「Windows10 の仮想デスクトップとは何なのか」「仮想デスクトップ環境を構築したいが、どんな点に注意すればいいかわからない」

そのような悩みを抱えている個人や企業も多いのではないでしょうか。

仮想デスクトップには大きく分けて以下の2種類があります。

  1. Windows10の機能
  2. サーバ上で仮想デスクトップ環境を稼働させる仕組み

この記事では、前半でWindows10と11の仮想デスクトップ機能のメリットや作成手順について解説します。後半では企業向けのデスクトップ、VDI(仮想デスクトップサービス)・DaaS製品の選び方やおすすめ製品紹介しています。

この記事を参考にして、自宅での作業環境や企業の労働環境を改善していきましょう。

仮想デスクトップ・デスクトップ仮想化とは?

デスクトップ仮想化には主に次の2通りの意味があります。

  1. Windows10の機能

2.  サーバ上で仮想デスクトップ環境を稼働させる仕組み

それぞれ見ていきましょう。

Windows10に標準装備されている機能

Windows10からデスクトップを複数作成できる機能が追加されました。追加できるデスクトップ数に上限はなく、使いたい数だけ作成できます。仕事・プライベート・家族用など、用途に合わせて複数のデスクトップを使い分けることが可能です。

テレワーク環境ではディスプレイがなく、一画面に半分ずつアプリケーションウィンドウを表示して作業している方も多いのではないでしょうか。仮想デスクトップ機能なら各アプリケーションを全画面表示で使用できるため、業務をスムーズに進めやすくなります。

サーバ上でデスクトップ環境を稼働させる仕組み

もう一方のデスクトップ仮想化とは、OSやアプリケーションをサーバ上で一元管理し、利用者端末からリモートで操作させる仕組みのことです。

利用者はシンクライアント端末を使い、仮想デスクトップにアクセス。仮想デスクトップ上で行った処理はデータセンター上のサーバで実行され、データもデータセンターのストレージに保存されます。

利用者の端末自体にデータが残らないので、社外やテレワーク環境でも安心して利用できるでしょう。

クラウドを介したデスクトップ仮想化サービスはDaaS(Desktop as a Service)とも呼ばれます。切り替え先となる仮想デスクトップ環境をクラウドにすることで、会社・自宅・屋外などどこからでも同じ環境で使えます。

上記のようにセキュリティ強化やBCP対策、働き方改革への対応策として、仮想デスクトップを検討する企業が増えているのです。

Windows10の仮想デスクトップを使用するメリット

Windows10の仮想デスクトップ機能を使用するメリットは3つあります。

1.シャットダウン・再起動後も維持される

作成した仮想デスクトップは、シャットダウン・再起動後も残ります。新しく作成し直す手間がかかりません。また仮想デスクトップに固有の名前をつけておけば、シャットダウン前にどんな作業をしていたかも一目でわかります。

ただし、シャットダウン・再起動後は各仮想デスクトップで開いていたアプリケーションウィンドウが閉じてしまうので注意しましょう。すぐに使いたいファイルはデスクトップ上に貼りつけておくと、作業を再開したいときもスムーズです。

2.画面が小さいノートパソコンでも作業効率化できる

各仮想デスクトップで役割を分担できるので、ノートパソコンでも作業の効率化を図れます。一画面の中で調べものや作業など複数のことを行うと、タスクを切り替える手間がかかります。開こうと思ったウィンドウと別のものを開いてしまうなど、作業効率が落ちやすくなるでしょう。

Windows10 の仮想デスクトップ機能を使えば、デスクトップを簡単に切り替えることができ、画面がすっきりするうえ、無駄なマウス操作も減るので生産性の向上が期待できます。また複数の仮想デスクトップを作成しても、単一のデスクトップ上で作業しているときと比べて処理が遅くなることがありません。高スペックではないパソコンでも快適な作業環境が作り出せるでしょう。

