらには、更に奇妙な共通点がある。

 まず①に関して。嵯峨崎心中という事件名から私も誤解していたのだが、「心中」のペアとなった被害者はいずれも恋人や夫婦の関係ではないらしい。
それどころか、被害者ペア間には面識はおろか、SNSサイト等での繋がりも一切ないのだと言う。
しかしそれでは、年齢も出身地も違う、ただ共に嵯峨崎市内在住であるというだけの赤の他人2人が、ペアを組まされ次々に殺されている事になる。
とは言え、本当にただの無差別殺人なら頻度が少ない気もするし、若い男女ペアに拘る理由が不明だとはT氏の言であるが、果たして…

 ②に関しては、現場に残された凶器に謎が残る。傷口の形や付着した血液のDNAと照合するに、遺体の傍らに投げ出されたナイフや包丁は、いずれもペアの殺害に使われたもので違いないと言う。
しかし、その短刀類には被害者二人分の指紋しか残されておらず、第三者の指紋は一切検出されなかったのだ。
更に、いずれの事件も被害者の腕部は無傷であったにも関わらず、彼らの利き手はペンキ缶でもひっ被ったかのように血まみれであったらしい。
これらを総合して考えると、何とも馬鹿げた、しかしおぞましい可能性が思い浮かぶ。
一本の短刀を交換しながら、急所を避け、それでも互いに死ぬまで刺し合う「心中」…第三者の殺人鬼など存在しないのか?…まさか、そっちの方が現実味がない。

 ③については、理系であるT氏よりも文系学部卒の私が詳しいだろう。
曽根崎心中の有名な節と言えば、「此の世のなごり。世もなごり。死に行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜」であり、実際嵯峨崎心中で残されるメモも元ネタ自体はこのフレーズなのだが、厳密に言えば少しだけ違う。
「此の世→子の世」「あだしが原→私が腹」「道の霜→未知の死も」等、悪趣味な誤変換のような誤字がそこここに散見されるのだ。
しかも、その誤字は事件が件数を重ねるごとに増え、より物騒になっていくように思う。
いや違う、正確に言えば誤字が増えるのではなく、そもそも犯人が伝えたい正しいメッセージへと、徐々に組み変わっているように私には見えるのだ。
まるで、若者の身体と『曽根崎心中』を媒体に、「何者か」が日本語表現の勉強でもしているかのように…。
もし、五件目六件目とこの事件が続いていけば、そこには『曽根崎心中』とは似ても似つかない何らかの文章が残されるのかもしれない……

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