私がしてきたチャレンジです。
■木の文化・建築技術の継承・発展の取り組み
私は伝統的な技術を使って木造住宅の設計をしています。
ハウスメーカー住宅が主流の日本では、この技術を使って建てている木造住宅が少なく、絶滅危惧の技術になりつつあるために30年前から普及する活動をしています。
私が伝統木造の設計を始めた頃、市役所の建築確認業務の担当者に「あなたがやっている木造はもうなくなる」と言われたのが私の活動の原点です。
日本の伝統木造技術を学び始めた頃で、そのすばらしさを感じ始めた時期なので、それを「なくなるもの」と扱われたことに強い憤りを覚えました。
伝統木造技術に携わっている人、日本の伝統文化を愛している人も同様に感じるのではないでしょうか。
日本のすばらしい伝統木造技術を残すために何ができるのかを考えました。最初からゴールを見越したわけではありませんが、私自身ができることは何でもやろうと決めましました。
当然一人でできることではありません。しかし、一人でも本気になれば、世の中に変化をもたらす種を植えることができます。
それが【ゼロ・トゥ・ワン】の醍醐味です。
木造伝統技術を遺すために行動したことは以下の通りです。
①一般の人に、日本には山から木を伐りだし、木作りし、木を組む技術者と木の流通業者の存在を知ってもらうイベントを企画しました。
②木造伝統技術の木造住宅の普及・啓発のために伝統木造技術の職人、建築士を誘い、全国組織を作りました。
③木造建築技術の次の世代に継承するのために今残っている技術の書籍を執筆しました。
④1995年に発生した阪神・淡路大震災では木造の被害がクローズアップされ、木造建築の耐震性が問われました。
木造建築技術者と学者が共同で木造の耐震性を検証し、技術を発展させました。
⑤個々の設計事務所としての活動の他に仲間とNPOを立ち上げ埼玉県産材による木造住宅の供給を始めました。
⑥伝統木造技術を建築基準法に盛り込んだり、維持のための予算を付けるためには公的な位置付けが必要と考えた。
⑦そのためにユネスコ無形文化遺産の登録を提案した。2021年に登録が実現された。
成果はそれぞれの項目のサイトでご確認ください。
定量的な成果を出せるもの・出せないものがあります。後世の研究者によって歴史的な評価されることを期待します。
少なくともアジェンダ(後に知った言葉)を作成した通りに社会が動いていることによって私の取り組みの痕跡は確認できます。
どれも私がなしえた成果ではなく、【私が蒔いた種】をきっかけに多くの人が関わって社会を前進させることになった事実を記します。
それが【ゼロ・トゥ・ワン】の醍醐味です。
より良い社会を望めば、何十年後には実現することの証左の一例です。
以下に具体的な活動を報告します。
①全国初の木材利用推進の全国イベントを開催
1998年NHK共催『木にふれあうフェスティバル』を主催しました。
木造利用を推進するために、木造流通業界、工務店、設計事務所が共同して木材のPRイベントを開催しました。その企画に加わり、木材流通業界と建設業界の橋渡しと、参加協力者の手配を行いました。
このイベント以降毎年開催される恒例の行事になりました。
● NHK「木にふれあうフェスティバル」
② 伝統木造住宅技術者の全国組織の創設
このままでは伝統技術の木造住宅は先細りになることが感じられたために伝統木造技術の職人、建築士を誘い、「職人がつくる木の家ネット」という全国組織を作りました。
秋田県の補助金を利用するために企画書を作成し、ホームページ作成の資金を確保し、ホームページ上でつながる団体になりました。
年に一度会員が実際に集い、情報交換と関係法令に伝統木造技術を反映させるためのロビー活動を続けています。
●職人がつくる木の家ネット
●木の家ネット誕生物語
③木造技術の書籍執筆
生きた伝統木造技術を伝えられる最後の世代という危機感から、職人の聴き取りと文献調査をしながら、生産、工法、技術を網羅するシリーズ本を共著で執筆しました。
●新・木のデザイン図鑑
●木のデザイン最強マニュアル
●復刻版 和風デザイン図鑑
●新・和風デザイン図鑑ハンドブック
④伝統的木造住宅の耐震性の検証団体の創設
阪神・淡路大震災をきっかけに木造建築の見直しと構法の提案をしました。
●これからの木造住宅を考える連絡会
⑤県産材伝統的木造住宅の普及のためのNPOの創設
職人、工務店、建築士、消費者が集って、埼玉県産材を使って伝統的木造住宅の普及に取り組みました。
⑥伝統木造技術を建築基準法に盛り込み、伝統木造技術の維持・継承のための予算を付けやすいようにする。
●建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
⑦「工匠の技」ユネスコ無形文化遺産の登録
永続的に日本の伝統木造技術を定着するために、【ユネスコ無形文化遺産の登録】を発案し、多くの方の努力により実現しました。
伝統構法をユネスコ無形文化遺産に
【ZERO to ONE】①
【ZERO to ONE】③【日本の建築法規】を巡る孤軍奮闘❗️
●江原幸壱のオフィシャルサイト
一級建築士/ジャーナリスト
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●プロフィール
一級建築士/ZERO to ONEコンサルティング/マーケティングコンサルタント/ジャーナリスト
江原 幸壱
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【本当に建てたい家】の見つけ方《木の建築設計》
【どこにもないがここにある】