IF世界線SS
マッシュイノゼロIF
「大丈夫だ。メリアドールさんの医療の腕は凄いからな。お前のじいさんは助かる」
「……ただの知り合いです。血は繋がっていません」
ブラッドは思わずため息をつきそうになった。
(ただの知り合いなら大怪我していてもあそこまで悲痛な顔で背負って来ないだろ)
ガチャ
手術室の部屋から返り血を浴びたメリアドールが出てくる。
「手術は成功しました」
「そうか!良かったなガキ……」
そう言ってブラッドは隣を見る。
少年はどこにもいなかった。
エイムズ兄弟イノゼロIF
ボクは弱い。
だから兄さまもあの方もボクに大した仕事を渡さないのだろう。
「イーストンへの潜入……ですか」
「そうだ。ウォールバーグの弱みを探って来てほしい」
(ウォールバーグ……イーストンの新しい校長であり、最強と名高い元神覚者。おそらくボクがイノセント・ゼロ様の部下だとバレたならタダでは済まされないだろう)
(……ボクはもう要らない駒なのか)
「承知致しました」
「それともう一つ。もしイーストンに行方不明である私の可愛い息子がいた場合は連れ帰ってきてくれ」
「……はい」
「もし連れ帰ることが出来たなら、お前にもレインと同じ仕事を渡すことにしよう」
「!」
(仕事が出来るようになったら、ボクも兄さまたちの役に立てる!)
「期待しているぞフィン」
「はい!」
そうボクはイノセント・ゼロ様に返事をしてその場を去った。
オーターイノゼロIF
「……私の弟、ですか?」
「はい。貴方を探しているそうですよオーター」
「はあ。そうですか」
「……興味がないんですか?」
「昔のことはほとんど覚えていないので。弟がいたと言われても実感はないですね」
「……そうですか」
「それにその子と関わったらあの方はおそらくお怒りになるでしょう?実感がないとはいえ弟殺しは嫌です」
「……」
「それでは私は寝ます。おやすみなさいセルさん」
「はい。おやすみなさいオーター」