過去からの帰還者

過去からの帰還者


※閲覧注意

※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより

※ゾローリアの更にIFネタ

※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√

※幼少ゾロはくいなと約束する前

※時系列はゾロ21歳、二児の父の時点

※CPはゾロひよ

※IFネタの派生⇒百獣√

※キャラエミュが微妙、マジで微妙

※文才なしの駄文

※捏造設定あり

※それでも良い方のみ、お読み下さい


















(モモの助視点)


せっしゃは母上のトキトキの能力によって20年後のワノ国にたどり着いた。せっしゃ達が憎きオロチ一派から取り戻さねばならぬワノ国に。オロチたちの軍勢に攻め込まれ追い詰められたせっしゃ達をその能力で未来に飛ばし、オロチ達への反撃の芽を繋いだ母上の遺志を果たすためにもまずはワノ国の現状がどうなっているのかを知らねばならぬ。



正体を隠して噂を集め今のワノ国がどうなっているかを調べると、既にあのオロチは廃され、カイドウの部下のワイルドという男が国を治めているらしい。詳しい情報は聞けなかったがせっしゃの妹、日和がそのワイルドに捕らえられているらしいという話を聞きやはり海賊、許しがたしと錦えもん達と共に憤りをためる。しかしどうにも民達に悲壮感がないのが気になる。まさか海賊、それもあの百獣海賊団がが善政を敷いているわけでもあるまい…。仇の一人、黒炭オロチがおらずともワノ国が百獣海賊団に支配されていることに変わりなしと気を引き締め、さてどうするかと錦えもん、カン十郎、お菊、雷ぞうと話し合おうとしたとき、不審な女人が現れた。


「君がモモの助君かな?初めまして!僕はおでんだ!君たちがそろそろワノ国に現れる頃と聞いて探していたよ!」

「わあぁぁぁあ!誰でござるかぁ~⁈」

突如現れ父上の名を名乗るその身長八尺程の胸の大きい女人に、驚いて叫んでしまう。錦えもん達も突然話しかけられた珍妙な女人に驚き呆ける。そして言葉の意味を理解すると同時にせっしゃ達は困惑する。この者は何を言っている?何故せっしゃ達が今のワノ国にいると知っている?この者は何者だ?混乱の中に突き落とされたせっしゃはこの女人の頭に角があることに気づく。あのカイドウと同じ形の角が。あの日のカイドウの凄みを思い出しせっしゃの足が後ずさる。


「まさか貴様カイドウの手の者か⁈」

「モモの助様を渡しはせんぞぉ!」

錦えもんと雷ぞうも女人の頭の角に気づき、せっしゃの前に出て、臨戦態勢をとる。カン十郎は筆を取りだし、お菊はせっしゃを連れて離れようとする。


「あぁ待って待って!僕は敵じゃない!あのくそ親父と違って君たちの味方だよ!」

どうやらカイドウの娘らしい女人がせっしゃ達のことを把握していてその上、父上の名を騙って味方だと宣言しているという状況に今度こそせっしゃ達の思考が完全に止まる。意味の分からないこの状況を動かしたのは女人を追いかけせっしゃ達の前にやって来たよく知っている顔だった。


