ダイスでサスケエロ小説(仮)

ダイスでサスケエロ小説(仮)


この部屋の存在を知るのは屋敷の使用人の中でもごく限られた者だけだ。

幾重にもなる隠し扉の向こうに密かにこの部屋はある。気密性の高い木と鉄からなり、呪を施され、微かでも音が漏れることはない。中でどれほど酸鼻をきわめる事態が起こっていようとも外の人間がそれと知ることはありえない。無論、この屋敷の人間が部屋の中で誰に何が起ころうと主人の許しもなく押し入ってくるはずはないが。

部屋の内壁に凭れて休んでいた男はひときわ甲高い悲鳴に眉根を寄せて目を開けた。

同僚の男が二人がかりで幼い少年…うちはサスケを押さえつけて半ズボンを剥ぎ取ろうとしている。怯えと嫌悪に身をよじるサスケの白い肌に男が赤い舌を這わせ、もう一人が幼い性器を握りこんだ。サスケは顔を歪めて声もなく喘いだ。

「まだガキのクセにずいぶんと色っぽい顔するじゃないか」

男の嘲りの言葉に、サスケはきつく唇を噛み締めた。

「そのかわいい顔にぴったりのもっといい声を出させてやるよ」

そう言って男は節くれ立った指を柔らかな頬や耳朶に這わせ、首筋から胸へと辿らせた。ひやりとした感覚にサスケは身を竦ませる。その手から逃れようと身をよじり、足をばたつかせて暴れたが、無駄な抵抗だった。それどころかかえって服がはだけ、滑らかな肌理の細かい白い肌が男たちの目にさらされてしまう結果になった。

「おとなしくしねえと痛い目にあうぜ」

男の腕が少年を押さえつける。サスケは修行で身に着けた体術を用いて懸命に抗ったが、大人の力には到底かなわなかった。幼い仔猫のようにあっけなく押さえこまれて太腿の付け根を掴まれ、その感触にサスケは総毛立った。

「やめっ……」

弱々しい拒絶の声が上がる。それを聞いた男たちは舌なめずりをし、一層興奮を高ぶらせた。

「うあっ」

無骨な指が未開の蕾に容赦なく突き入れられる。サスケは喉をそらせて苦悶した。痛みと異物感と恐怖が幼い身体を支配する。まだ性徴を迎えていない性器がくったりと力をなくす。そんな様子をあざ笑いながら、男たちはさらに深くまで指を押し入れていった。

「うう……うぐっ……」

指先が体内で蠢くたび、サスケは苦しげにうめいた。男は幼い少年の身体を二つに折り曲げるようにして押さえつけている。その顔が羞恥に赤く染まった。

「やめっ……」

屈辱と恐怖に青ざめるサスケをあざ笑うかのように、別の男が薄い胸を撫で回し、小さな胸の突起を指でつまみ上げた。敏感で柔らかな肉芽を乱暴に刺激され、ぴりりとした痛みが疾る。

「うっ……うぁ……」

その鋭い感覚に思わず逃れようと懸命に小さな体を捩るが、男の手は執拗に追いかけてきて、くりくりと弄ぶように転がしたり軽く引っ張ったり……苦痛と嫌悪感にサスケの全身から力が抜けていく。男の一人がにやりと笑ってぐったりと弱ったサスケを膝の上に引き上げると、力いっぱいサスケの尻をぶった。

「っ……!」

乾いた音が響くたびに、幼い身体が弾かれたように跳ねる。衝撃に弱っている体が反射的に逃げを打つが、男はそれを許さずがっちりと押さえこんでいる。白い肌にはたちまち赤い手形がいくつもついた。

「んっ……はぁ……」

苦しげに吐き出される吐息に甘い響きが混じりはじめるのを男たちは聞き逃さなかった。執拗にいたぶられ続けた胸の突起は紅く腫れ上がり、幼い性器も半ば勃起しはじめている。男たちはほくそ笑むと、指先でいたぶり続けた胸の突起に舌を伸ばした。

「くぅ……っ」

ぬめる舌先が敏感な場所を掠めるたびにサスケの体がピクンと震える。赤く腫れ上がった乳首はひどく敏感で、唾液で濡れた感触は痛みを通り越し強烈な快感をもたらした。最初はただ気持ち悪いだけだったのに、いつしかそれだけではない感覚が生まれるようになっていた。サスケはギュッと奥歯を噛みしめて堪えようとするのだが、そのたびに小さく丸い尻を叩かれて痛みと羞恥に悶絶し、甘い苦悶の声を漏らしてしまう。

「へっへっ……こいつはなかなか」

男たちは意地悪く笑いあう。既にサスケの体は抗いがたい熱に支配されつつあった。汗で湿った肌からはむせかえるような色香が立ちのぼり、幼い身体がうずくのかもじもじと身をよじる様子はまさに妖艶だった。その姿に興奮した男の屹立は痛いまでに張り詰めている。男がそれに手を伸ばすのを見て、もう一人の男がいやらしく笑った。

「まだ調教は終わってねえんだぞ」

言い終わると同時に部屋の隅で大人しく丸まっていた子犬が吼え始めた。家族全員皆殺しにされる前からサスケに懐いていた犬だった。無体なふるまいをする男に向かって吠え、牙を剥いて威嚇する。

