男の友情

男の友情


※閲覧注意

※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより

※ゾローリアの更にIFネタ

※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√

※幼少ゾロはくいなと約束する前

※時系列はゾロ21歳、二児の父の時点

※CPはゾロひよ

※IFネタの派生⇒百獣√

※キャラエミュが微妙、マジで微妙

※文才なしの駄文

※捏造設定あり

※それでも良い方のみ、お読み下さい

※なんかササキがいいやつになりすぎてます














(傳ジロー視点)


日和様のご懐妊という知らせはワノ国全体に瞬く間に広がり、そこかしこで祝いの宴が開かれている。光月の縁者が再びワノ国の将軍一家に戻り、さらには跡継ぎも生まれるという慶事に民達も浮かれ、その雰囲気に当てられて百獣海賊団の者達もワノ国の民に混じって酒を飲んでいる。宴事態は喜ばしいが、酒に酔って馬鹿なことをしでかす奴らが出ないとも限らないのでおれは部下を連れて城下を見廻っていた。身重になられた日和様には今は当代将軍、今のワノ国の要であるゾロ様と河松達が付いている。狂死郎一家なんていうものを作ってしまったせいで、こんな夜更けまで日和様達の側を離れて、真面目に仕事をこなさねばならぬとため息をつく。だが、百獣の者とワノ国の民が共に杯を傾け、踊り唄うこの景色に思えば感慨深いものだと思いを馳せる。道ばたの茶屋で休憩しながらなんともなしに行き交う人々を見遣る。


19年前おれ達が黒炭と百獣に奪われたこの国を何の因果か百獣の者が取り返すという奇縁。侍でありながら百獣海賊団”大看板”の座に着く今の主君である御方、ゾロ様と今は亡きかつての主君、おでん様の娘である日和様が結ばれるという奇縁。あの日、オロチ一派に仇討ちを決意した日には想像だにしていなかった今に笑みが浮かぶ。


さて、休憩もすんだことだし任された仕事を果たそうかと立ち上がろうとしたちょうどその時に友人がやって来た。


「おい狂死郎!こんな時間まで仕事かぁ⁈親分業は大変だなぁ!」

百獣海賊団”飛び六胞”の一人、ササキである。おれがおでんが家臣、赤鞘の一人であることを明かしたときには、一悶着あったものの今では再び共に飲みに行く友人である。そのササキが酒瓶を持ってこちらに声をかけてきていた。


「お前達、先に行ってくれ」

「親分は?」

「少しサボらせてもらう」

「…わかりやした」

部下達だけを見廻りに戻し「呑もうぜ」と誘ってくるササキと腰を落ち着ける。


「珍しいな、お前がここらで呑んでいるなど」

ササキは百獣らしく強者を好み弱者を嫌う。戦闘員でない民達が多いワノ国の城下にやって来ることはあまりないのだが珍しく城下で上機嫌に呑んでいた。


「いやワイルドに俺が造った酒を祝い代わりに渡してきた後だ、子持ちになるなら俺に大看板の席を空けてくれりゃいいんだが…」

「わはは、ゾロ様なら日和様が身ごもられてからますます役目に対して積極的になられておるからなぁ、そうそう座を空けはせんでござろう」

「はっ!なら開けずともいつか奪うだけだ!」

「お主も変わらんな…」

「男なら上を目指してなんぼだろうが!」

ササキが趣味で造っている酒を飲みながら、話をする。この男との関係もゾロ様が将軍になる前にはこんな風になるとは思っていなかった。本当に未来がどう転ぶかは分からぬものだと柄にもなく感傷に浸る。


