No. 2007 ウクライナ戦争は終わった

The War In Ukraine Is Done

by b

ウクライナにおける「反転攻勢」の失敗について、ワシントン・ポスト紙は2部構成の長い記事を掲載した。この記事は、この混乱全体を計画した米国とイギリス、そしてそれを実行したウクライナに等しく責任を負わせている。

最初の部分の箇条書き:米国とウクライナの誤算、分裂があった攻撃計画

https://www.washingtonpost.com/world/2023/12/04/ukraine-counteroffensive-us-planning-russia-war/

反攻と最初の結果を作った主な要素は以下の通り:

* ウクライナ、米国、イギリスの軍事将校は作戦計画を立てるために8回の大規模な卓上戦争ゲームを行った。しかしウクライナの軍隊を短期間で西洋式の戦闘部隊に変えることができるのか、特にキエフに近代的な軍隊に不可欠な空軍力を与えることなくできるのかということについて、米国は程度を見誤った。

  * 米国とウクライナの政府関係者は、戦略、戦術、タイミングをめぐって激しく対立した。米国防総省は、ロシアが戦線を強化し続けるのを防ぐため、4月中旬に攻撃を開始することを望んだ。ウクライナ側は躊躇し、武器や訓練を追加しなければ準備が整わないと主張した。 

 * 米軍関係者はウクライナの兵力と武器があれば、機甲化した正面攻撃は可能だと確信していた。シミュレーションでは、キエフ軍は最良で60日から90日でアゾフ海に到達し、南部のロシア軍を切り離すことができると結論づけた。

  * 米国は、この南部のロシア軍への集中攻撃を提唱したが、ウクライナの指導部は、自軍は600マイルの前線に沿って3か所、南はアゾフ海のメリトポリとベルディアンスク、東はロシアに包囲されたバフムートに向かって攻撃しなければならないと考えていた。

  * 米国の情報機関の見方は米軍よりも厳しかった。ロシアが冬から春にかけて構築した強固な多層防御を考えれば、攻撃が成功する可能性は五分五分だと見ていた。

  * ウクライナと西側諸国の多くの人はロシアの能力を過小評価していた:戦場での災難からの回復能力と長年の強み(人員、地雷、そして他の多くの国にはほとんどない規模の犠牲を厭わないこと)

 * 攻撃開始が近づくにつれ、ウクライナ軍関係者は壊滅的な損害を被ることを恐れた。一方で米国側は、決定的な攻撃がなければ最終的に犠牲者はもっと多くなると考えていた。

 そして後編: ウクライナでは、反攻が停滞する中で徐々に戦争は続いている

https://www.washingtonpost.com/world/2023/12/04/ukraine-counteroffensive-stalled-russia-war-defenses/

この作戦に関する記事から得られた主な結果は以下の通りである:

 * 西側の最新兵器を装備した反攻を率いる旅団の70%が、戦闘経験のないまま戦闘に参加した。 

 * 戦場でのウクライナの挫折は、ロシアの防衛線を深く切り開く最善の方法をめぐり米国との対立につながった。

  * ヨーロッパの米軍司令官は、作戦の初期において、米国が戦場の決定を疑問視したことによる緊張感の中、数週間にわたりウクライナの最高司令官と連絡が取れなかった。 

 * 両方の側が相手のミスや誤算を責めた。米軍関係者は、ウクライナは地雷原の密度を把握するための地上偵察など、基本的な軍事戦術が不足していたと結論づけた。ウクライナ政府関係者は、米国側は攻撃用ドローンやその他のテクノロジーがいかに戦場を一変させたかを理解していないようだと言った。

  * ウクライナは2023年だけでも数千人の死傷者と数十億ドルの西側の軍事援助を犠牲にして、約200平方キロメートルの領土しか奪還していない。

 これらすべての点がその役割を果たした。

私の個人的なもの:

* ウクライナもその支持者も、ロシアの能力を組織的に過小評価していた。(そして今もそうだ) 

* 衛星による偵察では、ロシアの防衛態勢はクルスクの戦いのレベルだった。

 クルスクの戦い(第二次世界大戦中の1943年、ソ連の都市クルスク周辺をめぐり、ナチス・ドイツとソ連軍との間で行われた戦闘)

 クルスクの戦いではドイツ国防軍は長すぎる準備の末、ロシアの戦線を突破することができなかった。1943年からの懲りない教訓: このような防衛線を見たら、他のことをやってみよう。

  * 戦闘シミュレーションや卓上戦争ゲームには各陣営の「モラル・ファクター(道徳的要因」」が設定されている。米英が明らかに行ったように、自陣のモラルを10、敵陣のモラルを0に設定すれば、毎回勝つことができるが、現実とはなんの関係もない。

  * 航空支援は役に立たなかっただろう。ロシアの防空は強すぎて対抗できない。

  * 戦闘経験のない、ほとんど訓練を受けていない経験不足の旅団を使う決定は重大な誤りだった。

  * 発煙手榴弾を使わず、一般的に欺瞞の手段を用いたことは、まったく合理的ではなかった。

  * 新たな兵士の半数(より経験豊富な部隊)を、すでに敗北しているゼレンスキーのバフムートの戦いに参加させたのは大きな政治的ミスだった。

 これらすべてが合わさり、いわゆる「反転攻勢」は一度も実現のチャンスがなかった。現在の口論は、失敗の責任を相手側に転嫁しようとする試みにすぎない。

ウクライナのザルズニー総司令官はこの戦いから学んだ。彼は今、やや現実的な数字を出して米国に勝利の可能性がいかに小さいかを理解させている:

 ザルズニー総司令官は米国防総省長官に1700万発の弾薬を要請した。https://www.pravda.com.ua/eng/news/2023/12/4/7431543/

ロイド・オースティン米国防長官はキエフ訪問中に、ウクライナには1,700万発の弾薬が必要であり、ウクライナの解放には3,500億~4,000億ドル相当の資産と人員が必要であることを知らされた。

 

国防軍幹部の言葉:

 オースティンは1700万発の弾薬が必要だと聞かされた。控えめに言っても、彼は唖然とした。なぜなら、全世界でそれだけの弾薬を集めることはできないからだ。

ウクライナ軍には1700万発の弾薬を発射するのに必要な1万本の銃身がない。またその架空の銃に給弾する人員もいない。

ザルズニーは明らかに、戦争は負けて終わったと考えている。そして、今こそ平和を追求する政治の時だと考えている:

さらに、ある情報筋によれば、オースティンはザルズニーが大統領府からの干渉について米国の将軍たちに内々に不満を漏らしていたとも語っている[……]: 「オースティンは、ザルズニーが大統領府や大統領府の妨害について、いつも将軍たちに不満を漏らしていると内々に話していた」。明らかに大統領もそのような会話を知っていた。そして、それは信頼につながるものではない。「しかし、大統領府はザルジニの解任が彼の政治的キャリアを促進すると考えている。」

バイデン政権は、そろそろこの事態を収束させる時期に来ている。いつものようにやればいい。勝利を宣言し、その場を去り、忘れるのだ。

ギルバート・ドクトロウがその方法について考察している: 「シーモア・ハーシュ、アナトール・リーベン、そしてワシントンD.C.が「勝利」を主張しながらウクライナでの敵対行為を終わらせようとする必死の策略」

https://gilbertdoctorow.com/2023/12/03/seymour-hersh-anatol-lieven-and-the-desperate-dc-gambit-to-end-hostilities-in-ukraine-while-claiming-victory/

その後何が起ころうと、それは脚注のために残されるだろう。

https://www.moonofalabama.org/2023/12/the-war-in-ukraine-is-done.html