「躾がなってねえ犬だ」

男が呆れて見下ろした瞬間、犬はサッと飛びかかって男の腕に噛みついた。不意を打たれた男は痛みに顔をしかめる。

「クソッ……この駄犬がっ!」

逆上した男に思いきり蹴りつけられた子犬は悲痛な叫びをあげ、サスケは力を振り絞って立ち上がろうとした。

「やめろ!シロに手を出すなっ!」

次の瞬間、男は怒り狂った犬の尾を思い切り踏みつけた。犬はきゃん!と鳴いて跳び上がる。さらにしつこく踏もうとする男にサスケが必死の形相で飛びかかろうとした瞬間、再び平手が飛んだ。容赦のない力で二度も打ち据えられた頰は真っ赤に腫れあがり、切れた唇から血が滲む。

「駄犬でもかわいいってか?あ?」

男は冷ややかに笑った。それから怯えて身を竦める子犬…シロを振り向いてサスケと見比べた。「まあいいさ。駄犬とガキならではのお愉しみってのもあるからなぁ」

そう言って男はサスケの股間に甘い香りのする液体をとろとろと垂らし、そうして指で何かを招く仕草をした。子犬が嬉しそうにキャンと吠えて駆け寄る。シロは小さな口でサスケの幼い性器をペロペロ舐めた。

「や……やめっ……」

むず痒いような感触にサスケはたまらず足をばたつかせるが、男たちにしっかりと押さえつけられて逃げられない。そして巧みにサスケを仰向けにすると、腹の上に乗り上げて両足を大きく広げさせた。無邪気な子犬の前に股間大きくを割り開き、薄い会陰から尻孔まであらわにする。あまりに屈辱的な体勢にサスケは紅くなって顔を背けた。

「おい、ちゃんとよく見とけよ」

尻を叩かれた次の瞬間……生温かく柔らかいもので根元まで包み込まれる感覚にサスケは全身を震わせた。信じられない光景が目の前で繰り広げられている。幼い性器を根元から含んだ子犬が股の間で無邪気に尻尾を振っているのだ。「う……くぅ……」

強烈な刺激にサスケは背筋を仰け反らせた。子犬の鼻先が敏感な性器をこすり上げ、生温かく柔らかな舌が舐め回す。根元から先端まで余すところなくぬるぬると這い回られて、鋭い快感が走った。経験したことのない感覚だった。初めての快感にサスケは戸惑いつつも本能的に腰を突き上げていた。子犬を股間に強く押し付けるようにして動かしてしまう自分に気がつくや、羞恥のあまり頰を染める。男たちはそんな少年の媚態を面白そうに見下ろしていた。

「へっ……こんなガキのどこがいいんだかな」

そう言って男はシロを鼻先でつつく。サスケはハッとして身を起こしかけたが、男に押さえ込まれて果たせなかった。シロは相変わらず無邪気に舌を動かし続けている。小さな口に含んだ性器がピクリと震えた瞬間、子犬は嬉しげにキャンと鳴いた。

「んんぅ……」

くぐもった悲鳴を上げるサスケに男たちは嘲りの言葉を投げた。

「我慢なんかしないでイっちまえよ。その子犬にしゃぶられてイケるなら本望だろ」

男たちは低く笑った。嘲りと嗜虐の混じった笑みだった。サスケは絶望的な気分で四肢を痙攣させた。男の指先が固く張り詰めた乳首を弾いた瞬間、痺れるような感覚が胸から下半身へと広がる。

「あっ……ああッ……」

幼い性器が限界を訴えるように激しく震える。そしてついにサスケの視界は白く弾けた……


話は数日前に遡る。

アカデミーの授業もない休日。サスケはいつものように一人きりで森の中で手裏剣術の修行に励んでいた。うちは一族きっての天才と謳われた兄から学んでいた彼にとって授業はあまりに低レベルにすぎた。まだ幼いとはいえ兄との力量さは身に染みて理解している。このままでは到底「殺したい男」に追いつくことはできないだろう。全ての手裏剣を的に命中させたサスケは回収に向かう前に苛々と爪を噛んだ。歯並びが悪くなるからやめなさいとサスケを窘めてくれた母は1年前に世を去っていた。

不意に目頭が熱くなったサスケは強く目を瞑り――「誰だ!」

振り向きざまに放った手裏剣を交わして木陰から奇妙な服装の男が出てきた。獣の仮面を手にしている。

「誰だ、お前は!」

サスケは毛を逆立てた猫のように警戒心を露わに唸った。この場所は兄との秘密の修行場だ。両親にさえ教えなかった兄弟二人きりの時間を過ごしていた場所なのだ。

「あんまり警戒しないでくれよ……えーと。サスケくん、だよね?」

男は困ったように頭を掻いた。男の体格はイタチよりもやや大きいくらいだった。妙になよなよとして頼りない感じがする男だとサスケは思った。それなのにサスケに一切気配を感じ取らせなかった。