「ヤマト様ぁ~!何勝手に一人で突っ走っとるんですか~~⁈」

「悪い!モモの助君達が見えて先走ってしまった!」

「ってえぇ!!モモの助様ぁ⁈錦えもん達もぉ⁈」

父上の家臣であったカッパの河松、あの日日和を連れ城を脱出していった河松がせっしゃ達の前に元気な様子で現れた。


「お久しぶりです、モモの助様…。よくぞご無事で戻ってきなされた…」

「河松お主もよく無事であったな…」

せっしゃの前に跪き、久方ぶりに会えたことを喜ぶ河松。錦えもんも20年の時を経て河松が無事に生きていたことを喜んでいた。

「さぞ驚かれるでしょうが…今のワノ国からは黒炭の影は消え平和そのものでございます」

河松と謎の女人に連れられ、日和がいるという鈴後の城に移動する。その道中、せっしゃ達は信じがたい話をいくつも河松から聞かされた。百獣海賊団の幹部によって民を虐げていたオロチ達が処刑され、その幹部がワノ国に平和をもたらしていること、そのワノ国将軍となった幹部、”戦災のワイルド”がかの刀神の血筋、霜月の者であること、父上の家臣であった者達もそのワイルドに従っていること、大人になった日和が自分の意思でワイルドに嫁ぎ、なんとせっしゃが叔父になっていることなど想像だにしていなかったワノ国の現状にせっしゃたちは心底驚愕していた。謎の女人はカイドウの子で本名をヤマトといい、何故か父上に憧れ父上の名と共に振る舞っているということも河松より聞いた。その女人、ヤマトは道中で「康イエおじさんにも伝えてくるよ!」と言って白舞の方へ走り去って行った。


「なんと…日和様に御子が…」「あの牛マル様の又甥がカイドウの配下にいるとは…」

「傳ジロー達も無事なのですか、よかった…」「将軍オロチが廃されたのか…」

錦えもん達もオロチ達によってさぞ荒廃したワノ国を想像していただけに、まさかこれほどまでにワノ国が平穏でせっしゃたちにとっての慶事さえあることに言葉が出ないようだった。せっしゃもあの日和が嫁ぎ親になっていると聞き驚きを隠せない。あの日燃える城で母上からワノ国復興、光月家再興の宿願を託され、そのために母上が命を賭したというのにせっしゃたちが何も知らぬうちにワノ国に平穏が戻り光月の血筋も繋がれていたことを喜ぶべきだというのに空しさまで覚えてしまう。ワノ国にとって確かに良いことだというのに、まるであの日の母上の決断が無意味だったかのような現状をすぐには受け入れることができない。武士らしくもない女々しい思いにとらわれている場合ではないと頭を振る。


「カッパッパッパ!着きましたぞ。身重故に城からは出られませぬが、日和様もモモの助様達がお戻りになられる日を楽しみにしておられました!」

せっしゃがぐるぐると考えを巡らせている内に日和がいるという鈴後の城に到着し、幾人もの侍に出迎えられる。この侍達もワイルド配下、つまり百獣の軍門に降った者達であると思うと歓待もそのまま素直には受け取ることはできない。早く肉親たる者、日和に会いたいと顔を伏せたまま城内を進む。


「兄上!!」

城の広間に通された瞬間、懐かしい声がせっしゃを呼ぶ。あの日より大きくなった姿で声も変われども確かにせっしゃの妹だと分かるその声の主は、昔と同じ笑顔でもってせっしゃ達を迎えてくれた。その20年が経ったことを否応なく分からせるその相貌を見て、せっしゃは本当にせっしゃ達とは関係のないところで時が経ち、ワノ国は救われていたのだと理解する。今まで堪えていたものが膨れ上がる。


「…っく、うわ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁ~~!!!」

せっしゃは泣いた。日和に情けなく抱きついて。打ち倒すべき敵がいなくなっており、気を張る必要がないと分かった瞬間こみ上げてきたものを堪えきることができなくなった。父上を喪い、母上に託されたものはせっしゃ以外によって果たされ…。九里でせっしゃの名を刻んだ墓が建てられていたが今のせっしゃはどうだ、持てるもの全てを奪われ、目標さえ失った今のせっしゃはまさしく今に蘇った”亡霊”ではないか。何も成せず、成すべきこともない。全てを奪われた悔しさと、何も成せなかった後悔、無力感、何も知らぬうちに全てが終わり、始まっていた疎外感が胸を焦がす。言葉にできぬ胸中をただ涙に乗せ吐き出すことしかできない。錦えもんも顔を押さえ静かに嗚咽し、お菊は座り込み、カン十郎や雷ぞうは天井を仰ぎ見ていた。しばしの間感情を吐き出す。感情の整理は付かずともそれしかできなかった。


「落ち着かれましたか、兄上?」

泣いていた間静かに受け止めてくれていた日和が泣き疲れたせっしゃに問うてくる。20年、せっしゃの感覚では1日しか経っていない内に大人になってしまったその姿が母上と重なり、出し切ったはずの涙が再び溢れてくる。20年を過ごせなかったせっしゃ達と20年を過ごした日和達の違いが突きつけられる。ただ今は泣くことしかできなかった。

