小指に込める

小指に込める



ソフィ「私とずっと一緒にいてください」

デリザ「…なにいきなり?ソフィナちゃん悪趣味だなーオレなんかにそんなこというの。ウケーー」

ソフィ「誤魔化そうとしないで結構です。…あなたには罪があります。どのような理由があろうとも、あなたの罪はあなた自身が背負わなければならない。」

デリザ「………。」

ソフィ「それでも側にいて支えてはならない訳ではありません。私はあなたの側にいたい。どうか近くにいることを許してくれませんか?」

デリザ「…な、ん…、で」

ソフィ「……。…休日に、本から顔を上げたとき。…隣で、デリザスタが読書している横顔が、好きになってしまいました。それだけじゃない。あなたが可能な限り言葉に誠実でいようとしている姿。慣れない秩序にそれでも真摯に振る舞う姿。ずっと好ましかった」

デリザ「………そん、な、そんなことで…?」

ソフィ「私にとっては、重要だったのです」

デリザ「…嫌だ。…お願いソフィナちゃん。やめてください。オレなんかにソフィナちゃんを割かないで」

ソフィ「…私はあなたを特別な相手にしたい。だから私があなたの特別な相手になりたいと願うことを、どうか許してくれませんか。」

デリザ「それ…、そんな、せめて、じゃ、じゃあ…セフレ!それならいいだろ!?オレ抱かれるほうが慣れてるけど、まともなセックスそんなにしたことないけど、それでもヤるのは上手いからさぁ!?だから…だから!」

ソフィ「………。」

デリザ「……。頼むよ…。オレは、何にもできないんだ」

ソフィ「そう…。では一つだけ約束してください、デリザスタ。私の前からいなくならないと。どこかに逃げたりしないことを誓ってください。」

デリザ「そんなことなら、いくらでも。…わざわざ誓わなくても、絶対オレはソフィナちゃんを裏切らねーよ」



デリザスタが安堵して微笑むのをソフィナはは先は長いなーと若干渋い顔で見ていた。


ソフィナが差し出した細い小指に、戸惑ったデリザスタが自身の節くれだった小指を絡めた。

幼な子のような指切りを終えて、指を離した後もデリザスタはそわそわと妙に小指を気にしたそぶりをみせる。

挙げ句の果てには小指を天に翳して眩しいものをみるように眺めている。

この調子ではセックスどころか手を繋ぐくらいですら難しそうだ。

この傷付きすぎた男はソフィナをあまりにも大切に思うあまり、身体が軽く触れてしまう程度でも過剰に反応する。

本当に、キスやセックスをデリザスタを傷つけないように実行するのは大変だろう。


…しかしまあ、指切りのまじないは極めて簡単なわりには意外と効力を発揮する。とりあえずこれで自分のもとからデリザスタが勝手にいなくなることは多少なりとも防げるはずだ。


絶対コイツ幸せにしてやる。


先ほど愛しい男との指切りに使った小指をじっと見つめる。

実力勝負の神覚者選抜を勝ち抜き知の神杖の名を戴いた女は、自分自身に改めてそう誓った。

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