3.追加のコストが不要

追加のディスプレイを購入しなくても複数のデスクトップが利用できます。Windows10の仮想デスクトップなら、複数のデスクトップをショートカットやマウス操作するだけで自由に行き来することが可能。画面が複数あるような感覚で作業できるので、1台のパソコンでも十分快適になります。

「デスクが狭くてマルチディスプレイは使えない」といった悩みも解決してくれるでしょう。

Windows10の仮想デスクトップの操作手順

Windows10の仮想デスクトップ機能の操作手順について、詳しく解説します

以下の手順で仮想デスクトップを作成できます。

1.デスクトップ画面下部の検索ボックスの右側にある「タスクビュー」ボタンをクリック

※非表示になっている場合は、タスクバー上で右クリックし「タスクビューボタンを表示する」を選択

2.画面上部の「新しいデスクトップ」をクリックし、「デスクトップ2」を追加する

3.画面上部の「新しいデスクトップ」をクリックし、「デスクトップ2」を追加する

4.移動させたい表示中のウィンドウをドラッグ&ドロップし、「デスクトップ2」に移す

上記の手順で「デスクトップ2」をクリックすると、移動させたウィンドウが表示されていることを確認できます。

仮想デスクトップを削除する

一度作成した仮想デスクトップは、次の手順で簡単に削除できます。

1.タスクビュー画面で、削除したい仮想デスクトップにカーソルを合わせる

2.右上に表示される「×」ボタンをクリックする

すべての仮想デスクトップにウィンドウを表示させる

特定のアプリケーションのウィンドウを、すべての仮想デスクトップに表示させることも可能です。

1.タスクビュー画面で、表示させたいアプリケーションウィンドウを右クリックする

2.「このウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」を選択する

ちなみに「このアプリのウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」を選ぶと、選択したアプリケーションで作成したすべてのウィンドウが表示されます。

仮想デスクトップの名前を変更する

Windows 10 May 2020 Update以降では、デスクトップ名が任意でつけられるようになりました。

「調査用」「手順作成用」のように作業内容に合わせて仮想デスクトップ名を変えると、一目で把握しやすくなります。

1.タスクビュー画面で、名前を変更したい仮想デスクトップの名前をクリックする

2.編集状態になるので変更する

ただし、名前は仮想デスクトップ上のどこかに表示されるわけではありません。自分がどの仮想デスクトップを使用しているのかわからなくなった場合は、タスクビュー画面を確認する必要があります。

仮想デスクトップの一覧を並び替える

Windows 10 Insider Preview「Build 21337」の場合、仮想デスクトップを並び替えることもできます。

タスクビュー画面で、並び替えたい仮想デスクトップを左右にドラッグ&ドロップするだけです。アプリケーションウィンドウを各仮想デスクトップに振り分けているうちに、「この仮想デスクトップを最初に持ってきたい」となった場合に便利です。

Windows11の仮想デスクトップの操作手順

Windows11の仮想デスクトップは、デザインや機能がWindows10版から変更されています。Windows10とは逆に上部に起動中のアプリケーションが並び、その下にそれぞれの仮想デスクトップが表示される仕様です。