泣きはらし流石に涙も涸れたその時に、せっしゃ達にとって因縁のある相手、この城に来た目的の一人である憎きカイドウの大看板、百獣海賊団”戦災のワイルド”がやって来た。


「おい義兄殿は落ち着いたのか?」

海賊らしくさぞ粗暴で恐ろしげな男であろうと思っていたが、現れた男に気勢が削がれる。日和に話しかけながら広間に入ってきた黒翼を持つその男は確かに人相は凶悪、父上のものであった将軍の立場に座っているワイルドのこちらを見る眼光にせっしゃは目を伏せてしまう。だが日和を見るその眼差しは理性的、日和に話しかけるその声音は柔らかく、想像していた人物像とは違うものだった。極めつけはその両腕に抱えた二人の齢一つ程の幼子だった。幼子の片方は男と同じ色の翼を背負っている。幼子を慈しんでいることが確かに分かる優しげな手つきに、この者がせっしゃが思い描いていた海賊として凶暴で他人を傷つけるだけのような人物ではないことが分かってしまう。この者にとって日和が間違いなく家族であり、懐に入れている相手だということが。


「お前が光月モモの助か、俺が当代鈴後大名兼ワノ国将軍、霜月・R・ゾロだ。百獣海賊団のワイルドとも呼ばれてる。よろしく」

「あぁう」「だぁ!」

子供二人を抱えたまま、広間の高座に腰掛けたその男、ワイルドが簡潔な自己紹介をする。その自己紹介の中にも気になる点はあるが、腕の中の無邪気な子供の様子になんとも気が抜ける。河松から聞いた話から考えてこの子供らが日和と目の前の男の子だろう。錦えもん達もその子供らの方を気にしている。


「拙者はおでん様の家臣、狐火の錦えもん。続くは残雪の菊之丞、夕立のカン十郎、霧の雷ぞうにござる。」

「…せっしゃは光月おでんが長子、光月モモの助でござる」

ワイルドの自己紹介に対し錦えもんも自身と同僚の名乗りを上げる。せっしゃも名乗る。


「海賊だと伺っていたでござるがこうも礼儀を以て迎えられるとは思わなかったでござる」

「あんたらが海賊について思うところがあるのは理解している、」


「そうか、日和からあんたらが20年前のこの国から悪魔の実…あんたらの呼び方だと妖術か、それによってやってくることは聞いていた。あんたらの感覚だと今のこの国の現状を受け入れにくいだろうということもな」

「たしかに拙者達にとってあまりにも慮外の出来事が起きていて感情が追いついてござらんのは事実、いくつか問答をしても構わぬでござるか?」

「あぁ、構わん。誠意を持って答えよう。日和、鷹丸と風花を預かってくれ」

拙者に変わって口火を切った錦えもんに対し、子供らを日和に預け改めて向き直るワイルド、その視線にこちらを欺こうという様子はない。


「早速でござるがそなたはオロチの悪政を止めなさったと河松より聞いた。それは何故に?」

「あぁ…それは俺にとってあいつが邪魔だったからだ」

「邪魔…でござるか、そもオロチと手を組んだのはそなたら百獣海賊団のはずでござるが?」

「俺は8つまで外つ国にいた。俺がこの国に来たのもカイドウさんに会ったのも13年前のことだ、それ以前のことを俺は知らん。オロチのやり方が気に食わなかったし俺の方針と反する。だから排除した、それだけだ」

高座に座したワイルドが錦えもんの質問に答える。


「かの刀神、霜月牛マル様の血筋であるというのは真にござるか?」

河松が話していたワイルドがワノ国でも名を知らぬ者はない刀神の血筋であることについて錦えもんが問う。


「俺が8つまでいた村がワノ国を出た者達の村でな、そのワノ国を出た者の中に霜月フリコっつう人物がいた。それが俺の祖母だ。だから俺が霜月の血筋であるのは本当だ」

ワイルドは質問に対し淀むことなくはっきりと答えていく。


「日和様と婚儀を結ばれているというのは真にござるか?真ならばどのような経緯にござるか?」

錦えもんが日和のことについて切り込む。後ろに控えるお菊達も固唾を呑む。せっしゃも残った肉親がどういう訳で百獣の縁者となったのかずっと気にしていた。ワイルドがちらと子供をあやしている日和を見遣る。


