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ドラマで学ぶ 人をエンパワーする質問

この記事は教育のためのTOC アドベントカレンダー2023の5日目の記事です。
わーお、1年間ブログを書いていなかったことになりますね。汗

今回は、今年の夏に、教育のためのTOC 国際認定プログラムでお話した内容です。
(次回の認定プログラムで同じ話をするのは古いと言われたので、今年のうちに)


「らんまん」の万太郎と佑一郎さんのシーン

NHK朝の連続テレビ小説、2023年上半期の「らんまん」。
朝ドラは最近観るようになったのですがこれは面白くて珍しく夢中になって観ました。

高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリーで、主人公の槙野万太郎を神木隆之介さんが演じています。

左が佑一郎で、右が万太郎です

若き万太郎は植物学者を目指していましたが、小学校中退と学歴がなく夢への足掛かりがないことに悩んでいました。

そのことを、留学前の幼なじみ・佑一郎に話します。
「わしは学校を出とらん。だから世の中に、自分が見つけた植物を新種として発表できないんじゃ」(意訳)。

そんな万太郎に佑一郎さんが問いかけます。
(なぜかさん付けしちゃう笑)

「本当に、自分じゃ何も発表できんがか?」

そこではっとする万太郎。
万太郎の努力と才能を信じる佑一郎さんの一言が、彼を突き動かしたのでした。

ドラマのセリフをブランチにしてみる

このシーンを見たときに、教育のためのTOCで学ぶ「ロジック・ブランチ」と「CLR」の良い事例だなと感じました。

ロジック・ブランチは、物事や考えの因果関係を、箱と矢印を使って図示する思考プロセスの手法です。

矢印の根元が原因、先が結果の関係。
学校を出ていない、「なので」新種を発表できない
(と万太郎は思っている)

佑一郎さんが投げかけた言葉は CLRの質問そのもの

これに対して「この因果関係は合ってるの?」と佑一郎さんが問うたわけです。

それってつながっているの?
その事象(が原因)で、その結果になるのだろうか?

このようにある話題に対する疑問(=懸念)の種類・体系がCLRです。
今の場合は、2つの事象の因果関係が正しいか、果たして原因と結果でつながっているのかを訊いています。これはCLRの「因果の懸念」について訊いたと言えると思います。

ロジック・ブランチのどこのことを訊いているのか?

質問にもさまざまな使いみちがある

ただこの場合の質問は、万太郎から正確な答えを引き出すのが目的ではありません。実際にドラマを観ているとわかるのですが、励ましの声かけでした。

きっと何かできるはずだよ。
きっと道はあるよ。

そんな思いで言ったのでしょう。

「相手を追い詰める」のでなく「相手の話に関心を持って訊く」ことに質問を使う

CLRの知識と作法を身につけることでそんなふうに問いかけることができます。

そしてそれによって、相手が思い込みに気づけたり、勇気づけられたりすることもあります。

このシーンを見て、まさにそういう質問の使い方で、素敵だなと思いました。

番外編

今年の夏の国際認定プログラムの場では、この話を紹介したもののうまく伝えられなかったのですが、原因は2つあったと思います。どちらも講師としては反省しきりです。(これもロジック・ブランチで書けそうです)

  • 受講者さんのほとんどが「らんまん」を観ていなかった、つまりこのロジック・ブランチの背景を知らない

  • CLRの講義の流れに、この主旨があっていなかった(CLRのシンプルな説明の最中に自分の思いも入ったこの話をしてしまった)

ちなみに次回の国際認定プログラムは、石川県金沢市で開催されます。
こんな感じで図示しながら考えるワークショップをすすめます。
ご興味のある方はぜひ一緒に学びましょう。


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