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聞いた内容そのままじゃなくていい?インタビュー記事の執筆について〜京都ライター塾9期/第5回受講レポ

2023年7月8日に始まった京都ライター塾。全6回の講座のうち、早いもので今回は5回目です。今回、残念ながら私は体調不良のためリアルタイム参加できなかったのですが、講義の収録映像だけでも十分濃いと感じました。

京都ライター塾の受講を検討している人の中には、仕事や家庭の事情などで全ての講義に参加できるか不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、万一参加できない時も毎回講義の映像と資料はしっかり共有してもらえます。どうしても都合が合わない場合でも、1〜2回のお休みなら問題なくついていけるのではないでしょうか。

とはいえ、第5回は講義の出席者のみを対象に、講師の江角さんから前回の提出課題への丁寧なフィードバックがあります。もっと言うなら、講義時間のほとんどが口頭でのフィードバックタイム。お休みの方も含む全員にドキュメント上での添削はしてもらえたのですが、なぜ自分は今回休んでしまったのかと思うとやっぱり泣けるんです。

せっかくなら自分宛のフィードバックも聞きたかったという思いを胸に、添削いただいた原稿は目を皿のようにして何度も読み返しました。初めての取材と執筆ながら、今出せるものを出し切って書いた原稿。そこからさらに良くするためのプロの視点がとても気になります。プロのライターや編集者は、インタビュー原稿を執筆する際にどんなことに気をつけているのか。早速紹介していきます。

京都ライター塾とは、ライター歴17年の江角悠子さんが主催する全3ヶ月の商業ライター養成講座です。書くことを仕事にしたい人たちを対象としており、少人数制で記事の書き方から仕事の獲得方法まで、未経験からライターとしてやっていくために必要なことを網羅的に学べます。さらに、講座内では毎回自己分析のためのペアワークに大きなウェイトを置いており、「ライターになって幸せになる」ことをコンセプトに掲げています。詳しくは江角さんのブログをチェックしてみてください。

▼第4回のレポートはこちら。


他人の生原稿を添削してみる

商業ライティングでは、書き手の説明不足を読者が想像で補う負担を極力減らすべし。そのために、文章を書く時は誰が読んでもわかる答えをズバリ書くこと。過去の講義でも教わってきた鉄則です。

今までは教えを守りつつ自ら文章を書くことを実践してきましたが、今回の講義冒頭では趣向を変えて編集者目線で江角さんが用意してくださったサンプル原稿に添削してみるワークを行いました。ちなみに、編集者の添削が入る前の原稿は「生原稿」と呼ぶのだそうです。

私も講義映像を見ながら意気揚々とワークに挑戦。が、いざ他人の原稿を読むと「確かにわかりづらいな」という感想はあれど、何をどうすれば良くなるかがすぐには答えられません。江角さんや他の受講生の指摘を聞くと納得するのですが、自分では気付けなかった点も多くあり、まだまだだと感じました。

やはり上達するには、自分自身がたくさん書いて添削を受け、失敗しながら場数を踏むことも大切なのでしょう。抜けがちな情報や読者に伝わりづらい表現、ブラッシュアップのやり方などを少しずつ蓄積していきたいと思います。

また、同時に感じたのは、やはりコンテンツの命は書かれていることの中身だということです。サンプル原稿の中には、文章が少し荒削りだったとしても、書かれていることが面白く、魅力的だと感じるものもありました。逆に、どんなに端正に書かれていても、内容がつまらなければ読みたい気持ちになれないのではないでしょうか。

もちろん、商業ライターを目指す以上、なるべく修正が少ない原稿を書けるようになったほうがいいに決まっています。面白いネタを見つける視点や発想も、それを読者に伝わりやすい文章に落とし込む力もどちらも磨いていきたいと感じました。

なお、江角さんによると、一見すごい書き手の原稿でも、編集者の手が入る前の生原稿は、案外修正の余地がある場合も多いそうです。自分1人でいきなり完璧な原稿を書けなくても大丈夫だと教えていただき、少しほっとしました。

自分の添削済み原稿を読んだ感想

相手と向かい合って会話している時は、表情も見えるし話の微妙なニュアンスも伝わりやすいですよね。文章にすると、会話をしている時は気にならなかった言葉が途端にキツく見えてしまうことがあります。

私は今回、江角さんのフリーランス駆け出し時代のことも詳しく聞いて記事にしました。当時は締め切りがタイトで単価の安い案件も多く、大変だと感じることもあったそうです。その頃のお話をそのまま江角さんの発言として記事にしたところ、一部、悪口のように見えてしまう箇所がありました。

もし、完成した記事の中でインタビューを受けてくれた方が誰かの悪口を言ったり、批判したりしているように見える表現があり、そのまま世に出てしまったら。そして、万が一にも関係者の目に留まることがあったなら。(大いにありえるのではないでしょうか。)それは、インタビューを受けてくれた方の不利益になる可能性がありますよね。

添削ではそういった箇所にキッチリ指摘をいただいていました。記事を書いている時はそのような観点がまったく頭になかったのですが、確かにとても大切なことだと思えました。

他の受講生へのフィードバックを聞いた感想

文章にするとキツく見える、という点については、他の受講生も指摘を受けていたので、初心者がやりがちなミスのようです。なお、会話の言葉をそのまま文章にすると、印象がキツい箇所や伝わりづらい箇所というものはやはり出てきます。

その場合は、取材対象の方が実際に発言した言葉ではなくても、ライターが上手に言葉を補ってあげるのが大切なのだと教えていただきました。たとえば、言い切りの表現は意外と強い印象なので「〜かもしれない」と文末を少しぼかしてみる。

何かを成し遂げた、できるようになった、などの言葉は「〜できるように心がけています」といった、現在進行形で努力している表現に置き換え、謙虚な人柄が伝わるようにしてみる。(本当に謙虚な人なのかは会ってみないと分からないのがプロの手で書かれたインタビュー記事なのだとか・・・)

江角さんによると、世の中に出ているインタビュー記事はすべてが編集されているし、書き手のフィルター次第で取材対象を実際以上に良い人に見せることも可能なのだそうです。ちょっとした言葉尻次第で記事の印象が大きく変わることも、取材対象をより良く見せるための補完が当たり前のように行われているということも、私にとっては衝撃でした。

伝わりやすくするための工夫は奥深く、追求しがいがある世界。私のインタビュー記事も、今回の添削をもとにより良い内容にブラッシュアップしていきたいと思います!

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