「お前は何者なんだ? なんでオレの…」

「オレは君のお兄さんの仲間……いや、元・仲間なんだ」

「⁉ 兄さ……イタチの⁉」

サスケは思わず拳を強く握りしめていた。爪が食い込んで鋭い痛みを覚えたが、それどころではない。イタチの元仲間。一族を皆殺しにして去ったアイツの手がかり。サスケは頭の芯が熱くなるのを感じた。

「イタチはどこにいるんだ? 知っているなら答えろ! オレはあの男を必ず殺さなくちゃならないんだ」

憎悪を込めた視線で睨みつけるサスケに、男は一瞬驚いたようだったが、すぐに困ったように微笑んでみせた。そしてゆっくりと近づいてくるとサスケの正面に膝をつく。それからなだめるように言い聞かせた。

「そうか……だからこうして一人で傷だらけになって頑張ってお稽古してたんだね」

「お稽古じゃない!」サスケは喉が塞がるのを感じて喘ぐように呟いた。「…修行だ」

男は笑みを深めて弁解するように言った。

「そうだともそうだとも。でもこのレベルじゃ修業とは言えないな。イタチの弟ならわかるだろう? 彼を倒したいならもっと凄い修行をしなくちゃいけないことぐらい」

サスケが蒼褪めるとすかさず男が続ける。

「サスケくんが望むならオレが本格的な修行をつけてやってもいい。イタチはオレたちにとっても憎むべき裏切り者だからね」


「本当か⁉」

サスケは思わず身を乗り出していた。男が深く頷くのを見てサスケは……しかし顎を引いて疑り深そうに見上げた。

「それならどれほどのことができるのかだけでも見せろよ」

男は軽く笑うと近くの的から手裏剣を引き抜き、あっという間もなく残る全ての的から手裏剣を弾き落としていた。茫然としているサスケに背中を向けると男は「では3日後の同じとき同じ場所で……誰にも言っちゃいけないよ」とだけ残して立ち去った。サスケは今度こそ顔を紅潮させ、再会のときに向けて期待に小さな胸を膨らませたのだった。……去り行く男の奇妙に淫猥な笑みにも気づくことなく。


約束の刻限になったときサスケの足元にはシロが纏わりついていた。腹を空かせていたらしいシロに握り飯を分け与えていたサスケの前に現れたのは例のあの男……と他二人。

「この子がサスケくんかぁ……写真で見るのと雰囲気が違うねぇ。実物の方が可愛いなぁ」

「約束を守って一人できたんだな。偉いえらい」

二人とも見るからに屈強そうな逞しい体格の大人の忍だ。サスケに向かってニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。

(な……なんだこいつら!?)

身の危険を感じたサスケが反射的に手裏剣を構えたのを見て男たちは笑いながら続けた。

「大丈夫だって。おかしなことはしねえから……お前の兄貴の方が余程変なことしてたんだぜ?」

「知らないだろうけどイタチはサスケくんの写真を毎日一人で眺めては嬉しそうにニヤニヤしてキスしてたんだよ。キモチワルイだろ? 実の弟にさぁ……ね? ほらオレたちとサスケくんは兄弟じゃないからイタチよりはマシってわけだよ」

サスケは胸の底が灼かれる感覚を味わった。誰よりなにより憎んでやまない唯一無二の兄弟――他人の口から罵られることがこれほど不快にさせるとは。笑い合う3人組に対してサスケは毅然と睨みつけた。

「だまれ! ウソをつくな!」

「……ハア? 黙れ?」

男はカッとしたように一歩前に出ると幼いサスケの頬をしたたかに殴りつけた。手加減なしに殴られた衝撃で地面に叩きつけられ、さらに腹を蹴り上げられる。砂利を噛んだ苦味を感じつつサスケは憎悪を込めて男を見上げた。「痛いか? ハハ……もっと痛いことを知らなきゃイタチには死んでも勝てねえぜ?」

そう言うと男はサスケの胸ぐらを掴んで引き起こす。凄まじい勢いで腹を蹴り上げられ、幼いサスケの身体は軽々と宙を舞った。柔らかい草の上に背中から落下する衝撃に一瞬意識が遠のく。呼吸が止まったところに腹を思いきり踏みつけられる痛みでサスケは一瞬だけ現実に引き戻された。シロが吼え猛っている。思わずシロの方へ這って行こうとしたサスケだが、男は膝で容赦なく鳩尾を圧迫してくる。

(だめだ……これじゃだめだ……なんでこんなことになったんだ……シロ…)

男たちの嗤い声。シロの鳴き声。サスケはとうとう意識を失った。


意識を取り戻したサスケの視界に映ったのは黒々とした天井。闇に塗りつぶされた牢獄のような部屋。そして鼻をつく腥い臭い。見下ろすとサスケの腹に飛び散った白いものをシロが舐めとっている。ハアハアと喘ぎながら一心不乱にサスケの柔らかな腹を温かな唾液塗れにしていたシロはサスケを見て嬉しそうにアン!と鳴いた。

「よおよお。お目覚めかい。わんちゃん」

「……ぐっ……うっ。誰が」

「うちはのエリート、サスケちゃんのことだよぉ」

気が付くとサスケは首に犬用の首輪を嵌められていた。ご丁寧に「うちはサスケ」と書かれた名札付きだ。サスケはあまりの屈辱に何も言えなかった。男が首輪のリードを引っ張るので、身体中が痛くて立ち上がることもできないサスケは薄汚れた床を引きずられていく。

