ホワイトデー

ホワイトデー


完全に数日遅れですが、以前バレンタインネタで書いた名残でホワイトデーネタ書いてみました。

いつも通りCP要素あるので閲覧注意です。






カチャカチャカチャカチャ

食事も済んでしばらく経った頃に珍しくキッチンが慌ただしい。

そのキッチンに立つのはコックのサンジ…ではなく船長のルフィだった。

サンジも先程までレクチャーしていたものの、指示を出したうえで現在は席を外している。

いつもの麦わら帽子に白いコック帽をのせた珍妙な姿の船長は(珍しく)真面目な様子で作業に没頭していた。

そんな彼の姿を見て心配してるのが1体。魔王と呼ばれる存在のムジカである。

拠り所?のウタに所用があるからここにいて。と置いて行かれたムジカは、

いつぞやと同じ格好で料理をする彼を見て、当時のひどい光景を思い出していた。

指示から外れたことを始めようものなら介入するかと悩んでいたが、その心配はなさそうだった。

急に「菓子作りを教えてください」と頼んでは「いきなり言うんじゃねェ!!」と叱られていた彼であったが、

マカロンの作り方の指導を受けてからは素直に取り組んでいる。

丁度、オーブン用の天板に生地を広げたうえで何やらつまようじで刺す過程まで終えたところでサンジが帰ってきた。

彼は、状況を確認したうえで「……問題はなさそうだな」とつぶやくとオーブンを予熱し始め、

次に後で生地に挟むものの用意を指示し始めた。

数十分後、そんなこんなで出来上がったそれは以前見かけたものと遜色なさそうな出来であった。

すると、ルフィは一つ摘まむとムジカの方へ差し出してきた。

「ムー」フルフルと首を振るムジカ。

「しっけいなヤツだなー」手にしていたものを口に放り込むルフィ。

「ふつうにうまいぞ」そう言いつつ何か思いついたようで、

結構な数用意したうちのいくつかに追加で何かを載せて完成させると、小さな箱に詰めた。


「よし!!じゃあ、いくか」

どこかへ向かおうとするルフィはムジカに肩に乗れとジェスチャーしてきた。

仕方なく乗っかると、向かった先はウタのところだった。

「どうしたの?」と尋ねるウタに「やる」と差し出される先程の小さな箱。

怪しむような顔をしつつウタが箱を開けると、そこにはムジカの顔を模したマカロンが入っていた。

「びっくりした…。え、食べて大丈夫?」「イヤなら食べなくていいぞ」

「食べるけど…」と恐る恐る口に運ぶが、すぐにその表情は晴れた。

「これ美味しいよ」とつぶやくウタに「よし」と返すルフィ。

「ムジカも食べる?」とウタが一つ摘まむと差し出す。

「ムー」パッとウタが持っていたマカロンが消えた。

「いや食うのかよ」

「まぁまぁ。期待してなかったけど。用意してくれてありがとうね」

「おう」

「ひとつ聞くんだけど…マカロンの意味知ってる?」

「知らねェ。イミなんてあんのか?」

「そうだよねー」

「知ってんなら教えろよ」

そんな感じでいつものやり取りを始める2人に心底呆れながら、

自分はこんな顔なのかと思いつつもう一ついただくと、フッと姿を隠した。

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