仮想デスクトップを新規作成する

Windows10 と同様、簡単に新規作成できます。

1. タスクバーの「タスクビュー」ボタンをクリックする

2.タスクビュー画面で「新しいデスクトップ」をクリックする

仮想デスクトップを削除する

作成した仮想デスクトップは以下の手順で削除できます。

1.タスクビュー画面で、削除したい仮想デスクトップにカーソルを合わせる

2.右上の「×」をクリックする

仮想デスクトップの名前を変更する

Windows11ではデフォルトで仮想デスクトップ名を変更できます。

1.タスクビュー画面で、デスクトップ名の部分をクリックする

2.編集画面になるので任意の名前に変更する

仮想デスクトップの一覧を並び替える

Windows11では一覧の並び替えも標準で行えます。

タスクビュー画面で、仮想デスクトップを左右にドラッグ&ドロップすると入れ替えが可能です。

壁紙を変更する

Windows11ではデフォルトで仮想デスクトップごとに背景を指定できます。

1.仮想デスクトップ上の何もないスペースで右クリックし、「個人用設定」を選択する

2.個人用設定画面が表示されるので、「背景」をクリック

※「テーマ」を選ぶとすべてのデスクトップのテーマが変更されてしまうので注意

3.一覧から背景に設定したい画像を選択する

背景がすべて同じ場合、デスクトップを切り替えられたかどうかが一目でわかりにくいものです。異なる背景にしておけば視覚的に判断でき、作業ミスを減らせるでしょう。

デスクトップ仮想化の企業ニーズの高まり

在宅勤務や災害対策、場所を選ばない働き方などのニーズの高まりに伴い、デスクトップ仮想化・VDIのクラウドサービスやDaaS(Desktop as a Service)に注目が集まっています。

クラウドサービスを導入する

特にクラウド型のデスクトップ仮想化サービスであるDaaSを導入する企業が増えています。

オンプレミス型のデスクトップ仮想化製品は、初期費用や運用負荷が高くなりやすいのがデメリットです。また保守やサポート期間が切れた場合の対応も求められます。

上記のような問題に対し、クラウド型のデスクトップ仮想化サービスなら解決が可能です。クラウド型なら企業規模や用途に合わせて柔軟に始められる上、ハードウェアの老朽化やサポート切れへの対応といった心配もありません。

そのため、働き方改革や災害対策などさまざまな要因に対処していきたい企業におけるニーズが高まっているのです。

クラウドサービスを利用するメリット

クラウドサービスを利用する主なメリットは、次の4つが挙げられます。

・端末の機種や場所に関係なく、オフィスと同じ環境にアクセスできる

・デスクトップ仮想化環境の導入に必要な時間や費用を抑えられる

・運用管理をサービス提供者に任せられる

・自然災害の発生時にも業務を継続できる

オンプレミス型のデスクトップ仮想化製品は自社で構築が必要なので、構築期間やコストがかかります。問題なく対応できる高い技術力も必要になるでしょう。

一方、クラウド型のデスクトップ仮想化サービスなら上記の負担が軽減されます。短期間・低コストで導入できるため、環境構築に人的リソースなどを割きにくい中小企業も安心です。また運用管理はサービス提供者に任せられるため、運用管理の負荷も減るでしょう。

さらに予期せぬ自然災害が発生した場合も、自宅からサーバにアクセスして業務を継続できます。

今後ますます働き方改革が推進されていくなかで、クラウド型デスクトップ仮想化サービスの利用は欠かせないといえるでしょう。

デスクトップ仮想化方式の種類

デスクトップ仮想化の方式には主に4つの種類があります。

最初に4つの性能やコスト面をまとめると以下のようになります。左にいくほど高い状態です。

性能 HDI>VDI>DaaS>SBC
導入コスト VDI>SBC>HDI>DaaS
運用コスト VDI>SBC>HDI>DaaS

それぞれについて見ていきましょう。

VDI方式(仮想PC方式)

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式とは、物理サーバに複数のクライアントOSを共存させ、ローカル端末からリモート操作する方式です。

1デバイス=1仮想OSで、サーバ上にクライアントPCごとのデスクトップ仮想化を構築します。そのため自由度が高く、クライアントPCごとにソフトウェアの実行環境を幅広設定できるのが特徴です。

ただしWindows OSを使用するときは端末ごとにVDIライセンスが必要になります。その分コストが増大してしまうでしょう。

SBC方式(サーバデスクトップ共有方式)

SBC(Server Based Computing)方式はVDI方式と違い、サーバにインストールされているOSやアプリケーションを複数のユーザーが共有する方式です。サーバのCPUやストレージ、メモリなどの物理的なリソースを効率よく利用できます。

