山海経観光・前編
発案者:C4-621【時系列】
・最終編後かつワカモ襲撃戦の後
【メンバー】
・C4-621/レイヴン/ロニー
・G5 イグアス
・V.Ⅳ ラスティ
・チャティ・スティック
【本編】
「やぁ、待たせたか?」
「10分くらいな」
とある場所で二人の男が落ち合った。どちらも最近キヴォトスをにぎわせている外星人ではあるが所属している組織が違う。
どことなくイケメンのスパダリな雰囲気を漂わせる男の名はアーキバスグループ・ヴェスパー部隊所属の第4隊長「ラスティ」。その実、ルビコン解放戦線のスパイであったのだがルビコンにはもう目的の資源がなかったことも相まってなんか許されている。
もう片方のなんかガラが悪そうなヤンキーの男はベイラム本社・レッドガン所属の5番目「イグアス」。よくミシガンにかみついては顔面が変形するまで殴られていたが後輩が一人増えたのも相まって最近はその狂犬っぷりも落ち着きが見られるようになった。なお後輩とはG13ではなく、大豊から来たテスターパイロットである。
「まさか戦友が私たちに奢ってくれるなんてな、生きてみるものだな」
「ヘヘッ、腹いっぱい食って財布すっからかんにしてやらぁ」
他愛もない話をしているとそこにジープがやってきた。どうやら後部座席もついているモデルのようだ。
「よう」
すると助手席からなんとなくBASHOを彷彿とさせる黄色いヘルメットをかぶった男が声をかけてきた。いや、よく見たら首が機械のパーツでできていることから人間に偽装した義体であることは二人とも見抜くことができた。
「誰だてめぇ」「誰だ?」
「俺だ。チャティ・スティックだ」
「お前がぁ?!あのタンク型の体はどうしたんだよ?!」
「最近ボスが『あんた用の人型の義体作ったからちょっと乗り換えてみな』と言われてな、せっかくだから乗り換えてみたんだ。ビジターも驚愕してて笑えたぞ」
そんなことをチャティと話しながらラスティとイグアスは後部座席に乗り込んでいく。すると運転席にいた621が後ろのドアを閉めたのを確認すると運転を再開した。
「おい野良犬。奢るって話だがどこ行くんだ?」
「それは私も聞いてなかった。戦友、どこへ行くんだ?」
「山海経というエリアだ。そこには中華料理店が沢山あるらしい。その中でも特にレビュー評価が高い店を選んでいる。それ相応に値段は張るが…傭兵仕事で稼いだ金がたんまりあるからな。問題はないだろう」
「1コームがここでは1万円だからな、ボスも俺も驚愕したぞ」
「酒やたばこがなかなか手に入らねぇが安いもんは安いからな。それにつまみとかは大量に買える」
「トリニティに行けばスイーツが手に入るしアビドスにはうまいラーメン屋がある。キヴォトスはどことなくいびつだが…、そこはいいところだな」
「ドロップアウトしてしまった学生が再び這い上がることがなかなかできない場所だ。地盤づくりのためにそういう生徒をスカウトしていっていたが…まさか人さらいと思われていたとはな」
「おめぇのやり方ミシガンのクソ爺まねたとか言ってるが全然違うからな?あいつは自分から殴りに行くことはしてなかったからな?俺たちが殴り掛かって返り討ちにされて入れられたんだが??」
「ビジターのやっていたことが暴行のち拉致・洗脳紛いだからな。『先生』も警戒するだろう」
「・・・先生で思い出したが・・・彼は人殺しに対して忌避感を抱いていたようだった。まさかこの世界で人殺しをしていない大人がいるとはな」
「俺たちみたいなやつがいる場所とは無縁のところで生きてたんじゃねぇか?ある意味羨ましいことこの上ないぜ」
「そうだな、私たちは戦うしか手段がない場所で出会ったからな。戦友もそうだろう?」
「・・・あぁ。でも、そんな場所で生まれてなくてよかったことが一つだけある」
「?」「戦友?」「なんだよ?」
「お前たちに会えたことだ。違う組織同士でこうやって落ち合って話し合って飯を食いに行く。戦いあうこともあったが、きっとこの経験はあのルビコンを通していなければできなかった。俺はきっと幸運だ。だから改めて言う。俺の誘いに乗ってくれてありがとう」
するとみな三者三様の反応を示した。
チャティは首をそっぽに向け、
ラスティは耳まで赤く染まりむず痒いかのように頬をかき、
イグアスは恥ずかしそうな顔を浮かばせながら叫んだ。
「の、野良犬てめぇ!よくそんなこっぱずかしいこと言えたな!/////」
「・・・・・・・・・」
「なんか言えや!!」
「ビジター、お前ももしかして照れてるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・(コクッ///」
「お前もお前で言った張本人なのに照れてんじゃねぇ!!!!//////」
ぎゃあぎゃあ言いながら彼らは山海経に向かっていった。
続く