長周期地震波災害:明日来る大地震に備えて借家へ
長周期地震波災害
明日来る大地震に備えて借家へ
伊達美徳
昨夜(2010/03/07)のNHKTVで、地震が来たらビルが壊れるかも、という番組をやっていたのを、珍しくチャンと見た。
そりゃ壊れるかもしれないでしょうよ、なんせ地震なんですから。
でもね、なんだか新しい地震らしいですよ。いや、地震はいつも新しいか、いや逆か、地震は大昔からあるなあ、どっちだろ。
普通は地震ってやつはドドドッとゆれて、壊れるもの倒れるものがガラガラガシャガシャンってなるもんだと思っていた。
ところが近頃の鯰は進化してきて、フワ~リユラ~リソロ~リと揺するのだそうで、それがだんだんよくなる法華の太鼓で長い間揺れつつどんどん揺れ幅が増していくのだそうだ。
この揺れが高層ビルにチョウ危ないそうである。
あ、そうか、鯰クンも昔もそうやって揺らせていたけど、高層ビルもなけりゃ超高層ビルなんてのもなかったもんなあ、人間は別に危なくはなかったんだな。
ってことは鯰の進化じゃなくて、人間の進化?でわざわざ危険なものに仕立て上げたってことである。
特に埋立地のような土地がずぶずぶのところが危ないのだそうだ。先日チリ地震があって、その津波が日本に押し寄せるときにリヤス式海岸のような湾のなかで波が増幅する図を見たが、あれと似たような感じ だ。
南海、東南海地震でおきた地震波が地中を伝わってきて、東京湾の埋立地のようなずぶずぶ地盤でしかも周りが山に囲まれたところでは、やわらかい地中に波が閉じ込められて行ったり来たり 、いつまでもゆれ続けてしだいに増幅するのだそうだ。
鯰クンはそうやって揺すり続けているうちに、ビルの揺れ具合と地震波長とがピタンコ相性がよくなってケッコ~ン!?、ビルは身をよじって振るえ揺さぶりだすそうだ。
事例として、1985年にメキシコシティで起きた15階建て高層ビルの倒壊は、まさにこれだったという。あそこは湖を埋め立てた土地である。わたしの住む横浜関外もまさにその地形である。こわい。
わたしのただの推測だが、本当は東京のどの地域のどの高層ビルがどう長周期地震波に反応するか、コンピューターでの実験にデータがあるに違いない。それを放送するとパニックを招く危険性があるから出さなかったのではあるまいか。
昔、超高層ビルの宣伝には、柳腰でゆらゆらと地震波をやり過ごすのだから安全です、なんて言ってた。
その長周期地震波による超高層ビルの揺れの実験映像を見せてくれた。たしかに建物は倒れなかったけど、中味はグチャグチャ、走り回り倒れに倒れた家具類の下でマネキン人形が無残に死んでいる。
ってことは、このビルは構造体としては大丈夫だったけど、上下水、電気、ガス、建具類、ガラス、付属物などはめちゃめちゃだろうから、使い物にならないに違いない。
人も室内で死んだとなると、これはどう考えるか。平屋で家がペチャンコ、土地は残ったという場合と同じである。ちっとも安全な建物ではないってことになる。
どんなに安全な設計をして倒れなくとも、これでは意味が無いと思う。
それでも土地があれば、構造体があれば、金さえ都合つけば建て直しや大修繕でまた使えるようになるだろう、と考えるのが普通だが、ここにも大問題が潜んでいる。
区分所有の共同住宅ビル(通称マンション)ならどうするのか。大規模な高層ビルや超高層ビルならば、ちょっとやそっとの金ではこの超大修繕はできない。
あなた一人が金持っていても、ほかの何百戸の持ち主全部が持ってるわけはないから、すったもんだとなるでしょうね。
いっそのこと壊しますか、それも莫大な費用がかかり、すったもんだです。壊した後の土地を分配しますか、ネコどころか蚤の額ほどの広さですよ、使い物になりません。
そう、お金を持っていても、住宅難民になりますね。
今から長周期地震波被害予防の工事をする技術もあるそうだが、これも億の単位で金がかかるらしい。「新宿センタービル」でやった事例が放送されたが、これは大成建設の設計施工でその本社なんだから、これが倒れたら企業が倒れる。面子にかけてもやる必要があったと分かる。普通はそうは行かないだろう。
金もなし、家もなし、来るならわたしが死んでからにしてほしいが、唯一備えているのは、地震が来ても、壊れるわが財産の被害をできるだけ少なくしていることだけ、つまり借家住まいで壊れる財産はないってことである。消極的対策じゃないよ、積極的に借家を選んで入っているのだ。(2010年3月8日)