比較的安価なRDS(リモートデスクトップサービス)ライセンスを利用できるため、コストを抑えたい企業におすすめです。複数人で共有するのでライセンス数も少なくて済むでしょう。

しかし、サーバのOSに対応しているソフトウェアや、複数ユーザーの利用に対応したアプリケーションを選ぶ必要があります。そのためVDI方式よりも実行環境の自由度は低いです。

HDI方式(ホスト型デスクトップインフラ方式)

HDI(Hosted Desktop Infrastructure)方式とはユーザーごとに専用のサーバを割り当てる方式です。1つの物理サーバを1つのローカル端末で操作します。

サーバ内で仮想化したクライアントやデスクトップを複数人で共有しないため、ユーザー1人ひとりが占有できるリソースが大きくなります。

遠隔地や多くの利用者がアクセスしている環境でもスムーズに動作しやすいでしょう。サーバが1つずつ割り当てられている分、セキュリティ的にも安全といえます。

DaaS方式(パブリッククラウド方式)

DaaS(Desktop as a Service)とは、物理サーバではなく外部のベンダーが提供するクラウドサービスを利用する方式。VDI方式のクラウドサービス版のようなイメージです。

DaaSによるデスクトップ仮想化はクラウドで外部サーバを利用するため、社内にサーバを設置する必要がありません。料金体系はサブスクリプションで、メンテナンスもベンダーが行ってくれるので負荷やコストを軽減できます。

スモールスタートで仮想デスクトップ環境を導入したい企業におすすめでしょう。

デスクトップ仮想化の企業の活用事例

デスクトップ仮想化を導入したことで得られるメリットについて、ITreviewに集まったレビューをもとに活用事例を紹介します。

新しい機器を購入せずにさまざまな環境を再現

「環境を都度作成する必要がなくなるのですぐに作業に取りかかることができ開発のスピードを落とさなくてすみます。新しい機器を購入せずにさまざまな環境を再現できるのでコスト面でも有効です」
▼利用サービス:VirtualBox
▼企業名:株式会社エッセンシャル  ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:ソフトウェア・SI

https://www.itreview.jp/products/virtualbox/reviews/36530

外出先から社内リソースにすばやくアクセス

「営業員の出先での社内資産へのアクセスが楽になり、モバイル紛失時のリスク軽減につながったとおもいます。AWSとオンプレのサーバが繋がっていれば、WorkSpacesを介していつでも社内資産へどこからでもアクセスできるようになりました。加えて画面転送なのでローカルパソコンにデータが残らない、というのはモバイル紛失時のリスク軽減にもつながりました」
▼利用サービス:Amazon WorkSpaces
▼企業名:株式会社TOKAIコミュニケーションズ  ▼従業員規模:1000人以上 ▼業種:ソフトウェア・SI

https://www.itreview.jp/products/amazon-workspaces/reviews/16756

場所を選ばず作業できるので生産性向上に

「製品を販売する立場のため用途は利用者目線とは異なりますが、ロケーションフリーでストレスなくセキュアに検証作業や資料作成を行うことができるようになり、生産性を向上(1日あたりの生産時間を増やすという意味合い)することができました」
▼利用サービス:VMware Horizon 7
▼企業名:ソフトバンクコマース&サービス株式会社  ▼従業員規模:1000人以上 ▼業種:情報通信・インターネット

https://www.itreview.jp/products/vmware-horizon-7/reviews/117

環境構築にかかる時間を削減し開発効率アップ

「サーバや開発用の環境を用意するたびに、仮想マシンやOS、その他の設定など準備するだけで多くの時間を要していましたが、今や十数分で準備することができ、開発効率が上がりました」
▼利用サービス:Vagrant
▼企業名:エクセルブートキャンプ  ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:情報通信・インターネット 