サスケは恐怖に喉を鳴らした。「……い…痛い…」

「痛いのイヤならいい子にしてろ。まずはおすわりの練習だな」と男はサスケの髪を掴んで強く引っ張り上げる。頭がもぎ取られてしまいそうな痛みにサスケは悲鳴を上げて嫌々と首を振るが、男の手が緩むことはない。「ほらほら、おすわり。できねぇなら立ってちんちんしてもらうぜ、サスケちゃん」

「ふっ……ふざけ……」

男はサスケの手首を掴むと強引に立ち上がらせた。その勢いで足が縺れて転びそうになったところを後ろから強く突き飛ばされ、サスケはその場にへたりこんでしまう。男の手には乗馬用の鞭。これから何をされるか察したサスケの顔が恐怖に歪んだ。

(なんでオレ、こんな目に)

心の声は悲鳴にならず喉元で凍り付いたまま出てこない。目頭が熱くなるのを感じながらサスケは指示通りちんちんのポーズを取った。男たちの笑い声ががらんどうの部屋に谺する。見下されている。屈伏している。こんなやつらに!

「よし、ちゃんといい子にしてられるじゃねぇか……ご褒美はこれでどうだ?」

男が手にした陰茎を見せびらかすように扱いてみせる。たちまちそそり立った極太い陰茎を前にサスケは顔を引きつらせて首を振ったが、男は機嫌良さそうに笑い声を上げるとサスケの顎を掴み強引に顔を上げさせた。そのまま硬いものをサスケの柔らかな紅唇に押し当てる。

「舐めろ」と囁かれてサスケは泣きながら男のペニスを口に含んだ。頭を掴まれて前後に揺さぶられると喉奥を突かれる苦しさに咳き込んでしまうが、男はそれでも許さず何度も何度もサスケの喉を犯した。苦しいと呻く声が次第に甘く濡れそぼっていくのがわかる。唾液と先走りにまみれた陰茎がずるりと引き抜かれ、また深く突き入れられるたびに細い喉から嗚咽が漏れた。男たちの下卑た嗤い声がその呻き声をかき消していく。

「ははっ、可愛いかわいいわんちゃん。サスケちゃんはいい子……ん? おい見ろよ。もう勃っちまってるぜ」と男はサスケの股間を靴底で踏みつけた。うあっと情けない声を上げながらびくんと震えた幼い性器からぴゅっと透明の蜜が噴き出すのを見て男たちは下品な笑い声を上げた。ぐにぐにと乱暴に踏まれる痛みと屈辱感にサスケは真っ赤になりながらも、やがて爪先をピンと伸ばして腰を震わせた。

「うわっ、こいつ踏まれてイっちまってやがるぜ」と男は足を退けるとサスケの顎を掴んで顔を覗き込んだ。快感で蕩けきった表情を覗き込みながら目を細めると指先でそっと口元を拭ってやる。唾液と精液が入り混じったものを拭われてもぼんやりとしたままの幼い顔に目を細めた。

(調教が成功した証拠だな)と満足げな笑みを浮かべて男たちを振り返った男は首輪に繋がるリードを引き寄せる。されるがままに座り込んだサスケの頭を優しく撫でてやると耳元で囁いた。

「お前の犬っころがお前を見てるぜ?」

サスケがぼんやりしたままシロの方を見やれば、息を荒げて涎を垂らしながらサスケの痴態を眺めている。どうやら発情しているらしい……シロの股間は大きく腫れ上がっていて赤黒く光っていた。

(なんだ、あれ)

そう不思議がる一方で何故か魅入られたように目が離せない。首輪を引っ張られ、後ろから足の間に押し当てられた犬の陰茎の感触にも感じてしまい、子犬のような声を鼻から漏らしながらサスケはあっけなく絶頂に達した。

「わんちゃん、またイっちまったのかよ」

男の手が首筋を撫で上げてくるのにも敏感に反応し、子犬のように鼻を鳴らす。背後から性器の先端を押し付けられているというのに、貪欲にひくつく後ろ孔が自ら腰を浮かせて犬の陰茎を受け入れようとしてしまうのを止められない。

「あーあ、ちんぽ欲しくて腰振っちまってんぜ? いやらしくおねだりできたら挿入れてやるけど……どうするよ?」

男は楽しげにサスケの耳をくすぐる。

「い、いらない…やめ…」

抗おうと掠れた声で鳴くサスケの貝殻のような耳たぶをしゃぶり、舌を伸ばしながら淫猥に囁いた。

「イタチを倒すための修行つけてやるって約束だったろ? 頑張って腰振らなきゃダメだろサスケちゃん」

男たちがどっと爆笑した。男たちはもはや完全に目の前の子供を見下し、玩具のように扱っているのだ――その事実を実感する度に心臓がぎゅうっと引き絞られるように痛んでサスケは息苦しさを覚えるのだった。……いやだ!と幼い声で叫ぼうとしても、喉から出かかった声はすべて犬のような吐息に変わってしまう。男たちに嗤われながらサスケは陰茎を自らの中に招き入れていく……。

「あっ……ああっ……」

(こんなの嫌だ……!)

