矯正治療の進め方について知りたい 

【はじめに】
 ひかり歯科医院(以下、当院)で行っている矯正治療は「顎顔面口腔育成治療」というものになります。簡単に言うと、小児期における身体の成長期に、その成長を正しい方向へ誘導しながら骨格的アプローチを行う治療となります。これは年齢的には8歳くらい(永久歯に生え変わる前半期)までが適応であり、9歳以降(骨格の成長が大人になり替わっていく後半期)には適応しないものになります。したがって、9歳以降で相談に来られた方には「歯列矯正」を専門とする専門医の先生への治療をお願いする運びとなります。御了承くださいますようお願い申し上げます。

【全体イメージ】
 矯正治療を相談される方には、よく「どうすれば始められるのですか?」「どうなれば始めた方がいいのですか?」と聞かれることがあります。これは一般的な虫歯治療でも同じ流れになることが言えます。
 結論から言えば、「状況の相談」「検査」「治療方針相談」「処置(治療)」「報告」という流れです。これは虫歯治療やその他の医療行為に限らず、現状把握した上で詳細を調べて相互理解をすり合わせ、今後について相談して決めていく、なおかつそれを継続的にフォローするということでいえばあらゆる物事に通じることだと思います。
 ではそれぞれについては順次解説します。

【治療への流れ①状況の相談】
 「状況の相談」・・・当院ではこれが一番大切な項目になると思います。まずは保護者の方が、子どもさんはどの程度の治療が必要なのか?治療自体は必要ないのか?など、とにかく分からないことがたくさんあるはずです。その背景には、たとえば
———————————-
・今はキレイに歯が並んでいるけれども将来的に崩れるなら矯正が必要だと思っている
・割と歯の並びは悪くないし、少しくらい歯が数本ずれているくらいなら気にしない
・割と歯の並びは悪くないけれども、少しでも歯が数本ずれてしまうようなら矯正が必要だと思っている
・すでに歯の並びが良くないが、(命に係わるほどのの疾患ではないので)歯が数本ずれているくらいなら気にしない
・すでに歯の並びが良くないので、矯正が必要だと思っている
———————————-
というような具合に、人によってさまざまな価値観を持ち合わせているはずなのです。
 それがご両親(父母)、それに祖父母(両家)がいればそれぞれに思うところはバラバラです。さらに過去治療を経験された保護者の方にとって、当院での治療は聞いたことがない治療かもしれませんので、さらに分からないことが多くなります。また、ネットで調べた結果、たくさんの情報が出てくることと思います。たとえば、顎顔面口腔育成治療とは骨格治療になるわけですが、似たようなものでも顎顔面矯正治療やバイオセラピー、口腔育成治療、歯列育形成・・・など考え方だけでなく似たような名前の治療法もあって、さらに混乱してしまうことが予想されます。
 まずはこうした背景を整理しなければならないと考えております。当院では歯並びが気になるということで相談があった場合には、最初に「歯並びと顎の発育」についての当院制作ビデオをご覧になっていただきます。そこで、概要を知っていただき当院での治療にマッチングするかどうかを大まかに判断していただくことになります。
 そのうえで、詳細な治療方法(処置に使う装置など)や治療期間、治療にかかる費用についてを知っていただく流れになりますが、改めてその説明を受けていただくための「顎の発育説明会」に参加していただくことになります。この「顎の発育説明会」はまた別の動画を視聴していただくのですが、申し込みのあった方を対象に、オンデマンドで配信している動画のYouTubeアドレスを配信します。参加方法は受付で申し込みをしていただく必要がありますので、受付でご予約いただきますようお願い申し上げます。

 ここでひとつ注意点があります。「顎の発育説明会」はご自由な場所で動画を閲覧することになります。その後、検査に進んでいただき、後日保護者の方と面談という形で治療方針の相談を進めていく流れがあります。
 その際、後日行われる治療方針の相談のときになって「これはどういう治療方法なんですか?」とか、「この仕組みはどうなっているんですか?」といった質問を受けることがあります。つまり、これらは動画の中で説明をしているはずですので、あらかじめ動画の内容を把握していないことが分かります。特にこの傾向は父親方がそうである傾向が強いです。特に先入観があるわけではありませんが、3組に1組くらいの割合で「実は動画を見ていなくて・・・」という方がいる実感があります。もしそういった場合は詳細なお答えはせずに改めてもう一度動画を見てください、ということをお伝えすることになりますのでご了承のほどお願いいたします。

【治療への流れ②検査】
 顎の発育説明会で動画視聴を終えられましたら、ご家族でもう一度改めて相談してください。そのうえで、分からないことがありましたらメールやLINE、クリニックで受診された時ででも結構ですのでご質問ください。お電話で受付の方へ質問されても分からないことや詳細な診断に関わる内容があるとお答えしにくい点がございますので、必ず院長へ直通でご相談されることをお勧めします。
 ご相談の結果、子どもさんの治療がどの程度で適応するのかを調査するために、次は「検査」に進んでいただきます。この「検査」には費用が発生します。(詳細は受付またはスタッフまでお尋ねください。)
 「検査」の内容はお口の写真の記録、CTを含む各種レントゲン、模型(かたどり)、身体の動きを調べる動画撮影や写真撮影、発音や飲み込みの状況の動画撮影、重心を調べる足圧測定、呼吸の記録と計測、などがあります。さらにご自宅で睡眠状況を調査するための睡眠時呼吸検査(フィリップスによる)も行っていただきます。それらを総合的に判断して顎顔面口腔育成治療の適応を診査します。
 なお、この検査の時に身体の動きを調べる動画撮影を行うにあたり、スカートをはいていると明確なシルエットが分からないことがあり資料として不十分になってしまうことがあります。また、髪型もひとつに束ねる程度の方が望ましいです。これらの注意点についても顎の発育説明会の動画で説明しておりますのでご参照ください。

【治療への流れ③治療方針の相談】
 検査を受けていただいた後、数日後に保護者の方との面談の日程を調整します。この面談にはご両親ご一緒にお話をさせていただきます。もしご不在であるなどの理由があれば受付までお申し出頂ければ適宜対応させていただきます。
 なお、面談の時間帯は診療時間以外の時間帯になりますので、平日では18:30~、土曜日では17:00~ということになります。相談時間はおおむね30分から1時間程度を見ていただければ十分かと思います。
 また、面談・相談の時は診療時間外のため、受付は終了している時間帯になります。治療開始になる場合のご予約は、後日お電話でご連絡いただき、改めてお約束を取っていただくようお願い申し上げます。

【治療への流れ④処置】
 相談の結果、治療を進めることになり、治療方針が決まりましたら実際の治療(処置)になります。

【治療への流れ⑤報告】
 各種治療が進んでいくと、その都度装置の説明や状況の報告があります。なるべくそれぞれの方のご都合に添った形で進めていきたいとは思います。なお、面談の結果、もし今回は治療に進まないという結論に至った場合、引き続き経過をフォローしていくことがあります。その場合は定期健診に来ていただいた時に随時報告させていただくことになります。

【まとめ】
矯正治療について知りたい、と相談があった場合、だれがどの程度矯正治療を検討しているのかを整理する
当院での治療に適応する方には概要の説明動画を見ていただき、「顎の発育説明会」に参加していただく
治療までに「状況の相談」「検査」「治療方針相談」「処置(治療)」「報告」の流れがあることを理解していただく