https://www.itreview.jp/products/vagrant/reviews/19149

上記のようにデスクトップ仮想化製品を導入した多くの企業が、業務効率の向上やコスト削減に役立ったと実感しています。

デスクトップ仮想化サービスを選ぶポイント

ここではデスクトップ仮想化サービスを選ぶ際のポイントを3つ紹介します。

ツールごとの違いを把握する

デスクトップ仮想化サービスごとに形態や提供している機能が異なります。

単純にハイスペックで多機能な製品という理由で導入してしまうと、実際に運用した際に「こんなに多くの機能は必要なかったかもしれない……」と失敗するケースもあります。機能数が増えるほど製品価格も高くなる傾向があるので、しっかり見極めることが重要です。

具体的には以下のような点に注目します。

・導入形態

・方式

・料金体系

・機能

・導入にかかる期間

・セキュリティ

・サポート体制

無駄なコストをかけないためにも、サービスごとの違いを理解したうえでよく検討して決めるようにしましょう。

導入する形態を把握する

デスクトップ仮想化サービスの導入形態には、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。以下のような違いがあるので、自社に適した形態を選ぶようにしましょう。

オンプレミス型

社内に仮想デスクトップ環境を構築するため、初期コストや運用の負荷が大きくなりやすいです。その一方で、利用したい機能や設定などを自由にカスタマイズできるのがメリットでしょう。ベンダー任せではなく、自社で管理・運用するのでセキュリティ的にも安心感があります。

クラウド型

自社で仮想デスクトップ環境を構築する必要がないため、初期コストや導入に関わる人的リソースを軽減できます。

運用管理もベンダーが行うため、負荷が少ないのもメリットです。新入社員や退職者などで社員の増減があったときにも柔軟に対応しやすいでしょう。ただし、製品に備わっている機能を使う必要があるため、オンプレミス型ほど自由にカスタマイズできないケースが多いです。また他社が運用するのでセキュリティ面の不安はあります。

料金体系は利用量に応じた従量課金制がほとんどです。月額課金と時間課金の2種類があります。

導入時に必要なものを確認する

デスクトップ仮想化サービスを導入する際に必要なものを確認し、リストアップしておきましょう。導入後に「自社の環境には合わなかった」と失敗するリスクを防げます。

たとえば下記のような情報を確認するとよいでしょう。

・CPU

・メモリ容量

・ストレージ容量

・ホストOS

・ネットワーク環境

特にCPUやメモリ容量などが自社の環境に適していない場合、導入時はレスポンス速度が遅くなりがちです。

導入する際は自社の状況をベンダーに伝えておき、適切なサイジングを行うようにしてください。

デスクトップ仮想化市場の業界マップ 

デスクトップ仮想化サービスのユーザーからの評価を知るには、ITreview Gridが便利です。ITreview Gridは、ITreviewに集まったユーザーのレビューをもとに生成された4象限の満足度マップで、顧客満足度と市場での認知度を掛け合わせた結果が、4象限上でのポジショニングとして確認できます。

デスクトップ仮想化のおすすめ製品5選 

実際に、デスクトップ仮想化ツールを活用されている企業の方々のレビューが多い製品を中心に、おすすめのデスクトップ仮想化ツールを紹介します。

(2021年11月23日時点のレビューが多い順に紹介しています)

VirtualBox

Oracle社が提供するオンプレミス型のデスクトップ仮想化製品です。無償のため、ライセンス消費を気にせず社内のマシンにインストールできるのが大きなメリットでしょう。インストールも比較的簡単にできます。

「VirtualBox」にはさまざまな便利機能があります。たとえば仮想デスクトップ環境の状態をそのまま保存しておける「スナップショット」や、ホストOSとゲストOS間で同時並行で作業できる「シームレス・モード」などです。また定番ソフトなので文献も多くあり、使用方法を学習しやすいのもポイントでしょう。「まずは仮想デスクトップ環境がどのようなものか実感したい」など、手軽に導入したい企業におすすめです。