淫らすぎる自分の姿を自覚しながらも止められない。飼い犬の唾液と自身の吐き出した精で濡れて光る性器からはすっかり力が抜けて、男に腰を掴まれても抵抗できなかった。男の指が秘肉をかき分ける感触に背筋を快感が駆け上がり、子犬の鳴き声を上げてしまう自分が浅ましいと頭のどこかでは思っているのに、腰を押し付けることを止められない。「サスケちゃん……お前の飼い主が見てるぜ」と囁かれながら恥ずかしい場所をかき回される喜びを知ってしまった身体はもう歯止めがきかない。

「だ……だめっ……」

頭が真っ白になるような快楽から逃げることもできず、尻だけを上げて子犬のようにハッハッと浅い息を繰り返すばかりだ。後ろから激しく突き上げられると細い身体を仰け反らせて自ら犬のように腰を振ってしまう。そんな浅ましい姿を眺めながら男たちがまた笑った。

「わんちゃん、素直に気持ちよくなっちゃったか? もうオレたちに飼われちまってもいいんじゃね?」

男たちが合図するとシロが股間を舐めてくる。はあはあと荒く息を吐きながら嬉しそうに舌を伸ばしてくるその姿を見て、サスケはカッと頬を染めた。屈辱的な仕打ちを受けながらも後ろがどうしようもなく疼く。犬の舌は甘美な感触で秘肉の奥を舐り上げてきた。たまらず自ら腰を振ってしまうほどに甘い陶酔感に襲われて目が眩む。

「どうだ、サスケちゃん……オレらの飼い犬になる覚悟はできたかよ?」

くちゅりと音を立てて犬の舌が引き抜かれたが、ねっとりと開発され拓かれたサスケの入り口は物足りなさそうにヒクヒクと痙攣している。声が抑えられない程の強い快感に襲われたが、それがなくなった途端もっと刺激が欲しくなる自分が情けない。こんなこと言いたくないのにと思いながらも身体が疼いて我慢できなかった。

「わ……わん……」


あれから何度犯され意識を失ったのかすら、サスケにはもうわからなくなっていた。シロが注ぎ込んだ精液ですっかり腹がぼってりと膨らんでいる。男たちは休む間も与えずに入れ替わり立ち替わりサスケの肉体を貪り続けた。既に立ち上がる力も失って床に横たわることしかできない幼い身体を、男たちが飽きもせず陵辱し続ける。脚を無理やり開かされ、乱暴に突き挿れられて揺さぶられるたびにつま先が空を蹴った。後ろの穴には男の陰茎が激しく抜き差しされており、前ではシロが嬉しそうに舌を這わせている。髪を掴まれて上体を持ち上げられると、剥き出しの股間に顔を埋めているシロの姿が嫌でも目に入った。

朦朧とした意識の中でサスケが思い返していたのは初めてシロと出会ったときのことだった。冷たい時雨にうたれて弱っていた子犬。傍にいたイタチに頼んで一緒に家に連れ帰ろうとしたこと。戯れて遊んだ日々。分け与えたおにぎり。一族全員を喪ったあとで変わらず寄り添ってくれた唯一の存在。温かい舌で涙に濡れた頬を舐めてくれたこと……

今シロが自分の身体のどこを舐めて何をしているのかを改めて脳が理解したとき、サスケはこれまでにない悲鳴をあげて身を捩った。しかし両手両脚を拘束されたままでは逃げ出すことは叶わない。

「いやだいやだいやだ、こんなのやだ、オレやだよ、なんでこんな」

サスケは泣き叫ぶが暴れる度にいっそう深く陰茎が突き刺さり、激しく身悶えるしかなかった。

秘肉がうねり男のものを強く締め付ける。男は息を荒げながら夢中で腰を振り続け、やがて熱い飛沫を奥へと撒き散らした。びくびくと痙攣しながら射精を続ける性器から放たれる精液で胎内を満たしていく感覚にサスケは力なく身震いすることしかできない。ようやく全て出し終えると男がゆっくり引き抜いていくが、その動きにも感じてしまい喉を反らせて小さく喘ぐしかない。ぽっかりと開いたままのそこからは注ぎ込まれた大量の白濁が溢れ出てきていて、その淫らさに男はゴクリと喉を鳴らした。

「すげぇな……まだ締まりっぱなしだ」

穴を指で広げられる感覚も快感になるらしいサスケは身を捩って逃れようとするが、首輪から繋がるリードを引っ張られれば抵抗することも叶わない。そのまま後ろから抱え起こされると膝裏に手を差し込まれて大きく脚を開かされる。露わになった秘所から音を立てて精液がどろどろと大量に流れ出していく様はあまりに卑猥で、男たちの興奮はさらに高まった。サスケの腹部はすっかり重たく膨らんでまるで妊婦のようである。「わんちゃん、飼い主に孕まされちゃったね。オレの赤ちゃん産んでくれるの?」

