フィリピン大統領 米と原子力協定 2032年までに原発稼働目指す

原子力発電の導入を目指すフィリピンのマルコス大統領は、アメリカとの間で原子力協定を結び、アメリカ企業の協力を得ながら2032年までにフィリピンで初めてとなる原発を稼働させたい考えです。

人口増加が続くフィリピンでは、慢性的な電力不足が続いているほか、発電のおよそ60%を石炭火力が占めていることから、環境への影響を抑えるため原子力発電の導入を目指しています。

アメリカを訪問中のマルコス大統領は16日、アメリカ政府との間で結ぶ原子力協定の署名式に立ち会いました。

この中でマルコス大統領は、アメリカとの同盟関係をもとに進めることができた成果だとして協定を締結した意義を強調しました。

マルコス大統領としては、協定に基づいてアメリカの企業から核物質や機器の輸入、それに技術移転を進め、2032年までにフィリピンで初めてとなる原子力発電所を稼働させたい考えです。

フィリピンでは、マルコス大統領の父親が政権を率いた1984年に東南アジアで初めてとなる「バターン原発」が建設されましたが、その後政権が崩壊したことなどで一度も運転されないまま施設が残っていて、こうした施設の活用も視野に入れているということです。

一方、アメリカとしても南シナ海や台湾有事を念頭に安全保障面で連携を強めるフィリピンと協力できる分野を広げたい思惑があるものとみられます。