アビドス・RaD協定
【時系列】
・アビドス廃校対策委員会編第2章及びカイザー同時襲撃作戦終了から数日後
【本編】
アビドスでのひと騒動が終了し、少しの間の平穏が漂い始めたアビドス校舎。そこになんやかんやあってプランナー係として配属された大人の男がいた。
名前をスゥインバーン。キヴォトスのある星からやってきた星外企業アーキバスの精鋭部隊「ヴェスパー」の第7隊長であり、会計責任者でもある。
「平和だ…いや、数日前までやかましすぎたのか・・・?」
そんなことを呟いていると急に電話がかかってきた。驚いて椅子からずり落ちそうになるも踏ん張った彼は受話器を手に取り、極めて冷静に応対する。
「はい、こちらアビドス廃校対策委員会プランナー・スゥインバーンです。本日はどのようなご用件でしょうか?」
『初めましてだね。私の名前はカーラ。RaDの頭目といえばわかりやすいかい?』
相手はどうやらルビコンでドーザー兼技術屋を営んでいたRaDのボス、シンダー・カーラのようだ。
「あぁ、あの…うわさはかねがね聞いております」
『あんたのことも割と有名だよ。…それはそれとして、本題に入ろう。こちらで開発・販売しているAC「WRECKERシリーズ」と一部の武装を提供したい』
「・・・何の目的だ?」
『アビドスの娘さんたちには恩を売っておくのも悪くないと思ったのさ。あとは砂の除去にはうちの商品は適任だよ。元々WRECKERは土木作業を目的とした重機運用型ACなのさ。・・・最後にあのアイスワームもどきへの対抗手段だ』
「確かに…砂に関しては毎日全員で大汗垂らしながらやっている。ACがあればその作業効率も格段に上がるだろう。あのビナーという奴への対抗手段としても、一考の余地がある」
『あれビナーっていうのかい?覚えたよ。あ、経費に関しては心配ないよ。どこからかぎつけたかは知らないが、ビジターが負担してくれるそうだ』
「・・・あぁ、あの猟犬か。ずいぶんとお人好しなようだな、そういう教育でも受けたのか?」
『さぁね。ただ、あいにくウチはジェネレーターとFCSは開発していない。それでだ。あんたたちで決めてもらいたい。ビジターもそちらに向かって相談に乗るそうだ』
「・・・少し話し合いをさせてくれ」
『あぁ、かまわないよ。よく話し合うことさね』
そこでお互い会話を切り上げた。彼は椅子から立ち上がるとアビドス生徒のいるところへと向かう。今の時間帯だったら自主勉強している頃だろう。教室にいるはずだ。