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農林水産省

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特集1 緑茶(2)

産地によって名称や特徴に違いが 全国各地のいろいろな緑茶



日本各地で作られている緑茶は、産地によって味も香りも違いがあります。
煎茶を中心とした産地から高級な玉露の産地まで、ぜひお気に入りの産地を見つけてみてください。
また、最近では日本の緑茶は海外でも人気があり、米国を中心に輸出も伸びています。

緑茶の主な生産県と荒茶生産量

緑茶の主な生産県と荒茶生産量

出典:生産量は農林水産省「平成28年産作物統計(概数)」より



埼玉県:狭山茶
「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」という歌もあるほど、甘くて濃厚な味を持つことで評価が高い。

静岡県:静岡茶(静岡茶、川根茶、掛川茶、東山茶)
日本茶の約4割を占める代表的なお茶。一番茶摘採は4月中旬から。煎茶や深蒸し茶のほか、藤枝市岡部町は高品質な玉露の名産地。

愛知県:西尾茶(西尾の抹茶)
地域ブランドとして名産となっている「西尾の抹茶」は、濃い緑と上品な香りがあり、地理的表示保護制度(GI)にも登録。抹茶を使った「抹茶スイーツ」なども人気。

三重県:伊勢茶(伊勢茶)
生産量は全国3位。特に、かぶせ茶は日本一の生産量を誇る。二番茶までしか摘まないため、コクのある味わいが特徴。

奈良県:大和茶
歴史の古いお茶の一つ。高冷地にある茶園が多いため、成長が遅く、しっかりした樹体でゆっくりと育った茶は、香りが深く、コクもある。

京都府:宇治茶(宇治茶)
高級茶である玉露の発祥地として知られる。蒸した茶を揉み、乾燥させる煎茶の製法は宇治で江戸時代に生み出された。

福岡県:八女茶(八女茶、福岡の八女茶)
1191年に、宋から禅師が持ち帰った茶が、八女茶の起源と言われている。煎茶のほか玉露の産地としても有名。濃厚な味が特徴。「八女伝統本玉露」がGIに登録。

佐賀県、長崎県:嬉野茶(うれしの茶)
「全国茶品評会」の蒸し製玉緑茶の部で5年連続1位を受賞。深い香りと、まろやかな甘みが人気。

熊本県:くまもと茶(くまもと茶)
煎茶や蒸し製玉緑茶のほか、釜炒り茶などを生産している。阿蘇山のふもとでは、無農薬・低農薬のお茶の栽培を行っている。

宮崎県:宮崎茶
生産量は全国4位。お茶栽培に適した温暖な気候であり、煎茶と蒸し製玉緑茶が主に栽培されている。濃厚なうまみがあるのが特徴。

鹿児島県:かごしま茶(知覧茶、かごしま知覧茶)
全国2位の生産量を誇る。4月上旬から新茶を摘採し、三番茶、四番茶、秋冬番茶まで長く生産している。すっきりした味わいで飲みやすいため、若い世代に人気。

注:()内は地域団体商標

古くは薬として重宝された飲み物
日本では、東北から沖縄まで広くお茶が生産されています。それぞれの気候や土壌を生かし、時期や製法も異なります。特に、静岡、宇治、狭山は「日本三大茶」と呼ばれ、お茶の名産地としても知られています。

日本における緑茶の歴史は古く、平安時代に遣唐使が唐から持ち帰ったことが由来とされています。当時は大変貴重な薬として重宝され、室町時代以降は茶の湯の発達により、武士や商人にも広がりました。

その後、庶民の飲み物として親しまれるようになった緑茶は、江戸末期より本格的に輸出されるようになりました。

和食と健康ブームで世界からの需要も高まる
戦後、緑茶の輸出は大きく減少しましたが、平成の今、再び緑茶の魅力が海外でも見直されています。

「和食」のユネスコ無形文化遺産への登録とともに緑茶への関心が高まっています。特に、抹茶はスイーツからフランス料理にまで幅広く使われる食材として、年々需要が増加中です。

味や香りだけではなく、緑茶は健康食品としても優れています。緑茶に含まれるカテキンには、発がんを抑制したり、免疫力を高めたり、殺菌や消臭作用、抗アレルギーの効果もあると言われています。


■緑茶の輸出量・輸出額

緑茶の輸出量・輸出額
■緑茶の栽培面積における品種の割合(平成27年)

緑茶の栽培面積における品種の割合(平成27年)


夏も近づく八十八夜 夏も近づく八十八夜
童謡「茶摘(ちゃつみ)」でも歌われる「八十八夜」は、立春から数えてちょうど八十八日目(今年は5月2日)。静岡県などでは、このころ新茶の最盛期を迎えます。



取材・文/相川いずみ


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