第一容疑者(字幕版）

あるアパートで、若い女性の惨殺死体が発見される。捜査線上には強姦未遂の前歴者ジョージ・マーロウが浮かび上がるが、彼は容疑を否認。事件を担当したシェフォード警部は彼の逮捕を急ごうとするが、証拠が不充分と上司が難色を示すうち、心不全で倒れ、そのまま死んでしまう。そんなとき、有能でありながらも現場の捜査を担当させてもらえず、不満を抱えていた女性警部テニスンは、部長に直談判し、この事件の担当となるが…。

有力な目撃者が見つかったと色めきたったのも束の間、目撃者による面通しは失敗。依然として証拠はつかめない。地道な捜査を続けるうちに、テニスンは死んだシェフォードの関与をも疑い始める。カーナン課長は捜査の難航と、シェフォードをも疑うテニスンに腹を立てて、彼女の更迭をはかる。しかし部下の刑事たちは彼女の手腕に敬服しており、全員がテニスン支持を打ち出す。結束を固めたテニスンたちが再び事件を検証し直すと…。

黒人居住者の多いハニフォード・ロードにある一軒の裏庭で、下水工事中、敷石の下から白骨死体が発見される。研修指導中のテニスン警部が急きょ現場に呼び戻され、捜査の指揮をとることになる。住民と警察、それに絡む政治的な思惑が交錯する中、捜査は困難を極める。さらに、部長が警察に対して警戒心をむき出しにする黒人の住民たちを懐柔させようと、若い優秀な黒人刑事ボブ・オズワルドを呼び寄せるが…。

病室でハービイが殺害を認める供述を始めたころ、オズワルドの取調べから解放されたトニーは発作的に首吊り自殺する。マスコミは騒ぎ、トニーの検死審問が行われることになる。警察の上層部は、テニスンのミスで片付けようとし、部下の刑事たちはハービイの自白で一件落着としようとする気配。四面楚歌の中、テニスンはあきらめず、関係者の証言を詳細に検討し、ついに思いもかけなかった事件の真相をつかむ。

テニスン警部はソーホー署の風紀課に転任する。その初日、テニスンは売春撲滅作戦に取り組むよう指示される。1年前から継続されているその作戦は、全く成果が上がらず暗礁に乗り上げていた。新しい部下の刑事たちの話では、その原因はどうやら署の動きが漏れていることにあるらしい。テニスンが着任した日に前夜には、ソーホーの中心部での火災により売春でかせぐホームレスの少年、コニーが焼死するという事件が起きていた。

ある記者のテープから、コニーが売春グループの暴露記事を新聞に売ろうとしていたことが分かる。顧客の中には警察幹部や国会議員もいるといい、コニーは口封じのため殺されたと考えられる。そして警察上層部の捜査への妨害が強まる。そんな折、オトリー刑事が有力な情報を入手する。それは、社会事業家のパーカー=ジョーンズが少年二人から性的虐待で訴えられ、その後少年たちが訴えを取り下げたため釈放されたという記録だった。

テニスンが中絶手術を受けた直後に担当したのは、幼女誘拐事件の捜査。生後14ヶ月のヴィッキーは、20代のキャリアウーマン、スーザンが一人で育てていた。身代金の要求はなく、テニスンは犯人の動機は子ども欲しさ、もしくはいたずら目的と見て捜査を開始する。

中年で独身のデニスが、住宅街の一角で首を吊り死んでいた。彼は地域の名士が集まるカントリー・クラブの支配人だったが、最近横領が発覚しクビになっていた。だが総支配人はその事実に触れようとしない。更にデニスは自宅を抵当に18万ポンドの金を借り、それをパナマの会社に振り込んでいたが、弁護士のマリアは守秘義務をたてに警察の調べに応じない。検死の結果、セックスゲームに見せかけたデニスの死は他殺と断定されるが…。

線路の土手で、ゴミ袋に入れられた女性の死体が発見される。遺体を見たテニスンとハスコンズは驚く。以前、彼女が解決した事件で、6人もの命を奪い逮捕されたマーロウの手口とそっくりだったからだ。模倣殺人か、それともマーロウは無罪なのか…。捜査を指揮することになったテニスンはハスコンズとカムデン署に行くが、ミッチェル警部以下の反応は冷たい。現場検証や聞き込みからも手がかりは得られず、また犠牲者が出てしまう。

テニスン警視は北部の大都市マンチェスターに赴任。上司のバリンジャー警視正は、彼の手腕で凶悪事件の発生件数が激減していることを誇らしげに語る。その矢先、団地の一室で殺人事件が発生。テニスンは久しぶりの仕事に勇んで現場へ。部屋の前に死体、犯人は中に立てこもっているため、警官隊は現場を囲んだまま、膠着状態に陥っていた。そこへストリートと名乗る30代の男が現れ、部屋に入りケガをした若い男を抱えて出てくる。

容疑者キャンベルの射殺死体が市内の公衆トイレで発見された。テニスンのショックは大きくバリンジャーが捜査指揮を代わろうと言い出すが、テニスンは逆に闘志を燃やす。ストリートとマイケルを連行し事情聴取をすると、ストリートはキャンベルを殺したのはマイケルだと言い、マイケルは徹底して沈黙を守る。一方殺害現場となった、使われていないかつての社交場のプールの排水口から、鑑識によって新たに二人の人骨が発見される。

殺人課のテニスン警視は勤続30年を迎え、警視庁からは引退もほのめかされている。そんなある日、工事中の高級アパートで若い女性の変死体が見つかる。別の場所で拷問され、首を絞められて殺害、その後運び込まれたようだった。事件には若手エリート警部サイモン・フィンチがあたるが、テニスンもフィンチのマスコミひいきを理由に担当になる。地道な捜査を続けるうち、10年前にボスニアで起きた残虐な殺戮事件との関連が浮上する。

ボスニアのムスリム人、サミラの遺体が発見され、ロンドン警視庁刑事部警視のテニスンが捜査を担当する。彼女に対抗心を持つ若手エリートのフィンチ警部やテニスンに差別されていると思い込む上昇志向の強い黒人巡査グリーヴスとの軋轢が解消できないまま、テニスンは捜査を進める。そんな中、10年前にボスニアで起きた残虐な殺りく事件との関連が浮上。テニスンはボスニアへ行き真相を探ろうとするが上層部から待ったがかかる。

幾多の事件を解決してきたジェーン・テニスン警視にも引退の時期が近付いていた。最後の仕事は、妊娠していた14歳の少女の殺人事件。子供たちの世界に分け入る捜査は、やがて少女の父親や交際相手の不良青年に疑惑を見出す。事件と同時に自らの老いやアルコール依存症、死期の迫る父親とも向き合わねばならない中、テニスンはかつて反発し合った元部下オトリーとの再会を果たす。しかし思わぬ展開が、再び彼らを引き裂くことに…。

被害者の友人だった利発な少女ペニーを愛おしく思うようになるテニスン。2人の間には年齢を超えた友情が生まれるかに見えたが、やがてペニーの父親が、少女を妊娠させ殺害した容疑者として捜査線上に浮かんでしまう。大人たちにとって「希望のかけら」である子供たち。しかし、その命を奪ったのもまた大人たちの歪んだ欲望なのか。孤独とアルコール依存症に立ち向かいながらテニスンが挑む最後の事件は、衝撃的な結末を迎える。