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値上がり時代の住宅会社選びの8つのポイント

今日お話しするのは、値上がり時代の住宅会社の選び方についてです。

最近、値上がりがすごいですね。あるお客様から「こういう時代って、どういう住宅会社さんに家づくりをお願いしたらいいんでしょうか?」という質問を受けました。そのことについて、僕なりの1つの考え方を解説していきたいと思います。業者の立場で何を言うのかと思う人もいるかもしれません。1つの考え方として利用してもらえたらと思います。

まず、住宅会社さんを選ぶ時に見るのは、どんな工法でどんなデザインの家を作っているかですよね。それももちろん大事ですが、値上がり時代にはそうした枠組みを超えた物の見方が必要だと思います。その1つとして、資金計画をしっかりサポートする力があることは大事です。心苦しいですが、当社の家づくりのコストも、以前と比べたら急激に上がっています。上がり切って踊り場になっているわけではなく、ここからどれだけ上がっていくか読めない事態。簡単に言うと、未来の予測が非常に難しい時代なんです。

日本は長くデフレが続いて低金利政策をやってきましたが、世界全体としてはゼロ金利から脱却して、金利を上げる傾向になっています。そんな時代なので、住宅ローンの金利もこの先どうなっていくかわかりにくいのです。それでも、人生においていかに経済状態が変わろうとも、家族のために家は必要ということも事実ですよね。そこをサポートするために、工務店や住宅会社は、お客さんの資金計画に関しても相談に乗ることが必要だと思います。

資金計画とは、「お客さんの年収・自己資金はいくらですか?」と聞いて、簡単な計算をして「○○ローンだったらこうです」と言うことではありません。単純に「金利が安い住宅ローンはこれです」みたいな話ではなく、家を買った後のお金のマネージメントに関して、一緒に考えてくれる会社が安心だと思います。つまり、家を買うための計画ではなく、お客さんの人生の収支を一緒に考えてくれる力があるかどうかです。大きなお世話かもしれないですが、カギは住宅ローンをどう返すかではありません。住宅ローンを返すのは当たり前で、返しながら不測の事態に備えて貯金をしていくことが大事です。その計画も一緒に考えてくださるようなところがあれば、選択肢としては非常に有力だと思います。これが1つ目です。

2つ目が契約条件です。家って、作り始めるのが契約時よりも先になるんです。分譲住宅は別ですが、注文住宅は打ち合わせ・着工の準備・資材の発注をして、早くて半年。長いと1年になる。今の時代、1年後の状況って誰にもわからないじゃないですか。工務店さんもハウスメーカーさんも、仕入れ値が上がったら、物価上昇事項という契約の話をせざるを得なくなります。その時は、明細に基づいて値上げの妥当性をわかりやすくしてくれた方が、お客さんにとって安心ですよね。例えば、キッチンはLIXILさんの〇〇ですとか、シャッターはYKKさんの〇〇ですみたいな感じです。

値上げの話って、猜疑心を抱くじゃないですか。「そんなに上がるって本当なのかな?」と。でも、家づくりって信頼関係があった上でやらないといけないと思うので、そういうことがないようにしたいんです。そのためには、細目があるとお互いに納得が得やすくなります。「この部分はこういう形で折り合うことは可能ですか?」と、私たち業者もお客様に相談しやすいです。このように、注文住宅を建てるという共同プロジェクトを、目線を合わせて同じ立場で協力し合ってやってくれる会社さんがいいと思います。

ちなみに「価格変動があってもこの値段でやりますよ」と言う会社もいますが、それは最初から余裕を見て価格が上乗せされているか、あまり何も考えずに売っているかのどちらかでしょう。とにかく売っておいて、「あとは工事がやりますから」みたいな感じになると、家づくりもスムーズにいきにくいと思います。

そして3つ目のポイントが、新築だけでなくリノベーションも含めて検討してくださることです。うちの会社は一部リノベーションもしますが、積極的にやるわけではありません。でも新築1本でやっている会社は、新築に誘導しようとする気持ちがあると思います。これだけ新築価格が高くなったら、新築の営業マンって新築を売りたいんです。しかし、お客さんにとっては人生の選択なので、ここはニュートラルに考えた方がいいと思います。これらが最初の3つのポイントです。

ここから少し話が変わります。住宅の平均使用年数、いわゆる家の寿命についての話って昔からよく言われますよね。これはある統計ですが、世界の家づくりに比べたら日本の家は寿命が短いです。例えば、イギリスは1軒の家を建てて壊すまでの周期が141年と言われています。長いですよね。アメリカは96年、約100年使うんです。フランスで86年、ドイツは79年です。日本はここ数年で伸びたとはいえ、30年ぐらい。

持論ですが、家の価格が高くなった時の最大の対策は、家を長く使うことだと思うんです。いくら高くなっても、期間が長かったら薄まるじゃないですか。長い期間価値のある家にすれば、それが最大のリスクヘッジになります。

