おそ松くん はちゃめちゃ劇場

Last-modified: 2024-01-31 (水) 08:23:22
ジャンルアクション
Oso.jpg
対応機種メガドライブ
メディア2MbitROMカートリッジ
発売・開発元セガ・エンタープライゼス
発売日1988年12月24日
定価5,500円(税別)
遊んだ者からすま,Haku
判定クソゲー
ポイント赤塚ゲー屈指の電波作品
原作者激怒説が出るほどの原作レイプ
ステージはわずか3面、水増し目的の無限ループ
文字通り「お粗末くん」「おそ松クソ

概要

赤塚不二夫氏の人気漫画『おそ松くん』を原作とした横スクロールアクションゲーム。

シナリオ

正月を迎えた六つ子だったが、突然イヤミとチビ太によってカラ松からトド松までの5人が誘拐されてしまった。

長男のおそ松はパチンコを片手にイヤミ&チビ太を追いかけるが、そこに二人の解き放った怪物たちが現れ、おそ松に襲い掛かる

システム

  • ゲーム性そのものはオーソドックスな横スクロールアクション。以下は本作独自の特徴。
  • プレイヤーはおそ松。
    • よくある基本的なアクションゲームのキャラクターに見えるが、各種挙動はややフワついており、若干クセがある。
    • 攻撃はデフォルトでパチンコを持っているが,スタート時の射程は短い。ボスを倒して兄弟を助けることで射程が伸びたり貫通するようになる。
    • 道中にお助けアイテムといった物は無いが,ショップで購入したアイテムを使うことで,自由なタイミングで特殊な効果を発揮することが出来る。
  • ショップ
    • 道中に落ちているリボンを対価に買い物が出来る。店員はトト子。買えるアイテムは6種類。
      • はね…天使の羽のようなもの。おそ松に羽が生えて一定時間空を飛べる。
      • たこ…生き物の「蛸」,何故か足が増えて一定時間スピードアップ。ただし大ジャンプは出来ず、時間切れの無い本作で時間に迫られることは無い。
      • はなび…いわゆるねずみ花火。半画面分ほど地を這った後爆発、敵に大ダメージを与える。ただし爆発前におそ松がダメージを受けると消滅する。
      • ばりあ…木枯し紋次郎のような服。一定時間無敵になる。ただしボスの攻撃には無効。
      • からし…チューブのねりからし。あまりの辛さにシェーをして、画面上のザコ敵を一掃する。中ボスにも効くが、ステージボスのイヤミには無効。
      • ほね…魚の骨。ネコが助けに来てくれて、一定時間下半身無敵とスピードアップ。ただし強制的に移動するようになり、大ジャンプも出来ないため、場所によっては使用すると逆に危険なことも。
    • また、ショップに入ると買い物の前にあみだくじのミニゲームをやらされる。当たればライフが回復するが、外れると金を減らされる。
  • スロット
    • 道中にある施設に入るとリボンを対価にスロットが出来る。当たり図柄が揃えばリボンやライフや残機が増えるが、ハズレ目が揃うとリボンを失う。
  • ステージ
    • 1ステージは短めのエリアがブロックのように幾つにも分けられていて、エリアの最後や道中に「扉に入る」「穴に落ちる」「風船などで上昇する」といった別エリアへの道筋がちりばめられており、ルートが枝分かれしている。その中で正解のルートを通らなければボスにはたどり着けないが、ノーヒント。間違えるとステージ最初に戻されたり、隠し扉が罠であったりと、不条理な仕様。
  • 他に6枚集めると残機が上がる「おそ松くんカード」、ライフの上限が上がる「トト子ちゃん人形」等が道中にある。

問題点

  • 説明書では3つのステージが紹介されており「まだまだある」と表記されているのだが、実はその3面しかない
    • 各ステージ終了後に六つ子の1人を救う演出があるが、何松を助けたのかはわからない。また、おそ松以外の5人を救うのだから当然5ステージはあるものと思うだろうが,その辺りの整合性は3面終了後に唐突にエンディングが始まり投げ捨てられてしまう。
    • エンディングでは舞台上で六つ子がダンスを踊っているが、何の説明も無い。またエンディングまでに1人が未救出なのだがいつ助けたのかは全く明かされない
      • あまりの唐突さと内容の薄さから、「ゲームセンターCX」の有野課長はバッドエンドを疑ったほど。
  • 先に進むためにはステージの特定の場所からワープをしなければならず"しかも1面の中で何回も),そうしなければ無限ループする。結果的に1面ごとのプレイ時間は長くはなるが……。
  • 操作性も良いとは言えない。
    • ジャンプはフワフワしており、ブレーキも利きにくい。
    • スタート時のおそ松のパチンコの射程が泣けるほど短い。ほぼ「近接武器」と言っても過言ではないレベル。
  • 背景が非常にサイケデリックで、見ていると目が痛くなる。
  • エフェクトが「ボワン」「ボゥン」と無機質で迫力が欠けているものばかり。どちらかといえば攻撃がガードされた時のような音であり、爽快感がまったく無い。
  • この時代,とりあえず原作キャラを出しとけってのが多かったからな。今でも変わらないけど
  • 一部の敵キャラの造形
    • 主に童話をテーマにしているが、灰色の顔が不気味なチビ太の地蔵、やたらあごがしゃくれたダヨーンの鬼、時々ギョロ目をするイヤミの顔をしたカニ、素足が生々しいデカパンの顔をしたダチョウ、やたらでかく白雪姫の格好をしたイヤミは一見不気味。
      • キャラの造形にこのような扱いをするのはマンガでも一応お馴染みのことではあるのだが、キャスティングを間違えているのでは……。