男は背後から覆い被さるようにして耳たぶを食みながら囁きかけてきた。屈辱的な言葉にサスケはカッと赤面したが、耳元では男の荒い呼吸音が聞こえていて、その股間では再び雄々しくそそり立ったものが見え隠れしている。恐怖のあまりサスケは泣きながら肘を振って男の体を引き剥がそうと試みたが、抵抗を咎めるようにまた強く尻を打たれて悲鳴をあげるしかなかった。

「いい加減可愛くおねだりしろよ」

男はそう言って笑うと再び幼い秘所に指を突き立てた。潤滑油代わりに精液を絡めた指でぬぷぬぷと入り口付近を抜き差しされると堪らない快感に襲われる。これに呑まれてはまずいと本能的に這って逃げようとするサスケの身体を無理やり引き寄せて、男はさらに深く指を埋めていった。

「逃げたらだめだろわんちゃん。ここを出たらもう誰もこんなキモチイイことしてくれないぜ?」

二本の指で入り口を左右に大きく割り開かれた状態でゆっくりと出し入れされるたびに、まるで排泄感にも似た感覚にゾクゾクと背筋が震えた。

「あぁっ……やっ……」

吐き出された精が涎のように糸を引きながら、ぽたりと床に滴り落ちていく様子をつぶさに観察されていることに気がついてしまい、羞恥のあまり死にたくなった。「おい、恥ずかしい汁が垂れてんぞ」

そう言われて慌てて脚を閉じようとしたが、周りを取り囲む男たちに押さえ込まれて果たせなかった。

それどころか、反抗的な態度を咎められて両方の乳首にクリップを嵌められ、しっかりと引き伸ばされた状態で固定されてしまった。

「ぁ、んっ……い……いたい……」

痛みに呻くサスケを無視して男たちは何やら話し合っている。やがて一人の男が「じゃあ俺はこのちんぽ穴もらうかな」と言いながら自分を指さして笑った。

(冗談じゃねえ……)

そんな所を使うなんて絶対に嫌だと思うのに、両脚を大きく抱え上げられればろくに身動きも取れない。おまけに既に十分すぎるほどに解された秘所は物欲しげにヒクついている有様だ。サスケは絶望に震えることしかできない。

「じゃ、オレはちんぽ舐め犬させてもらおうかな」男はそう言ってサスケの両脚の間に顔を寄せると躊躇なく幼い性器を口に含んだ。生暖かい感触に包まれて、思わず身を捩るがガッチリと固定されているため逃れることができない。男は執拗に舌を這わせてきたかと思うと先端を強く吸われて腰骨から脳天まで電流のような快感が走った。先走りが溢れ出したのを揶揄するように舌の先でつつかれて、恥ずかしさのあまり涙が出そうになった。

そうこうしている間に後ろの穴には男のものが宛てがわれている。亀頭部分をぬるぬるとこすりつけられてサスケは恐怖に喘いだ。もうやめてほしいという懇願も空しく、そのまま一気に貫かれてしまう。痛みと圧迫感で一瞬呼吸が止まりかけたものの、散々苛まれたせいか後孔はすっかり緩んでいて、難なく長大なものを飲み込んでしまった。挿入されただけで軽く達してしまいそうで怖かったが、必死で耐えた。男はゆるゆると腰を動かし始めたがその動きは焦れったいほど緩慢だ。時折弱いところを掠めるせいで意識せずとも腰が揺れてしまい、恥ずかしくて死にたくなる。

散々焦らされてからようやく動き出した男のものはサスケの前立腺を容赦なく抉りながらピストン運動を繰り返した。徐々に速さを増す律動に身体の奥底から湧き上がってくる感覚があった。

(だめ……このままじゃイっちゃう)

そう分かっているのにどうしようもないところまで追い詰められている自分が情けないと思う気持ちとは裏腹に、サスケは絶頂を迎えようとしていた。

「ぁ、あっ……く……」男はイきそうになっているサスケに気がつくと腰の動きを止めて焦らすように浅いところを出入りし始めた。

(なんでっ……?)あと少しなのに決定的な刺激が与えられずにひどくもどかしい気分になる。思わず自ら腰を動かそうとするが男に押さえつけられているせいでそれも叶わない。焦れったさに涙を浮かべるサスケの耳元に男の唇が寄せられて低い声で囁かれた。

「おねだりしてみろよ」

「だっ、誰がそんなっ……」

反射的に拒絶の言葉を口にしたものの、サスケの頭の片隅では自分が今どうすべきかわかっていた。屈してはならないという理性と快楽を求める本能がせめぎ合い、後者が僅かに勝った瞬間だった。「も……もっと動いて……くださぃ」消え入りそうな声で呟いた言葉は男たちにははっきりと聞こえたことだろう。男たちは満足そうに笑って再び腰を動かし始めた。今度は先ほどよりも激しく荒々しい動きだ。肉を打つ音が響き渡るほどに強く打ち付けられ、深いところまで抉られてサスケが一際高い声で鳴いたとき、開くはずのなかった扉がガラリとひらいた。

一瞬助けが来たのかと涙でぐちゃぐちゃに汚した顔をあげたサスケの前に現れたのは見知らぬ黒髪の老人だった。片目に包帯を巻いてどことなく陰鬱で不愉快な顔をしている。「ーー様、こいつが例のガキです」

