取材に応じてくれたハウンズ事務員のインタビューより

取材に応じてくれたハウンズ事務員のインタビューより


アタシがハウンズに来た理由っスか?アタシは『スカウト組』なんスよ

ブラックマーケットで仲間たちとチンピラやってて、その日も腹減ってるの誤魔化すためにパン買う金ぐらいは稼ごうと思ってカツアゲしようとした相手がロニーさんだったんスよ

路地に入ったところで声かけて銃突きつけた瞬間に銃蹴っ飛ばされて、びっくりしてる間に腕と肩掴まれて視界がグルっと回ったと思ったら地面に叩きつけられてたっス

そしたら建物の陰から622ちゃんが出てきてロニーさんと一緒にアタシらを担ぎ出して、ドコ連れてく気なのかと思ったら622ちゃんが出てきた所に装甲車が止まってて、その時『人攫い装甲車』の噂を思い出したっス

その時の気持ち?『アタシら終わったな』だったっス

もうね、痛い死に方だけはしたくないしか考えられなかったっスよ

そんで、ここに連れてこられてボス・・・ ウォルターさんに面通ししたんスよ

ボスの第一印象?『なんでこの人頭抱えてるんだろう』っスね

アタシらを攫うように指示したはずの人が頭抱えながらアタシらとロニーさんの顔を交互に見てたんスよ?まさかロニーさんのスカウトのやり方がボスの想定の斜め上なんて思わなかったっスよ

面通しが終わった後はもうびっくりの連続だったっスね

まず風呂に入るように言われて案内されたっスね。今までならフトコロに余裕があればネカフェでシャワー借りてたっスけど、基本は公園のトイレで顔洗って髪とかしてたから、風呂に肩まで浸かるなんていつ以来かって感じだったんで、ついウトウトしちゃって危うく風呂で溺れるなんてマヌケな死に方するところだったっス

風呂から出たら飯が用意されてたんスよ。栄養が足りてないようだからって白米と味噌汁と野菜炒めだったんスけど、普段は安いだけのジャンクフードやパンしか食ってなかったからそれでも嬉しくて嬉しくて。箸も涙も止まらなくて、白米がえらくしょっぱかったのは今でも覚えてるっス

飯食った後は、もう夜も遅いからって寮に案内してもらって割り当てられた部屋のカギもらったんスけど・・・昨日まで廃墟で仲間たちと身を寄せ合って寝てたもんだから一人じゃ眠れなくって、結局一つの部屋に集まって雑魚寝したっス

ここに来てしばらくは訓練と勉強してたっスね

どうやって勉強してたかって?ボスがBD調達してきてくれたんスよ『基礎学力と最低限の一般常識は身につけておけ』って。

最初はちんぷんかんぷんっだったスけどね。仲間たちもみんな唸ってたし

でも、問題が解けるようになると勉強が楽しくなってきて、自由時間でも勉強するようになってしばらくしたらボスがミレニアムの入試問題持って来たんスよね

そんで挑戦してみたら合格点だったんスよ!本当っスよ?

そしたら事務員に回されて、今に至るっス

いやぁ、チンピラだった頃と比べたら表でドンパチしなくても飯食えて給料までもらえるなんて夢見たいっス

あの頃のアタシに言っても絶対信じないっスね。なんせあの頃は先生の事すら眉に唾つけて聞いてたっスから


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