能登半島地震、石川県で48人の死亡確認 津波注意報はすべて解除 

地震で被害を受けた家(2日、石川県七尾市)
画像説明, 地震で被害を受けた家(2日、石川県七尾市)

石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震で、気象庁は2日午前10時、日本海沿岸部に発表していた津波注意報をすべて解除した。各地で複数の死傷者が確認されている。石川県は2日午後3時半の時点で、県内で合計48人の死亡が確認されたと発表した。

石川県は2日午後3時半時点のまとめで、県内で48人の死亡が確認されたと明らかにした。珠洲市が20人、輪島市19人、七尾市5人、穴水町2人、羽咋市1人、志賀町1人だという。

県の危機対策担当はBBCに、捜索・救助活動が進むにつれて、さらに被害者の数が増える恐れがあると話した。

気象庁は2日、午前10時の時点で「これ以上津波は大きくならないと判断」し、津波注意報を解除したと説明した。地震活動については、午後4時から午後9時までに、震度1以上を観測した地震が147回発生したと発表。震度7が1回、震度5強が3回、震度5弱が5回、震度4が20回、震度3が57回、震度2が61回という。

消防庁によると、1日の避難指示の対象は7つの市と町で、計1万5309世帯、3万8214人に上った。

地震で被害を受けた家の横を歩く人たち(2日、石川県七尾市)
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地震で被害を受けた家(2日、石川県七尾市)

画像提供, Reuters

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石川県内では、震度7の揺れを観測した志賀町で家屋の倒壊や断水、道路の陥没などが多数確認されているほか、他の地域で複数の建物が倒壊・破損している。倒壊した家屋の下敷きになるなどして、多数の死傷者が出ている。

震度6強の揺れを観測した輪島市では、倒壊したビルに取り残された人の救助作業を、自衛隊などが行っているという。

防衛省は2日午前、自衛隊員1000人以上が石川県輪島市や珠洲市を中心に活動していることを明らかにした。自治体からの要望に対応できるよう、陸海空自衛隊の隊員が約1万人の態勢で待機しているという。

地震で被害を受けた家(2日、石川県七尾市)

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1日夜から続く輪島市内中心部の火災では、店舗や住宅など100棟以上が焼けたもよう。NHKなどの報道によると、2日11時過ぎの時点で延焼は止まっているが、煙は出続けている。

NHKによると、金沢市内では金沢城の石垣の一部が崩れている。

岸田文雄首相は2日午前、非常災害対策本部会議を開き、被災対応を協議。その後の午前10時すぎ、首相官邸で記者会見し、「自衛隊、海上保安庁、消防、警察などを広域に動員をし、そして徹底して連携させること、また、プッシュ型支援により現地を支援するため、関係省庁の幹部の現地派遣、これを強力に行う」と述べた。

「自衛隊、警察、消防などの緊急援助部隊等については、昨夜のうちに自衛隊の航空機など、あらゆる手段を用いて現地に部隊を進め、順次、救命・救助等の活動を開始している」、「津波警報が解除されたので、海上輸送ルートが確保できる。夜も明け、そして、海上ルートも活用できるということなので、より本格的に現地への支援を行っていきたい」などと話した。

首相はさらに、「被害状況などについての悪質な虚偽情報の流布は、決して許されるものではない。こうした行為は厳に慎んでいただきたい」と強調した。

グリーンハウスを避難所にした人たち(2日、輪島市)

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米英が支援申し出

アメリカのジョー・バイデン大統領は1日、「ジルと私は、ひどい地震に打撃を受けた日本の人たちのために祈っている。私の政権は日本当局者と連絡を取り合ってる。アメリカは、日本の人たちが必要とするあらゆる支援を提供する用意がある」と声明を発表した。

大統領はさらに、「緊密な同盟国同士として、アメリカと日本の間には、お互いの国民を結びつける深い友情の絆がある。この厳しい状況にあって、私たちは日本の人たちを思っている」と述べた。

イギリスのリシ・スーナク首相も、日本の状況を注視しており、イギリスとして支援する用意があると述べた。「岸田文雄首相はイギリスの素晴らしい友人だ。これほどひどい被害をもたらした日本の地震によって、影響を受けているすべての人のことを思っている」ともコメントした。

金沢市内でも道路や家屋が破壊された(2日、金沢市)

画像提供, EPA

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「どれだけ激しくなるのかわからず」

スキー旅行で長野県白馬村を訪れていたイギリス人のエマ・ワードさん(41)は、1日午後4時10分の地震発生時に仲間とカフェにおり、急いでテーブルの下にもぐったとBBCに話した。カフェの厨房からは、食器が落下して割れる音がしたという。

揺れが激しくなり、建物の外へ逃れたというワードさんは、「いきなりのこと」で恐ろしかったと話した。

さらに「揺れている間、この先どれだけ激しくなるのがわからなくて、それが最悪だった。本当に恐ろしい経験」だとも、ワードさんは述べた。

破壊された神社の鳥居(2日、石川県穴水町鵜島)

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余震は続く予想=英専門家

英リヴァプール大学のダン・フォークナー教授(地質・地球科学)は、能登半島地震の位置について、「今回の震源地から約200キロ北東の位置でも60年前にこの規模の地震が起きている。そのため、この地域でこの規模の地震が起きるのは初めてではない」と説明した。

日本は環太平洋地震帯に位置するため、地震多発国なのだと教授は指摘し、今回の揺れはプレート(地表を覆う殻)が沈み込む「沈み込み帯」で起きたものではないものの、「プレートがお互いに押し合う仕組みの一環であることに変わりはなく、今回の地震は衝上断層地震だった。つまり、今回の事象で地球の地殻は約3.5メートル押し上げられたはずだ」と話した。

フォークナー教授は、最悪の揺れはすでに終わったかもしれないが、今後も揺れは続くだろうとも述べた。

「日本では今後、かなり大きい余震も起きるかもしれない。その場合、本震ですでに弱まってるインフラや建物に衝撃を与えることになる」と教授は指摘したうえで、「ただし科学的には、この地域では今後、地震の規模が次第に縮小していくと予想されるので、(本震ほどの)規模のものは予想されていない。余震は今後減るだろうが、それでもかなりの規模のものがまだあるかもしれない」と話した。

(英語記事 Live page: Japan earthquake)