「あぁ~…、日和話してもいいか?」

「えぇ、構いません」

「なら話すが、遊女をやっていた日和に「「「ちょっと待つでござる(待ってください)(待てい)(待てぇ)!!!」」」

光月家の姫が遊女にその身を落としていたという事実にせっしゃ達が驚愕する。


「まぁ高級遊女だったから客に手ぇ出されてはねぇよ」

「そういうことではないでござるが…」

「すまぬ!拙者が日和様とはぐれたばかりに辛い思いをさせてしまった!この河松一生の不覚!」

「いいのです、私が勝手に自分から離れてしまったのが原因ですし」

「うぅ…日和様…お労しや…」

「まぁその遊郭に部下達の慰労で行った際に出会ったのが始まりだ。その後情報を探るために俺に近づいてきた。オロチを潰した後に正体を明かしてきてな、そこから懇意にしてる内にそういう仲になった。」

懐かしい思い出を話す調子で日和との出会いのことを語るワイルド。穏やかなその言葉にちくと心がささくれる。父上を殺した者達の仲間が日和と家族になったという事実にあの日の父上と母上の無念を想い悔しくなる。


「そうでござるか…。次にその腰のもの…、おでん様の愛刀であった”閻魔”と見受けるが何故そなたが持っている?」

錦えもんの言葉にワイルドが下げる刀が父上の持っていた”閻魔”であることに気づく。父上の刀を目の前の男が持っていることに動揺する。


「っ!それは父上の刀でござる!」

「いや、俺のだ。日和と祝言を挙げたときに託された。」

せっしゃの追及に平然とワイルドは答える。せっしゃは唇を噛む。


「……。百獣海賊団はこの国でどうしているでござる?河松より聞いた話では略奪などはしていないと言うことでござるが…」

錦えもんはせっしゃを心配げに見遣り、次の質問をする。


「俺と日和が身内になった時点で百獣海賊団とワノ国の民の関係は大分改善された。共に婚礼を祝う宴ができるくらいには、な。俺の言いつけもある。光月の者だからといって百獣があんたらを狙うことは今のワノ国ではねぇからそこは安心してもらって構わねぇ」

「…あのカイドウ一派がこの国に馴染んでいるというでござるか、父上を殺したカイドウ達が…」

「兄上…」「モモの助様…」

「百獣海賊団が気に食わんのは理解できるが実際今のこの国をカイドウさんの名が守ってるのは事実だ、百獣の奴らにもこの国での狼藉は俺が禁じてる」

「っ!」

ワイルドの言葉に思わず恨み言を漏らしてしまう。日和と雷ぞうが心配げにせっしゃに何事かを言おうとする。だが一度溢れた恨み辛みがせっしゃの口を衝く。



「何故!今更になって貴様らがワノ国の味方になるでござる!何故父上を殺したときにそうしなかった⁈何故母上を殺させた⁈今更優しくするのなら何故!オロチと手を組み父上と母上を奪ったでござるかぁ!答えよ海賊っっ!!」

「…」「「「「…」」」」「う゛ぅ~」

「ちょっと兄上っ!」

「いや、構わねぇ。日和はぐずり始めた風花の方頼む」

思わずワイルドに食ってかかったせっしゃの言葉に当のワイルドは無言で以て応える。せっしゃはオロチ達の理不尽に晒されてから、この時代に来てからたまったものを吐く。この男はあの乗っ取りに関わっていないという、オロチを廃しこの国に善政を敷いてくれてもいるらしい。それでもこの男が憎き百獣海賊団の一員であるという事実でせっしゃの口は止まらない。せっしゃの大声に驚いたのか日和の腕の幼子がぐずる。錦えもん達は何も言えずせっしゃとワイルドの間で視線を往復させる。日和が見かねたのか何事か言おうとするが、当のワイルドがそれを制止する。