サスケの上に覆い被さって激しく腰を振り続けていた男がそう報告すると、老人はフンと鼻を鳴らした。

上手く聞き取れなかったサスケが怪訝に思った次の瞬間、男は動きを止めて代わりに老人が無造作に腰を掴み上げてくる。そうして乱暴に叩きつけられる衝撃にサスケは悲鳴を上げる間もなく達していた。同時に胎内に広がる熱を受け止めつつサスケ自身も再び精を放つ。ビクビクと痙攣する幼い身体を男たちが揶揄しながら愛撫する。

「いつから飼い主のお許しもなく発情しとるんだこの穢らわしい犬は」

「まぁいいじゃないですか、貴方自らが仕込む手間が省けたってものです」男は言いながらサスケの中から陰茎を引き抜いた。支えを失ったサスケが床に崩れ落ち、栓を失ったそこからは大量の精液が溢れ出して床の上に水溜りを作る。

「つまらん犬だ」

老人は呟くと、ポケットから注射器を取り出す。そうしてぐったりとしているサスケの首筋に針を突き刺した。薬物を打たれるとたちまち身体の感度が上昇して、サスケは身を激しく捩って傷ついた幼獣のように泣き叫んだ。

「そうそう、この前のアレはまだあるか?使い方も見ておきたいから持ってきてくれ」

老人に頼まれた使い走りの男が二人どこかへ走っていく足音がサスケの耳には聞こえていなかった。

やがて戻ってきた男たちが持っていたのは巨大な性具だった。小さな男根の形状をしており、全体にびっしりと細かな凹凸がついているため触れるだけで強烈な刺激をもたらす代物だ。「使い方を教えてやってくれ」老人の言葉に頷いて、男たちのうちの片方がサスケの身体を抱え上げた。足を大きく開脚させると後孔に巨大な機械の先端を押し当てて一気に押し込む。大きさに比べて慎ましやかな穴にそれを受け入れることはできず、みちっと嫌な音がしたが「い、痛いっ!抜いてよ!!」と悲鳴を上げるサスケを無視して機械を奥へと押し込む。慣らしていない幼い蕾は無理矢理こじ開けられ、みちみちと引き伸ばされた皮膚が裂けて血を滴らせていた。鋭い痛みが走ると同時に腹の中のものを食い締めてしまい、更に激しい痛みを感じることになった。もはや自分が何をされているのかも分からぬほどに混乱して泣き叫ぶサスケの姿を楽しむかのように男たちは機械を操作していく。やがて最奥まで到達すると今度はゆっくりと引き抜いていき、完全に抜け切るギリギリで止める。そのまま再び中に押し込まれると激しい振動が幼い胎内に響き渡り、その刺激に耐え切れずサスケは絶叫した。

「お゛ッ!?ひぎィいいっ!?」悲鳴とともに背中を大きく仰け反らせてビクビクと痙攣している様子を見て男たちは面白そうに笑い声を上げる。薬の効果も相まって感じすぎる程に敏感になった肉体に容赦なく与えられる過ぎた快楽はもはや苦痛に近いものでしかなかった。狂ったように身悶える姿を眺めながら黒髪の老人は下らないと言わんばかりに息を吐いた。

「この程度の攻めにも耐えられんとは全くのクズだ」

そう吐き捨てると、機械を操作している男に「もういい」とだけ告げた。「この犬畜生にはこの駄犬が似合いだ」老人がシロの腹を蹴ってサスケの方へ飛ばした。「犬は好きだろう?もっと可愛がってやれ」

「おい、舐めてやれよ。わんちゃん?」

「早くしねえとまたアレ打って放置すんぞ」そう言われればもう選択肢はないも同然だった。サスケはのろのろと身体を起こしてシロのペニスに顔を寄せると、恐怖に震えながらも小さな舌を伸ばしてチロチロと舐め始めた。途端に下半身に感じる生暖かい感触にシロはぶるりと身震いをしたが、それでもおとなしくされるがままになっている。「ちゃんとしてやらねえと可哀想だろう。同じ犬の仲間なんだから。仲間を大事にしないヤツはクズだぜ」そう言うと男がサスケの頭を掴んで無理やり股間に押し付けた。喉奥まで侵入してきたそれにえずきそうになりながらも必死で舌を動かす。苦しくて仕方がなかったが、これを耐えないとまた酷い目に遭わされるだろうと思うと耐えられた。しばらくすると口の中に広がる苦味のある液体を飲み込まずにいられただけでも上出来だったといえるほどに長い時間が経過していた。ようやく解放されたときには、既に意識は朦朧としていて口の端から溢れ出した唾液や涙の跡がくっきりと残るほどだった。

「無様な姿だ」

老人の蔑みの言葉はサスケの耳に届いていたが、反論する気力は残っていなかった。そのままぐったりと横たわるだけのサスケにシロが再び覆い被さろうとした。

そのとき。

サスケが目にしたのは信じられない光景だった。

サスケを庇うように立つ一人の男。見間違えようもない、兄イタチの姿だ。

「なんでここにっ……」

あまりに惨めで無様な姿を憎むべき兄の前に晒している屈辱と絶望。それを一瞬でも本能的な安堵感が上回ったことがサスケは何より許せなかった。ぎり、と奥歯を嚙みしめながらサスケは自らの身体を掻き抱く。そうして男たちから少しでも自分を隠そうとするかのように蹲った。