VirtualBoxの製品情報・レビューを見る

Amazon WorkSpaces

Amazonが提供するクラウド型のデスクトップ仮想化サービスです。月額料金か時間料金のいずれかを選択できます。月額の場合は月々決まった金額を支払うことでサービスを無制限に利用可能。時間料金だと固定料金+使用時間の時間単価で課金されます。

Windows、Mac、Chromebook、iPad、Androidタブレットなど、ユーザーの利用端末を選びません。OSやデバイスに対応したクライアントソフトをインストールすれば、あらゆるデバイスから自由にリソースにアクセスできます。どこにいても使えるのでリモートワーク環境に最適でしょう。

またユーザー領域のDドライブに保存されたデータは、12時間ごとに自動バックアップされます。万が一のときもすぐに復元できて安心です。

Amazon WorkSpacesの製品情報・レビューを見る

VMware Horizon 7

オンプレミス型とクラウド型の2種類が提供されており、企業のシステム環境に合わせてデスクトップ仮想化を構築できます。

仮想化プラットフォームを構築する基盤である「vSphere」では、仮想マシンを自動的に再配置することも可能です。サーバのリソース状況に応じて最適化できるため、サーバの負荷分散に役立つでしょう。

「ストレージアクセラレーター」機能では仮想マシンのディスクデータがキャッシュされ、ストレージからデータを読み込む場合よりも負荷が軽減されます。「始業時にアクセスが集中して、デスクトップ仮想化になかなかつながらない」といった問題も解消されるでしょう。

VMware Horizon 7の製品情報・レビューを見る

Citrix Virtual Apps and Desktops

オンプレミス型とクラウド型の両方のサービスが提供されています。クラウド型の料金は、スタンダードプランの場合は16.00米ドル/ユーザー・月です。

快適性と迅速性に特化しており、短時間で仮想アプリケーションやデスクトップを起動できます。アプリケーションを使用するときも「なかなか起動しなくて待ち時間が発生する」といった場面が軽減されるでしょう。

管理コンソール上でセキュリティポリシーの作成やテンプレート化まで簡単に行えます。制限が特にないため、「機密情報のスクリーンショットを禁止する」など自社に必要なレベルに応じたポリシーを作成可能です。

Citrix Virtual Apps and Desktopsの製品情報・レビューを見る

Parallels Remote Application Server

オンプレミス型とクラウド型の2種類から選べます。料金は1万2000円/ライセンス・年です。

使用するOSやデバイスにかかわらず、アプリケーションやデスクトップをすべてのユーザーに配信できます。Windows phoneやThin Client、Raspberry Piなどにも対応しているのが特徴です。外出先でもオフィスにいるときと同様の生産性を実現できるでしょう。

また、アクセス制限ポリシーを非常に細かく設定できるのも魅力。SSL暗号化や2段階認証、スマートカード認証などを組み合わせ、情報漏えいや悪用を防止できます。30日間の無償トライアルもあるので、「まずは使用感を知ってから検討したい」企業におすすめでしょう。

Parallels Remote Application Serverの製品情報・レビューを見る

ITreviewではその他のデスクトップ仮想化も紹介しており、紹介ページでは製品ごとで比較をしながら導入ツールを検討できます。

VDI・DaaS(仮想デスクトップ)の比較・ランキング・おすすめ製品一覧はこちら

まとめ

Windows10 のデスクトップ仮想化機能を利用すれば、1台のパソコンでも作業効率をアップさせることが可能です。用途に合わせて簡単にデスクトップの追加・削除ができるため、すぐに利便性を実感するでしょう。

またクラウドのデスクトップ仮想化サービスを導入することで、働き方改革や自然災害を考慮した労働環境も実現できます。事前に各サービスの違いや機能、導入に必要な情報をしっかり確認したうえで比較検討してください。まずはトライアルや無償の製品で操作性などを試してから決めることをおすすめします。

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