やる気になるための3つのシンプルなワザ

スターウォーズのヨーダは、まさに男の中の男だ(まあ、エイリアンというべきかもしれないが)。そして賢い。ヨーダのセリフで私が気に入っているのは「"Try not...do.(『やってみる』ではない。『やる』のだ)」だ。
これはまさに、私の人生にぴったりの言葉だ。私は「やってみる」ことはせず、ただ「やる」ことを実践してきた。
もちろんたくさん失敗したが、次の行動に非常に速く移り、諦めるということは選択肢になかった(今でもない)。つねに優雅だったり完璧だったりしたわけではなく、たいていはぶざまに尻もちをついたが、歯を食いしばって努力し続けてきた。
私は高校を中退したが、MBA(経営学修士)とPhD(博士号)を持っている(金さえ出せば誰にでも学位を授ける大学でもらったのではない、本物の学位だ)。不思議に思われるかもしれない。そのうえ、6年かからずに学士、修士、経営学修士、博士の課程を終えた。
どうやってそんなことができたのかと人に尋ねられると、一番の難関は始めることだったと私は答える。実際、たいへんではなかったのだ。自分が何を求めているかを知っていたからだ。私にはただ、行動を始めることが必要だった。
これまでの過程で私は、たくさんのアイデアの助けを借りてきた。そしてそうしたアイデアを、モチベーションや幸福を追求する専門家たちがうまくまとめてくれている。私たちはこうしたルールのいずれか、あるいはすべてを実践することによって、たちまち自分の人生を変えることができるだろう。

「5秒ルール」

5秒ルールとは「床に食べ物を落としても5秒以内ならセーフ」というルールのことではない。やる気のないあなたの脳を、どうやって前向きな方向に向けるかについてのルールだ。
『The 5 Second Rule(5秒ルール)』の作者であり、モチベーションを上げる方法についての講演を行っているメル・ロビンスは、知識と行動には隔たりがあると述べる。
何かのアイデアが浮かんだが、それが自分にとっての安全地帯の外にあって怖いと感じたり、あるいは不確かに思うとき、脳は自分を守ろうとして何かと理由をつけて行動を変えないようにする。アイデアが行動に移る「やる気」は、5秒くらいの短い間隔しか存在しないというのだ。
つまり、時間をかけすぎると以前と変わらない道を歩き続けることになる。素早く行動すれば、何かが起きるのだ。
ロビンスは、何か不安を感じることに出会ったときは5秒カウントダウンし、1までに行動せよと言う。カウントダウンすることで、自分の脳の「習慣のループ」を克服するのだ。そうすれば、脳の通常の「ルーチン(習慣的行動)」を止められるため、異なる行動を取ることができる。
実際、5秒ルールを使うことは、新しい「習慣のループ」になるだろう。つまり、いつもと違う何かをするための自信と勇気を与えてくれる、スタートの儀式になるのだ。
この習慣があれば、仕事を引き受ける決心をする、同僚から仕掛けられた争いを避ける、あるいは昇給を求めるなど、あなたの人生を変えるかもしれない決断をすることができる。
この5秒ルールは、世界80カ国で何十万人もの人々を救ってきた。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩む退役軍人は、これを使って自殺を踏みとどまった。これを使って仕事を得た人もいる。

「20秒ルール」

行動を起こすための力になる、もう1つのルールが20秒ルールだ。
幸福についての専門家であり、『幸福優位7つの法則 : 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(邦訳:徳間書店)の著者でもあるショーン・エイカーがつくったこのルールの目的は、元の悪い習慣に戻ることを防ぎながら、自分のためになることを行うことだ。
誰もみな、自分が何をすべきか知ってはいるが、それを行動に移さない。エイカーはこれを「コモンセンス(常識、良識)とコモン・アクション(一般的な行動)は違う」とまとめている。
誰もがみな、テレビばかり見るべきではないし、もっと運動すべきだとわかっている。しかし、そうわかっていても、仕事から疲れて帰ってきたとき、行動につなげるのは難しい。リモコンのボタンを押すだけでテレビが見られるのだから。
エイカーは、人生を変えるためには「身につけたいと思う習慣をするために必要なエネルギーの量」を減らし(ステップを減らす)、「辞めたいと思う習慣をするために必要なエネルギーの量」を増やす(ステップを増やす)ことを提案している。
エイカーの場合はこうだった。
ギターの練習をしやすくしようと思った彼は、ギターをケースに入れて玄関のクローゼットにしまっておく代わりに、スタンドに立て、リビングの自分のソファの近くに置くことにした。テレビを見る習慣をやめるためには、リモコンの電池を抜き、取りに行くのに20秒かそれ以上かかる場所にしまった。
その結果、夜に家に帰ってテレビのリモコンを使おうとしたときには、電池を取りに行くのが面倒くさいと思うようになった。ギターは手の届く場所にあるので、ギターの練習をするようになったという。

「30秒ルール」

最後の「30秒ルール」は「30-30-30」という大きなルールの一部だ。残りの2つの「30」は、日数と年数を表している。この考え方も、やる気を起こして人生を少しずつ変えていくためのものだ。
30秒ルールの基本前提は、初めに設定する目標を小さくて手が届くものにすることだ。目標があまりに大きく見えたり、絶対無理だと思えたりすると、スタートできないこともあるからだ。
トッド・ブライソンがつくった「30-30-30」のルールは、新しい考えや新しいアイデアを試してみるためのものだ。自分が大好きなことにより多く時間を割き、そうでないものにかける時間を減らすというやり方だ。
ブライソンはこう提案している。
第1日目は、自分が本当に好きなことや試してみたいことを30秒やり、やりたくないことの時間を30秒減らすのだ。そしてそれを毎日30秒ずつ追加していく。長くやればやるほど、それがやる価値のあることなのか(あるいは時間を減らす価値のあることなのか)がわかるだろう。
もっとやる気が出てきたら、やりたいと思うことを30日間連続でやってみよう。そして「自分はこれを30年やり続けたいだろうか」と自問する。そうすれば、何を継続して、何を変えるべきかの判断をするのに役立つだろう。
人生を変えるには、まずスタートすることだ。そして、スタートするにはわずか数秒しかかからない。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Ken Sterling/Executive vice president, BigSpeak、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:dmax-foto/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.