なぜ日本の家の平均使用年数が低くなったのか。それを分析したアナリストの方がいらっしゃいます。その理由は5つあって、1番はライフスタイルの変化に対応できる家でなかったことです。子どもってすぐ大きくなるじゃないですか。子ども部屋が欲しいという時もあるけど、独立してお父さん・お母さんだけになることがよくありますよね。その時になって、帯に短し襷に長しみたいになることがあります。

2番目は、戦争の復興時に質より量を優先したことです。日本は第2次世界大戦で焼け野原になったため、とにかく人の住める所を確保しようというレベルから始まったところがあって、耐震性・耐久性は担保しないでやってきた傾向がありました。

3つ目は、日本特有ですが土地神話というものです。今の若い人は知らないと思いますが、90年代にバブル経済というのがありました。日本の土地が爆上がりして、土地の全価格でアメリカが2個も3個も買えるみたいな時代があったわけです。建物の価値より土地がグーンと上がったから、土地だけ売った方が手離れがいいし儲かるという時代があったんです。そういうこともあって、家の寿命を短くした。これが3つ目です。

4つ目は大きな原因の1つです。日本では、中古住宅を流通させるという市場が全然育っていませんでした。「中古住宅?そんなの売れないでしょう」と。日本だったら築50年と言えばそろそろ解体でしょう。ところが、イギリスは100年ならまだまだという感じです。築50年だったら倍は持つから、買う人がたくさんいます。

5つ目が、住んでいる家が寒すぎた・暑すぎたという問題です。住宅性能が低くて快適性がなかったから、日本の家は寿命を短くせざるを得なかった。「もうこんな家には住んでいられない」ということがあったのです。

最初にご説明した3つのポイントは、家を買うための戦略の3つの視点と思ってもらえるといいです。今度は「個別に建てる家はどうなの?」みたいな話になってきます。設計する上で災害に強いという面で言うと、その会社さんが災害リスクに敏感かどうかはポイントです。

最近は消費者の方のほうがよっぽど真剣で、自分の家がハザードマップのどこにあるかも確認していますよね。むしろ設計する人間の方が気にしていないことがあったりします。例えば、「〇〇さんの求められている土地は、ハザードマップで見たらこういう問題が起こる可能性があるので、これを踏まえた計画をしませんか?」と言ってくれるような会社がいいと思います。

5つ目に、快適な家の基本条件に日照というものがあります。日当たりに関して吟味して、なるべく日当たりをうまく活かすことを考えてくれる会社も選びどころの1つだと思います。

6つ目としては、間取りの提案の軸足です。日本の住宅が短命だった理由の1つに、ライフスタイルの変化が上手くいかないという問題がありました。これは、間取りの提案の軸足問題なんです。つまり、家族は期間限定で移り変わっていくものなので、間仕切りの変化はあって当たり前だという前提で家づくりを考えてくれるかどうかです。

当然人間は歳を取っていくわけだから、若い時は元気でも歳を取ったら力が衰えるじゃないですか。衰えても生活がしやすい家とは、家事がしやすい・収納がちゃんとあって片付けやすいということが提案の軸足になります。「部屋数はいくつ欲しいですか?」「リビングはどれくらいの広さがいいですか?」という底の浅いヒアリングじゃなくて、「お客さんの生き方としてこんなことが必要ですよね」という、提案の軸足があるかどうかも大事だと思います。

7つ目はこの延長になりますが、省エネ性能が高いこと。省エネ性能が高いということは光熱費も安くなるし、冬は暖かいし夏は涼しい。そして家を売買することがあった時には、省エネ性能が高いことが担保できる家だったら、買ってくれる可能性が高くなります。この家は間違いなく冬は暖かいということが、スペックやデータで証明できていれば、買う時に買う人が決断しやすいですよね。売る時も売り込みがしやすいじゃないですか。なので、「大体こんなものです」みたいな性能の家を販売時の値段優先で勧めてくるとしたら、本当の意味でお客さんのことを守ることにならないと思います。

そして8つ目が、耐震性・耐久性の見える化です。耐震等級が3になっているとか、許容応力度計算のような構造計算がしっかりしてあるとか。また、台風被害に対する耐風等級も2にしてあるみたいなことを、当たり前に踏まえた上で家づくりの計画を提案してくれるかがポイントです。

ここまで話してきた4〜8番は、家を長寿にするためにも大事なことです。家を長持ちさせるバックボーンになります。値上がり時代で高い家は買わざるを得ないけど、これらを守ることによって、長期的にリスクが軽減できるはずです。こういうところを踏まえてもらえれば、家づくりは乗り越えていけるんじゃないかと思っています。家族のために頑張って家を建てたい人を応援したいので、つい力説してしまいました。ぜひ参考にしてください。

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