「…はぁ…」

一拍おいて短く息をつくワイルド。せっしゃの視線にまるで動揺せず口を開く。


「さっきも言ったが20年前の出来事は俺は知らん。もっと言うならお前は気に食わなくとも民はもう俺達を受け入れてる。この国の有様は20年前とは違う」

「っ!」

変わらぬ調子で”自分には関係ないこと”と言うワイルド。叫びたいことが多すぎて言葉にならず睨むことしかできないせっしゃ。


「お前の感情も理解はできるが俺がどうこうすることはない。冷静になれ。…日和、河松、義兄殿を頼んだ。俺は鷹丸達とキングのとこに行ってくる」

そう言ってワイルドは立ち上がり部屋を出て行こうとする。


「お待ちを!」

立ち上がったワイルドを呼び止めたのは錦えもんであった。


「最後にこれだけは聞いておきたいでござるが……、そなたの方針とやらについてお聞かせ願う、そなたはワノ国を害するつもりがあるでござるか?」

「っ!錦えもんそれは…」

今までの質問、20年の間の出来事についてのものとは違う、明確にワイルドの内面に踏み込んだ質問、それをこの空気の中放った錦えもんに対し、お菊が動揺している。雷ぞう達もどうなるかと緊張した面持ちでいる。嘘も誤魔化しも決して許さぬと鋭い視線を錦えもんはワイルドに向けている。


「……」

錦えもんの視線を向けられたワイルドは無言で相対する。言葉を選んでいるのかしばしそのままの時間が過ぎる。


「…今のワノ国は俺のものだ、百獣海賊団大看板”戦災”のな。この国をカイドウさんから任されてる以上俺はこの国を全力を以て守るし、この国への理不尽を許すつもりもない。世界政府にも百獣自体にも。だから俺の方針は基本的にはこの国のために行動することだ。あんたの求める回答かは分からんが、俺の正直な回答はこれだ。」

「………。確かに、そなたが現状この国に害をなすつもりはなさそうでござる。」

「俺の嫁の故郷でもある以上、そう無下には扱わねぇよ…」

「お引き留めして悪かったでござる。」

「とりあえずこの城に留まってくれて構わねぇが、居心地が悪けりゃ九里に光月の屋敷がある。そっちに移ってもいい。日和、夜には戻る」

「えぇ、いってらっしゃい、あなた。お義父様にもよろしく」

「あぁ」

今度こそ子供二人と共に部屋を出て行くワイルド。部屋にせっしゃ、日和、河松、錦えもん、カン十郎、お菊、雷ぞうが残される。


錦えもん達が大きく息を吐く。先ほどまで相対していたのが今は敵対するつもりがないらしいとはいえ、あのカイドウの最高幹部の一人であったことに今更ながらせっしゃ達の体の強張りを自覚する。せっしゃの情けなさがみじめだ。あの男を前にして矢面に立ったのは錦えもん、せっしゃはただ激昂し感情を吐き出しただけ。それすらもあの男は揺らがず正面から返してきた。本当に情けなし。

これがワイルドとせっしゃの初邂逅であった。


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(ここからゾロ視点)

日和から聞いていた時を超える悪魔の実の力によって、義兄達が20年前のワノ国からやって来た。20年前の出来事に関してはカイドウさんや日和から聞いているから今のワノ国を簡単には受け入れがたいだろうと思っていたら案の定、混乱していて20年前のことについて激昂してきた。ついていた侍達は比較的に冷静だったから良かったもののあの義兄だけだったらもっと話がこじれていただろう。ここからどうするかは分からんが、どうしようとも今のこの国であいつらが百獣を倒すことはできない。民達も俺達の存在を受け入れているし、今のワノ国にあいつらと同調して謀反を起こすような勢力は皆無だ。できるなら日和のためにもあいつらと和解しておきたいんだがな…。


という話を鬼ヶ島のキングの部屋にしに行ったんだが、俺の養父は初孫に夢中で聞いちゃいなかった。っつうかキング、あんたそんな高い声出たのかよ気持ち悪いな…。

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