兄弟とお菓子のちょっとしたSS

兄弟とお菓子のちょっとしたSS


※モブ職員視点

※短い



 俺はしがない魔法局職員。神覚者のカルド様のサインが必要な書類を持って魔法人材管理局局長室の扉を叩く

 返事をもらって入室した先には──怒ってるエピデムさんの前で正座するカルド様の姿が


「急ぎの書類か?」

「まあまあ急ぎです」


 そんな状況の中で普通に仕事している副官さんに書類を渡しつつ状況を尋ねる。まあ大体察してはいるけども…

 あれだ。と指さされた先はカルド様の執務机の上、蜂蜜が並々と注がれた陶器の器


「また蜂蜜でプリン冒涜したんですか」

「そう。しかも今回は先日セルさんに蜂蜜没収されたのを哀れに思ったエピデムさんが態々蜂蜜プリンを作って来てくれたのに一口も食べずに蜂蜜漬けにした」

「夫婦だったら離婚の理由になるやつっすね」


 これだから結婚出来ないんだよなーこの人…

 そんな事を思いながら眺めていたら、書類の内容を確認した副官さんがペンと書類を持って二人に近寄っていく


「エピデムさんすみません、ちょっと局長のサインが必要でして」

「……はい、いえ、こちらこそすみません。長々と…」

「いえいえ、この際ですからしっかり絞ってあげてください。局長、ここにサインくださいね」

「え……」


 助けてくれないんですか?みたいな顔してるけど駄目だと思う。カルド様の副官してるだけあってこの人も笑顔で仕事を積んでくるタイプだし

 それに先月の健康診断で数値ヤバかったのみんな知ってるんですよ


「あ、そこの方。アレルギーなければそこのプリンをどうぞ」

「ありがとうございまーす!」


 やったぜ。使いっ走りにされた甲斐があったぜ。この兄弟なんか妙にスイーツ作るのが上手いんだよな。前に貰ったクッキーもめちゃくちゃ美味かった


「はい。書類。次ライオ様の所に行くならこいつもお願い」

「えー…」

「ライオさんの所なら今日は兄さんがパウンドケーキ配ってますよ」

「やったー!喜んで行ってきます!!」



 その後、途中の廊下でエンカウントしたファーミンさんからはマドレーヌを貰った。今日はいい日だ!


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