★楽しいお産★(体験記♪) (8)母性は自然に育まれてゆくもの
私がお産したのは、12月28日。世間ではあわただしい“年の瀬”でしたが、助産院での生活はほんとにのどかで、そんなことをすっかり忘れていました。先生から、「普通だと5日目に退院なんだけど、元旦は家族で迎えたいでしょ?あなたの体の戻りも順調だし、いちにち早く、31日に退院する?」と言われてはじめて、あぁそうかぁ、もうすぐお正月なんだ!と気づきました。ということは、もう明日退院??そう思うと、こののどかな生活が名残おしくもあり、また、早く家族3人になりたい気もちもあり・・・でした。そんなことを思いながら、お部屋から外を眺めつつ、赤ちゃんにおっぱいをあげるひとときを深く味わっていました。窓からは、お庭に咲いてる色とりどりのお花、そして、その上に広がる、澄んだ青空、その向こうには、凛としてたたずんでいる木々がみえます。ゆったりとした気持ちで、そんな美しい風景をみながらおっぱいをあげていると、しみじみ幸せだなぁと思いました。ときたま赤ちゃんの顔を見ては、なんてかわいいんだろう!と思って。赤ちゃんが、どんなしぐさをしても、どんな表情をしていても、本当にかわいいのです。そして、そんなことを思う自分が、何だか不思議に感じました。というのも私は、妊娠する前は、自分には、母性の“ぼ”の字もない!と思っていたからです。よく、「自分の子はほんとにかわいいよ!!」と、いろんな人から聞いていたけれど、はたして自分が産んでみて、自分の子をかわいいと思えるのかしら・・??と疑問だったのです。そんな私、まだ妊娠したと分かったとき、夫にこんなふうに聞いてみたことがありました。「私、母性ってものが自分でぜんぜん感じられないのだけど・・・自分の子をかわいいと思えるのかなぁ~??ちゃんと、“お母さん”になれるのかなぁ??」って。すると夫は、「心配しなくても、大丈夫だよ。妊娠したら、ちゃーんとそういうホルモンが出てきて、自然に母性も出てくるものだから。」と答えてくれました。「そんなことはないよ。母性的なところ、あるよ!」と、少しはフォローしてくれるかな~なんて、ちょっと期待もしましたが・・・うーん、やっぱり夫も、母性というものを、私からは感じられなかったみたいですね(笑)。そんな私でしたが、妊娠してからというもの、不思議と、母性らしきものがすこーーしずつ、芽生えてきたようです。(周りの人たちはどう感じたか分かりませんが、自分の自覚として、です。)夫が言うように、そういうホルモンが自然に出てきたというのも大きいでしょうし、妊娠期間中ずっと、おなかの中の赤ちゃんに話しかけたり、感じたりしていたことで、赤ちゃんに育てられてきた、というのもあるのでしょう。妊娠してから出産するまでの10ヶ月という期間は、赤ちゃんが育つための期間でもあるけれど、同時に、妊婦さんが、ゆっくりゆっくり時間をかけて、徐々に“お母さん”になる準備をさせてもらう、そんな期間でもあるのですね。だから・・・もし、私と同じような心配をしている人が、いるとしたら・・・それはぜんぜん心配ないと断言できます。だって、この私ですら大丈夫だったのですから。“いのち”って本当にうまくできているものなのですね。お正月は、せっかくだから家族3人で迎えよう!ということで、結局、入院4日目には退院しました。退院日の12月31日は、朝から ちらちらと雪が降っていました。小雪の舞う中、家族3人で、あったかいわが家へと帰ったのでした。帰りの車の中で、ここで産んだということが、何だかさっきのことのような、遠い昔のような・・・とても不思議な感覚でした。赤ちゃんは、自分が産まれた車の中で、いちばん安心できるところなのか、すやすやと、ほんとに気もちよさそうに眠っていました。私たちはというと、「いつか、赤ちゃんがもう少し大きくなったら、“車で産まれてきたときは、どんな感じだったの~?”と聞いてみたいね!」なんてことを話していました。そのとき、わが子はいったい、どんな答えをしてくれるのでしょうね。(終わり)~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~お わ り にここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました体験記は、今回でおしまいですが、続編として、かけがえのないお産を、楽しく、そしてここちいいものにするために、私自身、「どんなことをしてきたのか」、「どんなことを心がけてきたのか」を記した、★楽しいお産★(考察編♪)があります。こちらには、私自身がやってよかったこと、心がけてよかったこと の具体的な例が載っています。ぜひ、こちらもあわせてご覧くださいね・・・☆