評価点

  • 1988年に放映されたおそ松くんのEDテーマである「おそ松音頭」がタイトルに使われており、一応キャラゲーとしての体はなしている。
  • OPの絵柄やステージ上に登場するキャラクターに、おそ松くんのものだとわかるキャラクター描写がしっかりなされている点。
  • ライフの増減に従っておそ松自身の表情が段々変わっていく。細かい描写もあったりする。
  • ショップのトト子ちゃんが可愛い。

総評

単体のゲームとしてもキャラゲーとしても非常に出来の悪い作品。

こんな低レベルなソフトがメガドライブの国内発売からたったの2か月で出ており、しかも発売順は4作目*1という実質ローンチタイトルに等しい扱いだったのであるのだから何をかいわんや。
原作を尊重する姿勢もゲーム自体の質を向上させる姿勢も感じられないこの作品を作ったセガの企業態度こそはちゃめちゃそのものであり,こんなものを平然と世に出したことこそお粗末と言わざるを得ない。

余談

原作者激怒のデマ,制作の裏話

  • おそ松くんのプログラムを担当したスタッフが後にシムスに移籍した際、当時のBeepメガドライブ誌のインタビューで「原作者が怒鳴り込んで灰皿を投げ付けて来た」と「お○松くん?」と記述されていた。これが原因で赤塚氏を激怒させたという噂が流れかなり信じられてもいたが、後にデマと判明。
    • 当時は「製作会社のセガ社長ですらバカにする出来だ」とゲーム雑誌に取り上げられた。
    • そもそも当時の赤塚先生は仕事仲間との麻雀やトランプ遊びを好んでおり,一人遊びのテレビゲーム自体には見向きもしておらず、逆に恋人を作らずに部屋にひきこもっている若者が増えていることに危惧をしていた程だった。
    • 一方で、次の年にはファミコンからおそ松くん バック・トゥ・ザ・ミーの出っ歯の巻が出ている。
  • 最近になって、当時の製作現場を知る人物のブログにおいて「当初は全8ステージ」「人災(製作スタッフが逃げた)によりああなった」との暴露がなされた。
    • プロジェクトチームは男性4人女性1人の計5人、問題の「人災」はチームメンバー男女二人が駆け落ちした事に起因。これ以後セガ開発陣はチームに異性を混ぜなくなったとの細田学園専門生情報あり。
    • 上記の「人災」についても正しく「お粗末」と形容すべき内容であったが、現在はそれを載せていた元記事は削除されている。今もセガで現役であるという当人からクレームが来たという噂もあるが削除理由は不明。
      • なお記事名は「社長も知らないセガの裏・MD「おそ松くん」の真実」というタイトルであった。なお当ソフト開発チームリーダーは「セガラリー」で有名なM氏、発売直後に給料カットのペナルティを受けた模様。

その他

  • 敵キャラの中には槍と弓を持った黒人部族風の敵もいる。
    • 矢を放って攻撃してくるが、今見れば差別問題になりかねない造形をしている。尤も、60年代にサンデーで連載されていた時、人食い人種なるものが何回か登場していたが…。
  • セガ発売の赤塚不二夫作品として、本作以前に MKIII/SMSにてACT/ADVの『天才バカボン』がリリースされている。こちらのほうはボリュームにやや難はあるものの手堅くまとまった普通に遊べる作品である。
  • 本作が発売された日にアニメの「おそ松くん」(第2期)も放送されたが、その回はファンの間でも特に感動作と名高い「摩天楼のホワイトクリスマス」であった。
  • 本作にはエンディング後のスタッフロールが存在しない
    • 意外にも、製作メンバーは『セガラリーシリーズ』とほぼ同じであることが上記のブログ記事にて語られていた。
  • 本作発売から28年後、赤塚不二夫生誕80周年を銘打って放送されたアニメ『おそ松さん』(「くん」ではない)の大ヒットを受け、一本のスマートフォン向けアプリが配信された。その名も『おそ松さん はちゃめちゃパーティー!』(参照)。
    • 「おそ松さん」それ自体の内容から考えて、ほぼ間違いなく「分かった上でやっている」のであろう。
    • なお、同アプリは2017年8月をもってサービス終了している。
  • 『ゲームセンターCX』#223にて挑戦ソフトに選ばれる。
    • スタッフ側としては不正解ルートでの無限ループで四苦八苦する展開を予想していたのだが、有野のまぐれプレイによってわずか3時間弱のスピードクリアとなる。放送の尺が足らないためか、使ってないアイテム紹介のためと、ステージ2ボス戦後に謎の隠しアイテムが出現した事の検証で、残業という珍しい形で再プレイする事となった。
      • 番組内ではその正体は不明のまま終わってしまったが、実際は隠しキャラクターのケムンパス。イヤミ撃破後にケムンパスを出すと表示がおかしくなるというバグらしい。
  • アニメ「ポプテピピック」において、本作の兄弟救出時の演出のパロディが流れた。
  • 初期版にはバグがあり、必ずフリーズしてクリア出来なくなるとの噂がある。あくまでもメガドライブ本体の製造ロットによるハード依存の不具合であり、同じソフトでも発生するケースとしないケースがあるらしい(後期ロットには発生しない)。
    • この手のバグは、ゲーム起動時にRAMを初期化する際に完全に初期化出来ていない場合に発生することが多いが、それが原因かは不明である。

*1 1988年10月29日のメガドライブ発売日に売っていたソフトは『スペースサンダーブレード』と『スペースハリアーⅡ』だけで、3番目に発売されたのが11月27日発売の『獣王記』