真人戦

真人戦

ss書く上で不便に思った部分は色々足しました



「虎杖チャン、後は俺二任セテ」 「…御影?でも、順平が」 「アノ呪霊ハ俺ガ相手スル、今ノウチ二七海チャント合流シテ」


虎杖の足元の影が形を失い、より一層暗くなる。やがてその影は変形し姿を映し出した 到底人間には見えないその姿が真人と変わり果てた順平の前に晒される


「あは、俺以外の呪霊の気配がしてたのは感じてたけど…何?人間の味方とかキショい事して何がしたいんだよ」 「サァ?…ソレヲオ前二イッタ所デ理解デキナイト思ウケド」


特級呪霊、御影。彼が影からその姿を現す 思わず身構えてしまうようなその姿は正に呪霊。人間の闇への恐怖から生まれたに相応しい姿をした彼は呪霊の中でも特に異質な存在であった。人に懐き、人の為にその力、その術式を使用する。その力はかの有名な呪いの王「両面宿儺」、その指の十七本分程に登る。尚、本人はその力を自覚していない。

さて、圧倒的強者が自信より下の相手をする時、何をするだろうか 手加減?ハンデ?自身が不利になる様な縛り?

御影ならこの場合、虎杖や校舎への被害を考え自身の呪力を抑え目にしたり、場所を移動して真人と交戦するなどの選択肢を取っただろう


しかし、先程供述したように御影は自分自身の力を自覚していない そんな彼が力を制御せず、目の前の殺るべき相手に全てをぶつけたとしたら?


虎杖の視界に硝子の破片が映る。虹色を反射したそれは地面に落ちた瞬間に光を失い、呆然と立ち尽くす虎杖の足元に散らばった。突如頬に吹いた風に反射的に窓を方に顔を向けると、そこにあったはずの窓、性格に言うならば壁が無くなっていた


「はっやいなぁ"!なに?そんなにイラついてんの?目の前で人間が殺されて!?」 「ムカツイテル?…ソウカモナ」 「っ!!」


帳によって暗くなった世界に真人の髪色は良く目立った 御影によって宙に放り出された真人は持ち前の戦闘センスによって自身に起こった現象を理解していた。それと同時に、自身が感じている感情も理解していた



一瞬の思考、一瞬の判断、一瞬の動き どれか一つでも間違えれば、死ぬ



呪いとしてこの世に生まれ落ちて初めて感じる緊張。そしてどうしようにも抑えきれない興奮。圧倒的強者が自分に殺意を抱いて、マジになって殺しに来ているその事実に真人はどうしようも無く興奮していた


(こうなったら改造人間の出し惜しみは無しだ!此奴を殺して虎杖悠仁も殺す!)


口角が上がるのを堪えきれないと言った様子で真人が笑い出す 忍ばせておいた改造人間に手を伸ばし、変形させながら御影に投げつけた


「…っ?は?」


真人の視界に映るのは、自身から流れ出ている紫色の血液。重力に逆らう事無く、ぽたぽたと地面に吸われていったそれを、真人は呆然と見ている事しか出来なかった。

棒立ちのままであった筈の御影を見れば、確かに、相手が動いた気配は感じられない しかし、それであれば腕が切り落とされているこの現象の説明がつかない


その時、確かに「影の動く」音が真人の鼓膜を揺らした その時瞬時に理解した、自身の腕が切り落とされた原理。


「成程ね。影の形を刃物に変形させて、その影を物体化させたのか……!」 「ヨク分ワカッタネ。呪霊ノ癖二」


御影の「闇常操術」を応用させた「黒曜刃」 影を刃がついた蔦の様に伸ばし、その影を物体化させる事によって相手を薙ぎ倒す。 影、或いは闇ある所からなら何処からでも蔦の様に伸びるそれは戦闘に不慣れな御影でも扱いが効く技であった


「次は絶対に当たってやんない。まさか、これ以外の手札が無いって事ないよね?」 「ソレヲオ前二教エル義理ハ無イ。…ケド、ソロソロ終ワリ二スルカ」


真人は来た、と思った。改造人間のストックは今の会話の最中に確認した。…御影を殺して、その後に虎杖悠仁を殺すのには十分なストックだ。俺なら絶対に行けると


しかし、真人は御影の強さを誤認していた 確かに真人は御影の事を「圧倒的強者」と認識したしその認識は間違っていない。ただその「圧倒的強者」が宿儺や五条悟といった者達のレベルではな無く、漏瑚よりちょっと強いかも、のレベルの認識であったに過ぎない



《どれか一つでも間違えれば、死ぬ》



「領域展開、無極黒源牢」

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