「おい、聞いてんのか⁈ぼーっとしてどうした?」

「いやなに、あの時の喧嘩を思い出していただけでござるよ」


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「ワノ国の歴史を知っているか⁈ササキぃ!!」

「歴史なんざ俺は知らねぇ!!だがケジメは付けさせてやらぁ!!」

おれは背中の光月の紋を露わにササキと切り結ぶ。つい昨日まで互いに親友と呼んだ相手と。

「19年前おれの主君を黒炭と百獣が殺した!以来おれは復讐の鬼だ!お前と友になったのも百獣の内情を知るという打算ありきだ!」

「なぁ狂死郎!何で今更明かしやがったぁ⁈」

「今の百獣はもうワノ国に害をなさぬ!ならおれもせめてもの筋は通さねばならぬ!」

「そうかよ!弾丸ケラトプスゥ!!!」

「ぬぅ!!」

今おれが討たれたとしても、もはやワノ国に心配はない。日和様のゾロ様との婚姻も確実のものとなった。打算ありきで近づいたおれを親友と呼ぶこいつに対してせめてもの筋を通そうと決めササキを呼び出しおれの正体を明かす。明かした直後に「ケジメ付けろやぁ!」と斬りかかってきたササキと剣戟を交わしながら叫びあう。これで偽りの友情に終止符を打てると思いながら。こいつと酌み交わした酒を思い出しながら。

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「お前が親友の俺に隠し事してやがるからだ」

「あの時は隠していなければそもそも友人になどなれなかったでござろうよ」

オロチ一派を廃し、ワノ国の将軍の座についた百獣海賊団幹部”戦災のワイルド”。日和様が彼に自身の正体を明かしなされワイルド殿、ゾロ様が日和様に百夜通いを始めた頃、すでにオロチ御用達であった狂死郎一家親分、居眠り狂死郎としてのおれを親友と呼ぶようになっていたササキにもおれの正体がおでん様が家臣、傳ジローであることを明かした。最初にササキに近づいたのも百獣の内情が得られるかもしれぬと期待してのことだということも。もしこれでワノ国に居られなくなろうとも、もはやおでん様の遺志をつぐおれの役目は果たされたと思って、せめて一時でも友人であったことの筋は通そうと全てを打ち明けると、友情を偽っていたことに切れたササキと腹を割っての大喧嘩になった。これで縁も切れるであろうと思っていたら、まさか互いに倒れた後に「もう黙ってることはねぇだろうな!」と言われ、その足で呑みに連れて行かれたのは驚いた。


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「これで終わりだぁ!!マグ!!ナムケラトプス!!!」

「がっ、はっ…!」

「ぜぇ、はぁ…。おい、もう隠してることはねぇだろうな」

「はぁ、はぁ、はぁ…。なぜ殺さん…?」

「…おい狂死郎、呑みに行くぞ!騙してた罰だ、てめぇが奢れ!」

「あ⁈」

ササキの大技を受け吹き飛ばされて倒れたおれが何故とどめを刺さんのかと問うと、いきなりいつものように呑みに行くと宣言された。

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「それもそうか」

「お主にあの後明朝まで呑まされたのは驚いたでござるよ。とてもではないが友人で居られなくなると覚悟しておったのに」

「わざわざ打ち明けたってことはこれ以上騙すつもりもねぇってことだろ」

「はは、そうでござるなぁ…」

「……」

会話が止まり二人してちびちびと酒を飲むだけの時間になる。静かだが決してイヤではない沈黙を過ごす。ゾロ様が鈴後の土地を治めるようになってから、本当に予想外の縁が繋がる。侍と海賊、偽りなく親友であるといえる相手になるとはまっこと奇縁だと改めて思う。


ゾロ様から聞く話によると外の世界は動乱のさなかにあるという。願わくば外の波がこの国の平穏を崩さぬよう、ゾロ様が目の前の大事に集中できるようにせねばと思う。ふとおれが仕事をサボっていることを思い出し仕事に戻らぬとなぁと考える。


「親分!」

「どうした?」

「南の通りで酔っ払いの喧嘩が!」

「わかった!すぐ行く!」

仕事に戻らねばと考えていたところにちょうど先に仕事に行かせていた部下が走ってくる。南通りで騒ぎがあったらしい。立ち上がって仕事に戻る。


「悪いが仕事だ、またな」

「おう、今度はいいつまみ用意しとけや」

”親友”に別れを告げ仕事に戻る。

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