センチネル大地に立つ!!

センチネル大地に立つ!!




"みなさん、もうひと踏ん張りです。もう少しで援軍が到着します。それまで耐えてください"


ハナコは戦っている者たちに無線で声を掛ける。シスターフッドも救護騎士団もアリウスもアイアコンの騎士も立場や所属を越えて、目の前の脅威に立ち向かっている。


だが足りない。もう一押しがどうしても足りない。故にある人物にハナコは援軍を頼んだ。他の者たちからは反対されたが、それを押し切ってでも『彼』の力が必要だとハナコは痛感していた。


オプティマスはここにはいない。アイアコンの騎士はカタコンベという閉所では竜になれない。この現状を打開できる『ヒーロー』が必要だった。



ユニクロンやテラーコンの襲来による戦力としてハナコに釈放されたセンチネル・プライムはストラトスフィアに乗ってサクラコたちの元へ急ぐ。

カタコンベの中ではかつての敵だったアリウススクワッドの面々も戦っている。


「・・・。」


戦場へ降り立つ前にセンチネルはあることを思い出す。それは公園で子供が手に持っていた、白いボディに赤い盾に銃を背負い、ビームの剣を手にした玩具である。


センチネルは投獄されて時間が有り余る中、ふとその玩具のことが気になった。理由は特には無い。ただ、顔に付いた2本のアンテナが自分のと似ていたからだ。始めはすぐに忘れると思っていたが、結局彼はホットロットに玩具の正体を聞いていた。


「あぁ、それならシャーレで先生が見てたよ」


その玩具の正体は子供向けアニメーションのロボットだった。何故大人の先生が見ているのかはわからないが、センチネルはどうせ暇なのでそのアニメを見てみることにした。


だが、見てみるとそれは子供向けというには余りに重苦しい内容であった。宇宙に進出した人間同士の醜い戦争が描かれていた。

けれでも、そのロボットは主人公の少年を最後まで守り抜いて、朽ち果てていた。頼りにされていた少女を裏切って傷つけた自分とは違って。


「ふっ...今さら儂はあのロボットのようになりたいというのか...」


そう自嘲しながらセンチネルはストラトスフィアの降下扉の前に立つ。"それ"は自分とは違って自ら動くわけではないし、考えるわけでもない。それでも、少年を最後まで守り切った。

だが自分はどうだ?自分を理性ある存在として見てくれたサクラコたちを自分の欲望のために裏切った。プライムでありながら悪と手を組み彼女たちを、同胞を傷つけた。


降下扉が開く


オプティマスたちに敗北し、檻に入って頭が冷えてようやくセンチネルは自分のやるべき事を理解した。彼女たちも画面の向こう側の少年と大して年の変わらぬ子供なのだ。そしてその子供を守り導いてやるのが我が使命なのだと。


飛行艇から飛ぶ


センチネルは『覚悟』を決めた。どのような誹りを受けようと、その身朽ち果てるまで必ず彼女たちを守り抜くと。公園の子供たちが嬉しそうに遊んでいたあのロボットと同じように銃と盾を持ち、剣を背負いながら戦い抜くと。


”上空から降下してきます!みなさん安全な場所まで離れてください!”


ハナコの指示の元、皆その場から離れる。


「また新たな敵ですか?」


上空から降下してきた何かは、天井を割り土埃をカタコンベ内部に巻き上げ彼女たちの視界を遮る。


「あれは...まさか!?」


始めに降下してきた"ソレ"に気付いたのはサクラコであった。赤い体躯に、V字型のアンテナ。大きな盾に、剣を背負ったその姿を彼女が見間違えるはずなど無いのだ。


「私はセンチネル、センチネル・プライム。キヴォトスの子供たちを守護する、トランスフォーマーである!!」


"シスターフッドの赤きプライム"がキヴォトスの大地に立った。


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