アーチャーオルタ
「ここ、は……」
鄭が目を覚ますとそこは屋敷の一室だった。突然杯を落としたアーチャーがこちらへ襲い掛かってきたところまでは覚えていたが、それからの記憶が無かった。
「気がついたようだな」
声がした方へ顔を向けるとそこにはアーチャーが立っていた。見慣れた服装とは真逆の黒と青の服を着ている。
鄭が身体を動かそうとすると四肢を鎖で縛られていることに気づく。
「アーチャー!これは、一体……」
「縛らせてもらったよ。お前と直接戦うのは面倒なのでな」
大きさこそ違うが神奈川湊で逸れのバーサーカーを拘束したものと同じだと悟った鄭は歯噛みする。いくら武人といえど自力で解くのは不可能だった。
アーチャーが鄭へと近づいてくる。
「ッ……目を覚ませ、アーチャー!こんなこと、お前らしくも……んむっ」
最後まで言い切る前に不意に唇を奪われる。薄くて小さな舌が鄭の口内を隅々までなぞったあとに厚い舌を弄ぶ。くちゅくちゅと卑猥な水音を立てながら舌を一方的に絡め取られていると唾液が口端から溢れた。満足したのか唇が離れると互いの舌を唾液の糸が結んでいた。
「ぷはっ……ぁ……しっかり、しろ!」
鄭の呼び掛けも虚しくアーチャーが下穿きに手を潜らせて勃起した性器を掴む。
「ふふ、口では拒絶しているが身体は存外素直なものだな……♡」
細いが確かな硬さのある指がするすると陰茎を撫でる。
「くぁ……」
初めて自分のモノを扱かれて情けない声を漏らしてしまう。偶に強めの力で握られて腰を浮かせたくなるが、四肢を拘束されているのでそれは叶わなかった。
「アーチャー……ッ、そろそろ、まずい……」
指で愛撫され続けてさしもの鄭も限界が近づいていた。余裕を無くしている主の姿を見てアーチャーが口の端を吊り上げる。
「そのまま出してしまえば良いではないか♡」
そう言ってアーチャーが先端に爪を軽く立てると勢い良く精が吐き出される。
「あ"……」
手で受け止めきれなかった分の精液が下穿きを汚していく。アーチャーが手を引き抜くと白濁した液体でどろどろに汚れていた。手からはみ出した液体が地面に滴り落ちる。
手に顔を近づけて舌で掬うようにそれをちろりと舐める。
「はは、濃い、な……♡」
普段の冷静で凛とした佇まいから考えられない今の蠱惑的な姿に鄭は困惑する一方で興奮を覚えていた。
「まだ、萎えてはいないようだな♡♡」
その様子を察したアーチャーが鄭の服を慣れた手つきで脱がせにかかる。
「待て、アーチャー……っ、もう、良いだろう!」
「いや、私はまだ満足していないぞ♡」
鄭が自分の身体を見渡すとほぼ裸の状態になっていた。アーチャーもいつの間にか薄い肌着だけの姿になっている。
下穿きを下ろして鄭に跨ると鈴口を後孔へと当てがう。
「では……いただいてしまおうか♡♡」
腰を落として自分の胎内へゆっくりと鄭の逸物を収めていく。やがてアーチャーの動きが止まるが、全ては入りきらなかった。
「く……ぅ、ああっ」
「ぁ……これ、は♡♡とても、悦い……な♡♡♡」
苦悶の声を漏らす鄭とは裏腹に悦びの声を上げるアーチャー。
「ふふ……挿れただけでこれとは、動いたらどうなってしまうのだろうな♡」
腰を緩やかに上下に動かし始める。
「あ、んッ……♡♡あ、ぁあ♡♡」
自分の弱いところに亀頭を擦り付ける度に艶やかな声を響かせる。自ら快楽を貪る様は普段の禁欲的な姿からは程遠いものだった。
「あぁ……好い、好い♡めい、げんッ♡♡」
喘ぎながら鄭へと顔を近づけると再び唇を重ねる。角度を変えながら軽く口付けを交わすとアーチャーの微笑みが一層深くなった。
「お前にも、手伝ってほしいな♡」
そう言って鄭の足に巻かれていた鎖を解く。アーチャーの言葉の意図を理解した鄭がおずおずと腰を突き上げる。
「こう、か?」
「あ♡もっと強く♡♡」
「全く、どうなっても知らんぞ」
今までで一番強い力で奥まで突き上げるとどちゅん、と鈍い音がなった。
「あ"……♡うあ"ぁ"……お"ッ♡♡」
腕の鎖も解かれていたので細い腰を掴んで抽送を早める。
「あ"ぅ"♡……ぁ"あ"♡♡それ"っ……佳ぃ"、な♡♡」
アーチャーが鄭の大きな手に自分の手を重ねてくるので指を絡めてやると手の中にすっぽりと収まってしまった。
狭い胎内に強く締め付けられ続けて鄭が絶頂を迎えそうになっていた。
「アーチャー……また、イキそうなんだが」
「構わず出してくれ♡♡お前の子種が欲しい♡♡♡」
アーチャーの望み通りに胎内に精をぶちまける。
「あ"……あ"ぅ"あ"あ"♡♡……い"ッ♡♡」
細い肢体をがくがくと震わせた後に鄭へと倒れる。身体は繋がったままだった。
「叶うなら、お前とずっと、こうしていたいな♡♡♡」
倒れ込んできたアーチャーの頭を鄭が優しく撫でる。
「お前を厭うものも、傷つけるものも此処には居ない。だから、ずっと居てくれて良いんだ♡」
「そうか、お前は俺を思って……」
己の欲に忠実なアーチャーも悪くないと鄭は思い始めていた。