「こいつ!」「なんでイタチがダンゾウ様の屋敷に!」男たちの一人が叫ぶと部屋の中にいた他の男たちが一斉に武器を手にしてイタチを取り囲むようにして集まってくる。全員かなりの手練れのようで明らかに武術の心得がある構えだった。だがそんな彼らを前にしてもイタチの表情は変わらない。それどころか落ち着き払ってさえいる。「弟を離せ」

イタチの声は万年氷よりなお冷たい。それでも男たちは動じることなくイタチを取り囲み、じりじりと距離を詰めていく。

「それは出来ねえ相談だなぁ。こいつにはまだまだ躾が必要なんでね」そう言って男が手にした鞭を振り上げる。鋭い音と共に振り下ろされたそれを腕で受け止めると、イタチは男の手首をぐいっと掴んだ。そしてそのまま男を背負い投げる。他の男たちも武器を手に襲いかかってくるが、一人としてイタチに触れることすらかなわない。反撃を受けない程度にかわしながらあっという間に全員を戦闘不能に追い込むと、イタチはサスケのもとに歩み寄った。

「兄さっ…イタチ……なんでここが…オレに何を」

サスケの問いかけに答えずイタチは黙々とサスケの脱力しきった身体を抱き上げた。その手つきは一見事務作業めいて淡々としていたがサスケにだけは感じ取れる昔と変わらない優しさがあった。

「……」イタチは無言で弟を抱え上げた。そうして足早にその場から立ち去ろうとする背中を男の一人が呼び止める。「おい待てよ!そいつはこれから俺たちがたっぷり可愛がってやるところだったんだぜ!」

その言葉を聞き捨てならなかったサスケが思わず振り向くと、イタチが男に一瞥を投げかけ、途端に男が苦しみ出したかと思うとそのまま床に倒れて激しく痙攣し始めた。混乱しているサスケには構わずイタチはその場を後にした。

屋敷の門を出て森の中に入って随分と時間が経った頃、イタチは足を止めてサスケを下ろし、水筒を手渡した。喉がひりついていたサスケは耐えきれずその水筒の薬湯を飲んだ。ひんやりとした液体が喉を伝い流れ苦味が染み渡るにつれ痛みが和らいでいく。水筒が空になった頃、サスケの方から口を開いた。「なんで……何で助けたんだよ!」

イタチは無言のまま怒りと屈辱で震えるサスケを見つめた。

「……っざけんな!お前がオレを助ける!?父さんを…母さんを…一族を殺したくせに!」

「……すまなかった」

低く静かな声で紡がれた言葉だったが、それは紛れもなく謝罪の言葉だった。サスケは目を見開いて兄の顔を凝視した。だがその表情からは何の感情も読み取ることはできない。

「すまない……言い訳をするつもりはない。オレは一族を滅ぼすことがより良い未来に繋がると信じていた。お前を守ることになると。まさかここの連中がお前をあんな悍ましい目に遭わせるとは思わなかったのだ」

サスケはぽかんと口を開けた。何を話しているのかさっぱりわからない。

「な、何言って」

「今ここで全てを話すことはできない。後で時間と場所を整えて全ての真実をお前に話そう。だから」

この場を早くに立ち去ろう。イタチは再びサスケを背負おうとした。二人きりで仲良く過ごしたあのときのように。サスケはそれを拒絶したかった。

もうこれ以上兄を信じて苦しみたくない、とサスケの心は叫んでいた。それでも、やはり。

「……全部話すと約束してくれる?」

「ああ。今度こそ約束を果たそう」

イタチが一年ぶりの微笑みを見せた。

「もう『また今度』とは言わない」




サスケが森の草地で目を覚ましたとき空は男と待ち合わせたときと変わらず釉薬をかけたように青かった。木々の隙間から白い鳥が南から北へと飛んでいく。ぼんやりと鳥を数えていたサスケはハッと我に返った。

思わず声をあげ、半ズボンの中に咄嗟に手を入れたが、意外なことに傷ひとつない。

どきどきと胸が脈打つ。

オレはどうして地面に倒れていたのだろう。

シロがいないのはなぜ。

どうして胸が騒ぐのだろう。

約束の男はどうしたんだ?

なぜズボンの中に怪我がないか探してしまったのだろう。

なぜ?なぜ……

サスケは日が沈むまで草地に座り込んでいた。


サスケは切り替えの早い子どもだ。奇妙な出来事のことには固執せず個人修行に打ち込むようになった。体を動かしている間はおかしなことを何も考えなくて良い。そのうち急に姿を見せなくなったシロのこと以外全て忘れてしまった。やがてシロのことも考えないようになっていった。

ただ、街中を歩くとき「シロちゃん」「わんちゃん」と呼び声が聞こえたときに身体が反応するだけだ。体を硬直させて声のした方に意識を向けてしまうだけだ。「わんちゃん」「わんちゃん」と誰かが彼を呼んでいるかのように。


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